矢澤氏は、国内カバーエリアの拡大や、衛星通信サービスの進展について解説した。
楽天モバイルの4G人口カバー率は99.9%(ローミングエリアを含む)に達しているが、1000万回線の実現に向け、さらなる通信品質の向上を目指す。4Gと5Gの基地局数は、2025年第1四半期時点で9.4万だが、2025年末に1万局以上追加する計画だという。「設備の増強は終わりなくやっていく」と矢澤氏。
その5Gでは現在、Sub6の3.7GHz帯を運用しており、都心部では5G基地局を増やして混雑時のつながりやすさ向上を図っている。都心部だけでなく、西日本の対象エリアでも、5G基地局の電波出力を改善することで、5Gのカバーエリアを2024年12月から拡大。沖縄県では約2倍、山口県では約1.4倍、福岡県などその他の地域では最大1.1倍の拡大を達成したという。
衛星通信とスマートフォンの直接通信サービスは、既にKDDIが「au Starlink Direct」を提供しているが、楽天モバイルも米AST SpaceMobileと提携して「Rakuten最強衛星通信サービス」を2026年末までに開始する予定。
2025年4月には、衛星とスマートフォンの直接通信によってビデオ通話に成功した。こうしたリッチな通信が可能になるのは、ASTが用いている低軌道衛星のアンテナが約223平方メートルと大きいため。これは、競合のS社(Starlink)と比べて約36倍もの大きさだという。ASTの低軌道衛星は、アンテナを折りたたむ特許技術を採用しており、「この技術がないと、この大きさにはできない」(矢澤氏)。
衛星通信によって、国土カバー率100%の実現が期待されており、「海の上でも離島でも北海道の湿原の中でもつながる。人間が行くところの生活が変わる」と矢澤氏は期待を寄せる。
一方、KDDIに後れを取っているためか、Rakuten最強衛星通信のサービス開始時期について矢澤氏は「2026年年末スタートとアナウンスしてきたが、2026年の早い時期に前倒しできないか議論している」と話す。
このイベントのメインテーマでもあるAIと、サービス開発中の衛星通信が、「次の5年で携帯市場全体を変えていくゲームチェンジャーになる」と鈴木氏は意気込む。「そこで勝者になることがナンバーワンキャリアへの道だと思う」(同氏)
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