達人が選ぶ「2025年を代表するスマホ」 ハイエンド/ミッドレンジで厳選した5機種を語り尽くす(1/3 ページ)

» 2025年12月27日 06時00分 公開
[井上晃ITmedia]

 ITmedia Mobileでは、2025年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2025」を開催しました。

 審査の対象となるのは、2025年1月1日から2025年12月中旬までに発売したスマートフォン。審査員がそれぞれ5機種を推薦し、その中で票が多く集まった10機種をノミネート機種として選定しました。2025年は「ハイエンド部門」と「ミッドレンジ部門」に分け、各部門で5機種ずつ(計10機種)、最終的に各部門で1機種(計2機種)を選定します。今回は価格ではなく、メーカーのポートフォリオに基づいてハイエンドとミッドレンジを分けています。

 2025年の審査員は、ITmediaなどで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐藤颯氏、佐野正弘氏、島徹氏、ちえほん氏、山根康宏氏(五十音順)の8人とITmedia Mobile編集部です。今回は、審査員が推薦した5機種とその理由を紹介します。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2025 スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2025を開催

石野氏:市場のインパクトではGalaxy Z Fold7がダントツ ミッドレンジも豊作だった

・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy Z Fold7、iPhone Air、Xiaomi 15 Ultra
・推薦機種(ミッドレンジ)……Pixel 9a、Nothing Phone (3a)

石野純也 石野純也氏

 その年の顔になるスマートフォンということで、市場に新しい風を吹き込もうとしている機種を中心に取り上げました。ハイエンドに関しては、業界に爪痕を残したという観点で「Galaxy Z Fold7」がダントツですね。もはや説明の必要もないぐらいです。

 また、必ずしも成功したとはいえないですが、カメラの話題一辺倒だった市場に薄さや軽さという競走軸を持ち込もうとしたという点で、「iPhone Air」も、発表時には高い評価を集めました。薄型の端末として先行していた「Galaxy S25 Edge」が日本では発売されなかったので、日本市場では薄型端末の需要を開拓する役割を一身に背負っている点でもiPhone Airは外せません。

 一方で、カメラの進化という観点では、いち早く高倍率かつ高画質の望遠撮影を打ち出した「Xiaomi 15 Ultra」を挙げました。グローバルと同時発売ではなかったものの、短い間隔で国内発売を実現したこともXiaomi Japanの頑張りを感じました。

 ミッドレンジは今年(2025年)も豊作でしたが、こちらは「変化」に注目しました。Pixel aシリーズは従来、ハイエンドモデルをチップセットそのままでミッドレンジに落としてきたという雰囲気でしたが、「Pixel 9a」に関しては「aシリーズらしさ」を出してきた気がします。

 「Nothing Phone (3a)」も目立っていた端末で、新しい価値を訴求していた印象です。楽天モバイルと提携して販路を広げに来たことからも、日本市場を開拓しようとしている姿勢が感じられました。ちなみに、上位の「Nothing Phone (3)」も、おサイフケータイを搭載するなど目配せが届いていたので、どちらを挙げるか悩みました。

Galaxy Z Fold7 2025年にインパクトを残した機種としては「ダントツだった」と評価するGalaxy Z Fold7

佐野氏:ビジネス戦略としてはarrows AlphaやNothing Phone(3a)が面白かった

・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy Z Fold7、arrows Alpha、Xiaomi 15T
・推薦機種(ミッドレンジ)……らくらくスマートフォン F-53E、Nothing Phone(3a)

佐野正弘 佐野正弘氏

 ハイエンドに関しては進化幅がパッとしない機種が多かった印象ですね。例えば「Xiaomi 15 Ultra」は昨年(2024年)の方が話題をさらいましたし、モトローラの「motorola razr 60 ultra」などもハードウェアはそこまで変わっていなかった。iPhoneやPixelも「帯に短したすきに長し」というモデルが多くて、選びづらかったです。

 そんな中で、ハイエンドとして飛び抜けてインパクトを出して、かつユーザーメリットも与えていたGalaxy Z Fold7は挙げなくてはならない1台だと思いました。

 一方で、今年を象徴する機種として「arrows Alpha」と「Xiaomi 15T」も外せません。arrows Alphaは、実質的にはミッドハイではありますが、とにかく値段が高くてハイエンドのスマートフォンが買えないという中で、8万円台という価格を打ち出して幅広く買い替え需要を取っていったのが、戦略的にも面白かったです。Xiaomi 15Tも6万円台ゆえの買いやすさが魅力でした。

 ミッドレンジは、昨年の選定で入れられなかった「らくらくスマートフォン F-53E」を挙げました。本機の発表は2024年だったのですが、発売は今年に入ってからだったので……。これだけ独自のカスタマイズをした特徴的な端末は出ていないと思います。個人的にも母親に持たせています。

 もう1つ印象的だったのがNothing Phone(3a)です。やはり、Nothing Japanにマネージングディレクターとして黒住吉郎氏が入ってから、日本市場にうまく溶け込む施策を展開していますね。

らくらくスマートフォン F-53E ドコモ向けらくらくスマートフォン F-53Eは、サイズ感を維持しながらディスプレイを大型化した

石川氏:iPhone Airは実際に触った印象と世間の評価とのギャップが大きい

・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy Z Fold7、iPhone Air、iPhone 17、arrows Alpha
・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense10

石川温 石川温氏

 ハイエンドのGalaxy Z Fold7は、最近スマートフォンがつまらないなと思っていたところに「めっちゃ進化するじゃん」とワクワクさせてくれた機種でした。

 iPhone Airは非常に薄くて、持ってみると気持ちいいんですけれどね。世間の評価があまりに低くて、このギャップは何だろうと思いました。売れていないと評価されてしまっているのがちょっと残念ですね。むしろ、iPhoneシリーズでいえば、ノーマルな「iPhone 17」を評価しています。販売も好調ですし、世界的シェアでサムスンを逆転するのにも一役買っていましたから。

 arrows AlphaはFCNTが復活を遂げた1台になりました。日本メーカーが厳しくなるなかで、モトローラというグローバルメーカーと組んだことで、ハイエンドと呼べるものができていることを評価したいですね。

 ミッドレンジに関しては、AQUOS sense10の出来がよかった。外観などは昨年のAQUOS sense9を踏襲しつつ、AIを強化するなど、今年は改めてシャープらしさを感じられた1台でした。

iPhone Air 薄さのインパクトが大きかったiPhone Airは、実際の売れ行きが伴わなかった
スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2025 審査会の様子
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