AIの進化と日本の現状を振り返った上で、「全ての人に最強のAIを」をコンセプトとしたエージェント型AIツール「Rakuten AI」の本格提供と、楽天モバイルのコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」への搭載、ブランドロゴデザインが一新されたことを発表した。
Rakuten AIは、楽天エコシステム内の多彩なサービスとシームレスに連携し、よりパーソナル化された顧客体験を提供するという。2025年秋には楽天市場にも搭載される予定だ。
三木谷氏は、「AIはどちらかというとリファイナリー(精製)。採ってきた金を商品にする、ダイヤモンドを研磨する(ようなもの)。AIのアルゴリズムだけではなく、データが重要。AIにとってデータは金脈」だという。
楽天グループは「楽天市場のショッピング情報、楽天トラベルの旅行のデータ、楽天カードの利用データ、楽天銀行や楽天証券、楽天モバイルのあらゆるデータを網羅して持っている」ことが強み。「個人データ(の取り扱い)は気を付けなきゃいけないが、お客さまの行動ログデータは3兆以上集まっている。これを使って、どういうサービスを作ってくか」(同氏)が重要になると語った。
この膨大なデータを活用するため、楽天はOpenAI、Anthropic、Microsoftなどの外部企業とも提携し、開発を行っている。
楽天独自のLLMである「RAKUTEN AI 2.0」も開発しており、Mixture of Experts(MoE)というアーキテクチャを用いることで、前モデルの30倍もの大きいデータを取り扱えるようになるという。特に日本語での文脈処理能力に優れ、「日本語で最高レベルのAIにする」と三木谷氏は意気込む。スマートフォン上で動作する「RAKUTEN AI 2.0 MINI」の開発も進めている。
Rakuten Linkに搭載されたRakuten AIのデモも披露した。Rakuten Linkからスマートフォン内の写真を読み込むと、AIがその商品を分析し、楽天市場内で売っている店舗を提示。チャットで相談ができ、購入まで進められる。相談は音声でもでき、複雑な内容にも対応できることが紹介された。ユーザーの好みを理解し、ユーザーが自分で検索しなくても、好みに合ったレコメンドがされるという。
三木谷氏はRakuten AIの強さを「圧倒的なデータ量と国際的な組織を持っていることによる開発力、ポイント」と改めて強調。ただ、最終的には「やっぱり人」だと述べる。
「人間的なサービスというものが、やっぱり重要になってくる。AIはあくまでもツール。最終的には人と人がつながっていく、それをより効率的にしていくものがAI。皆さん一人一人のサービスや商品に対するこだわり、それにAIを掛け合わせると、世界でも類を見ない人間味があるAI、最強のAIが完成できると思っている」
「AIを使いこなす、使い倒すこと」の重要性も再び指摘しつつ、楽天は「最強のAIプラットフォームを作る」と宣言。来場者の期待を誘っていた。
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