KDDIは9月19日、新型iPhoneの発売を記念して、「新iPhoneをauとともに。 au 新iPhone発売イベント」を開催した。登壇した代表取締役社長の松田博路氏は、6年ぶりとなる本イベントで、同日発売の「iPhone 17」シリーズおよび「iPhone Air」、そして進化した「Apple Watch」について説明。さらに、これらの最新デバイスの魅力を最大限に引き出すための、auならではの「三つの決定打」をアピールした。
冒頭、松田氏は「本日は朝早くから、またお足元の悪い中、お集まりいただき誠にありがとうございます」と謝辞を述べ、6年ぶりとなる発売イベントへの期待感をにじませた。
今回発表された新型iPhoneは、「iPhone 17 Pro Max」「iPhone 17 Pro」「iPhone 17」、そして全く新しいモデルであるiPhone Airの4モデル構成となる。最大の技術的特徴は、全モデルが物理的なSIMカードスロットを廃し、「eSIM」専用となった点だ。これにより、これまでSIMトレイが占めていた内部スペースが不要となり、その分を軽量化やバッテリー持続時間の改善に充てることが可能になったという。
中でも松田氏が特に注目しているのが、iPhone Airである。その名は「市場最薄」というコンセプトを体現しており、厚さはわずか5.6mm。驚異的な薄さを実現しながらも、心臓部には上位モデルのiPhone 17 Proと同じパワフルなチップを搭載している。アウトカメラは単眼でありながら、超解像度撮影や2倍の望遠など多様なシーンに対応できる驚くべき性能を秘めており、薄さと軽さ、そして高性能を両立させた「新しいニューフェース」だと強調した。
発表はiPhoneにとどまらず、ウェアラブルデバイスであるApple Watchにも及んだ。「Apple Watch Series 11」「Apple Watch SE 3」「Apple Watch Ultra 3」の3モデルが新たに登場し、いずれもチップが刷新されたことでバッテリー持続時間が延長できたという。
特筆すべきは、Apple Watchとして初めて5G通信に対応した点だ。auが展開する広大な5Gネットワークを活用することで、iPhoneが手元になくても快適な通信が可能となる。さらに、健康管理機能も大幅に強化され、新たに「高血圧通知機能」が搭載された。この機能はSeries 11とUltra 3で利用可能となり、日本国内でも年内には利用できる見通しだ。
松田氏は、最新デバイスの性能を最大限に生かすためには高品質な通信環境が不可欠であるとし、auを選ぶべき第一の魅力として「通信品質」を挙げた。auは2025年2月、「つながる体感」において世界評価ナンバーワンを獲得。さらに7月には、5G SA(スタンドアロン)の通信品質調査においても、全6部門で1位を獲得した実績を持つ。
KDDIの高品質な通信を支えているのが6GHz未満の周波数帯を指し、広範囲をカバーできる「Sub6」ネットワークだ。新型iPhoneとこのSub6ネットワークが組み合わさることで、画面上のアンテナ表示が「5G+」に変化。さらに、端末からの送信電力を最大2倍に増強する技術(HPUUE)により、これまで電波が届きにくかったビルの密集地や地下などでも、より安定した通信が実現するという。
さらに、auの通信品質へのこだわりは地上ネットワークだけにとどまらない。KDDIが4月に開始した衛星ブロードバンドサービス「au Starlink Direct」が、新たなステージに進むことを発表した。サービス開始後、メッセージングからデータ通信へと機能を拡張し、既にユニークユーザー数は220万人を突破。そして今回、新型iPhone 17シリーズとiPhone Airが、このau Starlink Directによるデータ通信に正式対応した。これにより、携帯電話の電波が届かない山間部や海上など、「空が見える場所」であれば最新iPhoneでデータ通信が可能になる。
この革新的なサービスは、最新機種だけの特権ではない。iOSのアップデートにより、「iPhone 13」以降の21機種でも同様にデータ通信が利用可能になる。松田氏は、対応アプリケーションとしてX(旧Twitter)を挙げ、登山中や海上での感動的な風景を世界に発信できる事例を紹介。さらに、都内本社には疑似的な圏外環境を再現した施設を準備していることを明らかにした。
KDDIが4月に開始した「au Starlink Direct」。データ通信が最新のiPhoneだけでなく、「iPhone 13」以降の21機種でも利用可能になる。ただし、OSのバージョンはiOS 26になっている必要がある第二の魅力は、価値が凝縮された「料金プランとそのサポート」である。好評を博している「auバリューリンクプラン」は、auスターリンクダイレクトや海外データ通信無料といった5つの価値(宝玉)に加え、新たに「地震の備えサポート」を追加。合計6つの価値を提供するプランへと進化した。また、ライフステージに合わせた世代別の新料金プランも発表し、家族全員が最適なプランを選べる体制を整えた。
購入サポートも手厚い。「スマホトクするプログラム」を利用すれば、2年後の返却を条件に残価の支払いが不要になる。購入後も、故障や紛失、盗難といったトラブルに即日対応するサポートを用意。さらに、30カ月以上、端末を利用している人が機種変更をした際、機種代金から1万1000円を割り引く感謝キャンペーンも実施する。
第三の魅力は「安心のeSIM契約」だ。松田氏は、新型iPhoneがeSIM専用になったことで、一部のユーザーから「よく分からない」「少し不安だ」といった声がKDDIに寄せられていることを認めつつ、auの長年の実績をもとに、その不安を払拭できるとの考えを示した。
KDDIは2011年からeSIMの標準化活動に参画しており、10年以上にわたるノウハウを蓄積してきた。オンライン専用ブランドのpovoでは、実に4人中3人のユーザーが既にeSIMを利用しているという。KDDI(auブランド)では、店頭でもオンラインでも、初めてeSIMを利用するユーザーに分かりやすいサポートサイトやガイドを用意。KDDIのユーザーがeSIMの紛失や破損のリスクがないといったメリットを享受できるよう、KDDIは万全の体制でユーザーを迎えるようだ。
松田氏は最後に、これら「世界No.1の通信品質とau Starlink Direct」「利用用途に合わせて選べる料金プランとご購入時のサポート」「安心のeSIM契約」の3点を、ユーザーがauを選ぶべき「三つの決定打」だと改めて強調。「ぜひ、新しいiPhoneをauのネットワークで体験してほしい」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。
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