シャープは、8月20日に対話型AIキャラクター「ポケとも」を発表した。これを前に、8月1日から公式X(旧Twitter)で新キャラクターが登場するマンガを配信。ミーアキャットからインスパイアされたキャラクターと、その飼い主で社会人3年目のナナミの日常を描いている。
シャープがAIをうたう商材を世に出すのは、今回が初めてではない。これまでにスマートフォンAQUOSに搭載するAIアシスタント機能として「エモパー」を提供してきた。真っ白な紙にアイデアを描いていくように、エモパーの企画・開発は2013年にスタートした。
スマートフォンを携帯する人の行動や状況に応じて、何か話し出したら面白いのではないか、といった視点を軸に、スマートフォンが情報を見るだけの通信機器から、楽しさや感動を共有するパートナーになるのではないか、といったアイデアが技術者によって生まれたのだ。
2014年11月発売のNTTドコモ向けスマートフォン「AQUOS ZETA SH-01G」に搭載されて以来、「AQUOSに寄り添う存在」として、ユーザーの生活を支えてきた。
AIアシスタント機能「エモパー」。ユーザーの生活シーンに合わせて、人の気持ちに寄り添ったメッセージを話しかけてくれるようになるなど、発表後に成長し続けていった。画像は「スマートフォン『AQUOS』プロモーションを実施」という2016年6月2日発出のニュースリリースより引用「RoBoHoN(ロボホン)」は2016年5月に発売されて以来、「愛着を持たれるコミュニケーションロボット」として独自のファン層を築いている。シャープによると、利用している主な年齢層は40代以上の富裕層だという。
2025年発表の対話AIキャラクターは、スマートフォンAQUOSに搭載されるのか、あるいはエモパーに統合され、エモパーという名称が改められるのか、はたまたモバイル型のロボット電話であるロボホンにも搭載されていくのだろうか。
この問いに対して、シャープの通信事業本部 本部長である中江優晃氏は、「ロボホンやエモパーといった我々の対話AIといったところでは先駆けしてやっていた。ポケともでは、シャープ独自のEdge AI技術CE-LLMというエモパーやロボホンとは異なる技術を使用して開発した物になる。ただ、人とキャラクターが対話するところに関しては、ロボホンの知見が非常に役に立っている」と回答した。
つまりポケともは、既存の技術やキャラクターの延長線上にありながらも、根幹となる技術基盤は刷新された全く新しい存在であることが明らかになった。
特にCE-LLMと呼ばれる独自のEdge AI技術は、従来のスマートフォン内アシスタントではなく、より高度な文脈理解や自然な会話を可能にする仕組みだ。エモパーやロボホンで培った「人とキャラクターが会話する体験」のノウハウを受け継ぎつつ、さらに進化させていくことが狙いと見ていいだろう。
ポケともでは、シャープ独自のEdge AI技術「CE-LLM」を活用し、一人一人に寄り添うパーソナライズされた音声対話を行え、ユーザーの質問に答えるだけでなく、会話の内容を記憶し、その人の興味や関心、日々の出来事に関連したやりとりができるでは、新しいキャラクターが登場したことで、従来のエモパーやロボホンはどうなるのか?
中江氏は、「ロボホンもエモパーもシャープの大事な機能というかキャラクターなので、このまま継続していく」と明言した。つまりポケともは既存のキャラクターに取って代わる存在ではなく、むしろシャープのAIキャラクター戦略に「新たな個性や可能性を加える存在」といえる。過去を切り捨てる「取捨選択」ではなく、シャープをパッと想起できるような「キャラクターポートフォリオ」を広げていく姿勢といえる。
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