送信取消はほとんどがミスだと分かっていても、送信取消された方はそれなりにストレスを感じます。なぜ取り消したのかを説明されないと、本当はもっと自分に言いたいことがあるのではないか、自分宛てではないメッセージを誰に送ったのかなど、相手を疑ってしまうからです。
実際、送信取消を駆け引きに利用している人もいるようです。送信取消機能がリリースされた当時、筆者が女子高生たちにインタビューを行ったところ、「好きな人に軽く告ってみてすぐ送信取消して様子を見る」「連絡が来なくて寂しいときに、寂しいと送ってすぐ消したりする」といった話も聞きました。
現在も「送信取消ばっかりする子はウザい」という話も聞くため、送信取消を心理戦に利用している人も少なからずいるようです。
また、今回の仕様変更で、24時間以内から1時間以内へと送信取消できる時間が変わります。うっかりミスや様子見であれば送信してすぐ、もしくはあまり時間が経過しないうちに消すため、1時間以内でも問題がなさそうです。
しかし、送信取消には他の用途もあります。「遊ぼうよ」とLINEを送ってしばらく返事がなかったとします。「相手は乗り気じゃないのかも」と推測できますよね。
「ノリで言っただけでそこまで遊びたいわけでもない」という気分になってきた頃に「遊ぼう」と返されても、微妙な気持ちになります。そういうときに送信取消を使うのです。誘われた方も「今日はちょっと行きたくないな」と思ってスルーしていると、相手が送信取消してくれてほっとする、といった場合もあるでしょう。
このような気遣いや駆け引きは、スマホを介したコミュニケーションでZ世代がよく使う手法です。
約10年ほど前、位置情報を共有するアプリ「Zenly」が流行しました。24時間、居場所を誰かに共有するなんてと大人は驚いたものですが、Z世代は友達と現在地を共有することを楽しんでいました。
「Aはバイト中かな」「BとCは公園にいるからサッカーしてるのかな」など、友達の様子が分かることも人気の理由でしたが、タイパ(タイムパフォーマンス)が良い点も評価されていました。
例えば、誰かとおしゃべりしたいなというとき、バイト先にいるAに「通話できない?」と送っても、時間の無駄です。しかも、相手に「ごめん、バイト中だった」と気遣われて、また次回の約束をする羽目になってしまうかもしれません。それなら、アプリで自宅にいる人を確認してメッセージを送った方が、お互いに気遣わなくて済むわけです。
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