フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ社と、モバイルバッテリーレンタルサービス「ChargeSPOT」を展開するINFORICHは、ChargeSPOTのモバイルバッテリーがメルカリで出品されている問題を受けて、該当出品を削除する方針を明らかにした。
INFORICHは、2018年4月から「どこでも借りられて、どこでも返せる」をコンセプトにChargeSPOTを提供している。しかし、レンタルされたモバイルバッテリーがフリマアプリで転売されるケースが増加し、INFORICHは利用規約で転売や譲渡を禁止するとともに、利用者に注意を呼びかけていた。
INFORICHは8月22日、公式サイトでメルカリとの協議結果を公表。「ChargeSPOTバッテリーの取引がメルカリの利用規約違反に該当すると判断されたことを確認した」とし、今後はChargeSPOTモバイルバッテリーが「禁止出品物」として扱われ、該当する出品は削除される方針であることを明らかにした。
しかし、協議をする中で浮き彫りになった課題もあったそうだ。それは、「出品されたモバイルバッテリーがどのような方法で入手されたのかの特定が困難だった」ことだ。これこそが、今回の措置に時間がかかった背景といえる。
ChargeSPOTのサービスは、スマートフォンアプリを操作してバッテリーをレンタルし、借りた場所か別の場所に設置されたスタンドへ返却する仕組みとなっている。そのため、返却されずに出品されたバッテリーは、盗品や横領品にあたる可能性がある。転売や譲渡が禁止されており、違反した場合は刑事罰の可能性もあるとされている。
また近年、モバイルバッテリーが原因の発火事故が相次いでいる社会問題を踏まえ、INFORICHでは「ChargeSPOTのバッテリーは、適切に返却されることによって24時間体制での安全管理が効果的に機能する仕組みであり、長期間当社の管理下を外れるバッテリーについては、安全性を十分に保証することができません」と、利用者に注意喚起を実施している。
ChargeSPOTというサービス自体の認知度の低さも課題となっているようだ。2024年の説明会でINFORICHが示した2023年実施の調査によれば、モバイルバッテリーを購入した人のうち85%が「ChargeSPOTの存在を知らない」と答えていた。さらに、すでにモバイルバッテリーを持っている人でも3年に1度のペースで買い替えていることが分かっており、サービスの利便性や正しい利用方法が十分に伝わっていない実態が浮き彫りになっていた。
ChargeSPOTというサービス自体の認知度の低さも課題だろう。2024年の説明会でINFORICHが示した2023年実施の調査によれば、モバイルバッテリーを購入した人のうち85%が「ChargeSPOTの存在を知らない」と答えていたこうした状況の中で、一部の悪質な利用者が「料金上限まで支払えば自分のものになる」と誤解したり、返却義務そのものを意識せずにフリマアプリへ出品してしまうケースが出ていると思われる。
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