さて実際の利用だが、Bluetooth機能を内蔵しない大半のPCでは、標準添付されるUSB接続のワイヤレスアダプタ(Bluetoothトランシーバー)と組み合わせて用いることになる。アダプタとマウスは出荷時にペアリングされており、新品であれば、ワイヤレスアダプタをPCのUSBポートに差し込むだけで、マウスとして利用できる(OSのセットアップ時などであっても)。
この使い勝手を実現するためか、標準添付のトランシーバーをそのままPCに装着した状態では、Bluetoothトランシーバーとしては認識されない。標準添付のワイヤレスアダプタを汎用のBluetoothトランシーバーとして利用するには、付属のマウスドライバ(IntelliPoint)をインストールした上で、別途マイクロソフトのWebサイトからWindows XPホットフィックスをダウンロードし、導入する必要がある。これらのソフトウェアサポートの関係上、現時点で8000シリーズのマウスはWindows XP SP2専用となっているので、注意が必要だ(Windows Vista用のドライバは2月にリリース予定で、本稿執筆時点ではβの状態)。
なお、試用したマウスにはIntelliPoint 6.01が添付されていたが、条件によっては接続がうまくいかないケースも見られた。すでにIntelliPoint 6.02がリリースされており、接続がより確実になっているので、可能な限り、この新しいバージョンを利用したほうがベターだ。新バージョンには、上述したWindows XPホットフィックスへのリンクも用意されている。



マウスドライバのIntelliPointを導入すると、各ボタンのカスタマイズや機能割り当てが変更できる。最新版(原稿執筆時は6.02)の利用をおすすめしたい。右から2番めの写真は、それぞれのボタンに割り当てられる機能一覧だ。スライダを操作するだけで電池寿命を調整可能だ(写真=右)


Windows XPホットフィックスをインストールする前のデバイス構成(写真=左)。IntelliPointによって8000シリーズのマウスとして認識されているにもかかわらず、システムにBluetoothデバイスは存在しない。IntelliPoint 6.02のインストールの最後に、更新プログラム(Windows XPホットフィックス)へのリンクが表示される(写真=左から2番め)。ダウンロードした更新プログラムを実行すると、Windows XPホットフィックス(KB924941)のインストールが始まり、システムを再起動すると自動的にBluetoothトランシーバーの構成がスタートする。トランシーバーの構成が終了した後のシステム(写真=右)。Bluetoothトランシーバーがデバイスマネージャで確認できるマイクロソフトは、8000シリーズマウスの利用に際し、添付のワイヤレスアダプタの利用を推奨しているが、Bluetooth機能を内蔵したノートPCで、別にUSB接続のアダプタを用いるというのはナンセンスというもの。逆にPC内蔵のBluetoothで利用できないのでは、わざわざ汎用インタフェースであるBluetoothを採用する意義が薄れる(Wireless Notebook Presenter Mouse 8000の場合、10メートル離れてもプレゼンテーション機能を利用できる、というメリットもあるのだろうが)。そこで、手持ちのBluetooth機能内蔵ノートPC4機種で、接続テストを行った。
| Bluetooth内蔵ノートPC4機種での動作状況 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| ノートPC | メーカー名 | OS | プロトコルスタック | BTバージョン | Laser Mouse 8000 | Notebook Presenter Mouse 8000 |
| Latitude X1 | デル | Windows XP SP2 | Microsoft | 2.0 + EDR | ○ | ○ |
| HP Compaq Business Notebook nc4000 | 日本HP | Windows XP SP2 | WIDCOMM | 1.2 | ○ | ○ |
| HP Compaq nc2400 Notebook PC | 日本HP | Windows XP SP2 | WIDCOMM | 2.0 + EDR | × | × |
| 初代MacBook | アップルコンピュータ | Mac OS X 10.4.8 | Apple | 2.0 + EDR | × | × |
その結果は、上の表に示した通り。4機種中2機種においてマウスとして利用することができなかった。いずれのノートPCも、ほかのBluetooth接続マウスで利用している実績があるだけに、意外な結果となった。
前で述べたように、8000シリーズのマウスはBluetoothのプロトコルスタックをインストールしなくても、とりあえずマウスとして利用できる仕様になっており、それが影響している可能性もあるが、詳細は分からない。最悪の場合、付属のアダプタで使えるものの、内蔵Bluetoothでの接続をアテにして購入するのはリスクがある。PC内蔵のBluetoothであっても、8000シリーズのマウスがBluetoothのHIDデバイスとして認識され、利用可能にさえなれば、IntelliPointをインストールすることで、添付のアダプタとほぼ同じ使い勝手が得られた(Latitude X1内蔵のBluetoothとIntelliPoint 6.02の組み合わせにおいて)だけに残念だ。このあたりの不安感も、Bluetoothが普及しない一因なのかもしれない。
そうはいっても、Bluetooth対応のマウスは、国内では非常に種類が限られる。同じマウス大手のロジクールや、米国ではBluetoothマウスを販売しているTargusも、わが国では対応製品を販売していない。そんな中、入手性に優れる大手のマイクロソフトが2モデルもリリースしてくれるのは、歓迎すべき動きには違いない。
MS、プレゼン機能付きマウス「Presenter Mouse 8000」などワイヤレスマウス2モデル
マイクロソフト、国内最小のワイヤレスプレゼンマウス発売
マイクロソフトがIntel Mac対応ワイヤレスレーザーマウスなど7製品を発売
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第2回 Windows Aeroの謎に迫る
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