スマートフォン向けのアプリには、家族や友人、恋人といった親しい人と位置情報を共有できるサービスが多くある。リアルタイムに共有相手の位置情報が分かるので待ち合わせなどに便利な反面、プライバシーやセキュリティの面での懸念も大きいことも事実だ。本記事では、あらためてポイントをおさらいしていこう。
位置情報の共有を軸としたSNSアプリといえば、2023年3月にサービスを終了した「Zenly」(ゼンリー)が象徴的だった。また、同年10月に終了した「NauNau」なども情報漏えいのインシデントがあり、センセーショナルだったため、多くの方の目に届いていたかもしれない。しかし、これらはあくまでも全体像の一部にすぎない。
アプリストア上には、現在もZenlyの後継と称される「Whoo」をはじめ、他にも「GHOST」「Now」「SnapMap」「ココイル」「iシェアリング」「Life360」といった位置情報共有機能を備えたサービスが多く存在している。
SNS的な機能を備えたサービスが重要なトレンドではある。しかし、もっと厳密に言えば、多くの方にとってなじみ深い「Googleマップ」にもリアルタイムの位置情報共有機能が備わっているし、iOS標準の「探す」アプリにさえ、リアルタイムの位置情報共有機能がある。
実際、筆者も家族とはリアルタイムに位置情報を共有しているし、友人との集合する際にチャットで位置情報を共有することはある。
位置情報をお互いに共有する上で、その相手が信頼できる家族や親友などに限られており、お互いにプライバシーへの干渉について了承しているならば、おおむね問題はないだろう。
一方で、関係性の薄い友人や、知人、交際相手、あるいは不特定多数に対して、自身の位置情報が公開されることは、大きな危険が伴う行為であることを理解しておきたい。
実際に、2022年から2023年にかけて、位置情報共有が関係した上で、元交際相手や見ず知らずの相手からストーカー被害を受け、刺殺・傷害事件につながった事例が複数起きている。
こうした被害を予防するために重要なのは、(1)家族やそれと同等に信頼できる相手にしか位置情報を共有しない、(2)不要なタイミングではリアルタイムでの位置情報を共有しない、(3)SNS上で個人の特定につながるを公開したり、位置情報SNSの連絡先を交換したりしない──といった当たり前とも思えるキホンを守ることだろう。
根本的に、こうしたサービスの必要性に対する認識・捉え方は、世代によって大きく変わってくるだろうが、事実として「使い方を間違えると大きなリスクにつながる」という事実については、若いユーザーに対しても、正しく認識を共有しておくことが必要だ。
また、自身がこうしたサービスを利用する当事者ではなくても、家族に利用者がいるならば、そのサービスにおける設定項目や挙動について、理解を深めておきたいところだ。
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