ドコモ、2025年度営業利益を830億円下方修正 MNP競争激化と「カエドキプログラム」コスト増が直撃

» 2026年02月05日 16時56分 公開
[石井徹ITmedia]

 NTTドコモは2月5日、2025年度第3四半期決算を発表した。営業利益の通期予想を当初の9660億円から8830億円へ、830億円下方修正した。MNP市場の競争激化が長期化し、販促費用が想定を上回ったことが主因だ。一方で顧客基盤強化の取り組みは成果を上げつつあり、MNPは4カ月連続でプラスを確保している。

ドコモ決算 NTTドコモの前田義晃社長

第3四半期は増収減益、MNP競争の激化が続く

 第3四半期の営業収益は4兆6597億円で、前年から924億円増加した。成長領域であるスマートライフ事業と法人事業がけん引している。営業利益は7454億円で、前年から885億円減少した。

ドコモ決算 第3四半期の営業収益は前年比924億円増の4兆6597億円、営業利益は同885億円減の7454億円だった

 セグメント別では、スマートライフ事業が金融・決済の取扱高拡大や住信SBIネット銀行の連結子会社化により1074億円の増収となった。法人事業も大企業向け・中堅中小企業向けともにソリューションを軸に864億円の増収を記録している。一方、コンシューマ通信事業はモバイル通信サービス収入の減少や端末関連コストの増加により846億円の減収となった。

 2025年度営業利益の下方修正には2つの要因がある。1つ目はMNP競争の激化だ。前田義晃社長は「想定を上回る競争環境が続いている」と述べ、販促強化費用が当初想定より1130億円超の増加を見込んでいると説明した。MNPによる転入数は前年比1.2倍で推移しており、各社が顧客獲得に注力している状況がうかがえる。

 2つ目は、端末購入プログラム「いつでもカエドキプログラム」のコスト増だ。顧客基盤強化の取り組みを進める中で、プログラムへの新規加入者数や端末の返却率が想定を上回った。将来発生する費用の見積もりを見直した結果、300億円の減益要因が生じた。

ドコモ決算 下方修正の主な要因はMNP競争激化に伴う販促費増加(1130億円)と端末購入プログラムの収支悪化(300億円)だ

 これらの減益要因に対しては、住信SBIネット銀行の連結効果で100億円、アセット売却などで500億円の収支改善を織り込んだが、全額を賄うには至らなかった。

MNPは4カ月連続プラス、ドコモ MAXは250万契約突破

 厳しい競争環境の中でも、顧客基盤強化の取り組みは成果を見せている。MNPは2025年10月から2026年1月まで4カ月連続でプラスを確保した。ポートインの内訳では大容量プランが伸びており、ARPU(1回線あたりの月間収入)は前年から50円増の3990円となった。

ドコモ決算 MNPは4カ月連続でプラスを確保し、ドコモMAXは250万契約を突破した

 主力プランのドコモ MAXは250万契約を突破した。旧プランからの移行率も6割まで上昇しており、年間目標の300万契約は達成できる見込みだ。2月25日からはサービスを拡充する。現在提供中の「DAZN」や「NBAドコモ」に加え、「Leminoプレミアム」と「dアニメストア」が選べる特典に加わる。4サービスの中から2つを追加料金なしで毎月選択できるようになる。

ドコモ決算 ドコモMAXは2月25日から選べる特典にLeminoプレミアムとdアニメストアを追加する

 さらに3月1日からはdバリューパスの提供を開始する。大手コンビニ3社で使えるクーポンに加え、AmazonとdアカウントをAmazonプライム契約者が連携すると、毎月5日にdポイントが最大5倍になる特典を用意した。エンゲージメントの高い顧客基盤の構築を狙う。

5G基地局構築を加速、東京メトロにも大規模導入

 ネットワーク品質改善も重点施策の1つだ。5G基地局の構築ペースを加速しており、2025年度下期は上期の約3倍の基地局を構築できる見通しだという。2026年度も同程度のペースを年間を通じて維持する計画だ。

 実績としては、全国の主要都市中心部で90%のエリアにおいて、混雑時でもダウンロード速度100Mbps以上を実現したとしている。2026年2月以降は東京メトロ各路線で大規模な5G導入を進め、4月までに路線の60%以上に5Gを投入する。通信容量は1.5倍に拡大する見込みだ。

ドコモ決算 東京メトロでは2026年4月までに路線の60%以上に5Gを導入し、通信容量を1.5倍に拡大する

 前田社長は「下期は上期の約3倍の基地局構築に向けて計画通り順調に進捗(しんちょく)している」と述べ、2026年度もこの勢いを継続すると強調した。

金融・法人事業が成長をけん引

 成長領域は堅調に推移している。金融事業の収益は4177億円で、前年比25%増となった。住信SBIネット銀行の連結取り込みに加え、dカード契約者数の拡大が寄与した。dカード PLATINUMは100万契約を突破している。

ドコモ決算 金融事業の収益は前年比25%増の4177億円に達し、銀行預金残高も11.3兆円に拡大した

 法人事業ではCX領域のコンタクトセンター案件が前年比15%増と伸びている。AIを活用したソリューション提供が進んでおり、12月にはソーシャルロボットや産業ロボットを統合管理できるIoTプラットフォーム「docomo business SIGN」をリリースした。川崎重工やMUJINとの協業も始まっている。

 エンタメ事業では、2024年7月に開業した愛知県のIGアリーナが第3四半期単体で早期黒字化を達成した。

来期以降の回復を見据える

 前田社長は2025年度を「成長に向けた変革の年」と位置付け、短期的な痛みを伴いながらも顧客基盤強化に取り組んできたと説明した。販促強化の取り組みによりMNPはプラスに転じ、チャネル全体のセールス力も向上しているという。

 今後はより長期間サービスを利用する顧客を増やすことで解約率の低下と販促費の効率化を進め、2026年度と2027年度の成長につなげる考えだ。ネットワーク品質改善についても、2027年度以降にはコスト効率化の効果が現れると見込んでいる。

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