日本航空(JAL)の広報部は8月5日夜、最高峰のクレジットカード「JAL Luxury Card」「JAL Luxury Card Limited」の公式サイトに不自然な画像が掲載されていた件について、ITmedia Mobile(以下、本誌)の取材に応じ、経緯を説明した上で陳謝した。
2種類のクレジットカードは、JALがBlack Card I(ラグジュアリーカード)および信販会社のアプラスと連携して、8月1日に申し込み受付を開始した。年会費はJAL Luxury Cardが24万2000円、JAL Luxury Card Limitedが59万9500円。カード本体にメタル素材を採用しており、富裕層に向けて売り込む。
今回の件の発端は、X(旧Twitter)に投稿された複数のユーザーによる観察だ。X(旧Twitter)上で「ポップコーンカップにストローがささっている」「フォークの形状が実物と異なる」など、公式サイト上の画像に対して違和感を覚えたという指摘が相次いだ。
その中には、「手の指の本数や位置が不自然」「足が一本多く見える」といった“AI画像でよく見られる誤り”を指摘する声もあった。
JAL広報は、本誌の取材に対し、問題の画像について「Black Card Iとその業務委託先にて作成・提供されたもの」とした上で、「当該画像は生成AIを利用して作成したと確認しております」とした。
具体的にどの画像に生成AIが用いられていたかを尋ねたところ、「ポップコーンカップにストローがささっている画像、キャリーケースの車輪が宙に浮いている画像など、複数の画像です」とした。その一方で、「メイン画像やカード券面、JALのラウンジの写真など、AI生成ではないものもあります」と回答した。
本誌では、X上での指摘後に公式サイトの画像がトリミングされ、8月4日19時過ぎには既に差し替えが行われていたことを確認している。これについてJAL広報は、「掲載後に弊社(JAL)Webサイトにおいて、JAL LUXURY CARDを紹介するページに掲載された画像に対して、複数のお客さまから違和感のある描写に関するご指摘を受けました。ご指摘を受け、不自然に思われる画像は全て取り下げ、新しい画像と差し替えられるものは変更いたしました」とした。
なぜ、こうした違和感のある画像を事前に見抜けなかったのか――。JAL広報は、「AIによって生成されたコンテンツを顧客対応に利用する場合には、社内の関係部署で構成される倫理審査組織によって適切性を確認することとなっていますが、今回の画像に関しては、審査プロセスの必要性が社内に十分浸透していなかったことにより、審査プロセスが適用されていなかったことが判明いたしました」と説明した。
Black Card I広報も本誌の取材に応じ、「生成AIが一般化する前の画像審査体制が更新されておらず、レビュー手順の明文化が不十分だったことを認識しました」と、自社における画像審査の体制について触れた上で、「今後は、レビュー手順の明文化、二重チェックの導入、権利・表現チェックリストの運用強化など、品質管理体制の強化に取り組む」姿勢を示した。
JALカードのターゲット層や想定利用シーンなどの情報共有については、関係各社(日本航空、Black Card I、アプラス)間で「体制上は問題なくとれていました」(Black Card I広報)とコメントしている。
【更新:8月8日18時45分】Black Card Iによる説明やコメントの追記を行いました。
JALブランドを冠した他のクレジットカードにおいて、これまでに同様の事例は確認されていないという。
JAL広報は、「弊社Webサイトで使用した一部の画像に誤解を招く表現があり、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」と陳謝した上で、今回の件についてニュースリリースなどの発出予定はなく、SNSなどでも特段の告知は行わない方針を示した。
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