公用車カーナビのNHK受信料未払いが続出…「事業所ごとの契約」見直し要望にNHK会長の見解は?

» 2026年05月25日 16時39分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 全国の自治体で公用車に搭載されたカーナビゲーションシステムを巡り、NHK受信料の未払いや未契約が相次いで発覚して波紋を呼んでいる。この問題に関連して、NHKの井上樹彦会長は2026年5月の定例記者会見で、岐阜県知事から寄せられた事業所の契約単位の合理化などの要望について見解を明らかにした。井上氏は即座のルール変更に慎重な姿勢を見せた。

NHK 受信料 カーナビ 運転席と助手席から操作できるカーナビのイメージ(出典:パイオニアの公式サイト)

 会見で井上氏は、岐阜県知事が事業所の契約単位の合理化などを要望していることを受け止めた。その上で、契約単位の抜本的な見直しは現行制度との整合性や事業者間の公平性などについて慎重に検討する必要があると回答した。一方で、外部有識者の意見やメディア環境、視聴形態の多様化なども踏まえて、事業所負担の在り方を引き続き検討していきたいとも述べた。

 近年、自治体が保有する公用車のカーナビがNHKの受信契約を結んでおらず、多額の未納料金を支払う事案が過去にあった。2025年に入ってからだけでも、島根県がカーナビ153台を含む172台の未契約を公表し、総未契約額は約1432万円に上った。富山県でもカーナビ105台などの未契約を公表し、約1320万円の未納額があったことを明らかにしている。

 さらに愛媛県や松山市でも同様の事案が確認された。松山市では市長部局や消防局などの公用車カーナビなどで未契約が判明した。国会での質問主意書によれば、愛知県や静岡県、新潟県などの自治体でも発生している。各自治体の発表で共通しているのは、カーナビが受信契約の対象であることの認識不足や、テレビ視聴が目的でなくても機能がついているだけで対象になると知らなかったという理由だ。

 NHKの規定によると、テレビ放送を受信できるテレビチューナー付きのカーナビやPCなどは、放送法で定められた受信設備にあたるため受信契約の対象となる。NHKの受信契約は一般家庭と事業所で契約の単位が異なる。一般家庭の場合は受信契約が世帯単位となるため、自宅にテレビがあり、さらにテレビ機能付きのカーナビを複数所有していても必要な契約は1件で済む。

NHK 受信料 カーナビ テレビ機能付きのカーナビやPCも放送法上の受信設備に該当するため契約対象となる旨を明記した規約の一例(出典:NHK公式サイト)

 ところが企業や自治体などの事業所の場合は、設置場所ごとに受信契約が必要となる。つまり、テレビ機能付きのカーナビを搭載した公用車を100台保有している自治体であれば、本来なら自動車ごとに契約を結ばなければならない仕組みだ。このルールの違いが自治体担当者の認識不足を引き起こし、大量の契約漏れにつながっている要因といえる。

 自治体は、今後は業務の必要性がない限りテレビ機能のついていないカーナビを調達するなど、再発防止策を打ち出している。しかし、未納分の支払いの原資は税金であるため、ネット上やSNSでは厳しい批判の声も噴出している。今後、事業所における契約の在り方をどう適合させていくのか――議論の行方に注目が集まる。

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