林信行 iPhoneの日本進出については非常におもしろい議論が行われています。日本の人々にiPhoneを見せると「欲しい」という声が上がる一方で、日本の携帯電話に精通している欧米の人に意見を求めると「日本の携帯電話はiPhoneよりも先進的だから、日本ではiPhoneは売れない」という意見が返ってきます。御社ではiPhoneが日本でどのように受け入れられるとお考えですか?
ボーチャーズ氏 これは我々にとっても非常に大きなチャンスになると思っています。日本はアップルにとっても非常に大きなマーケットで、iPodビジネスも非常にうまく行っていますし、Macのビジネスにも火がつきました。また、日本は我々のものづくりに対する態度を非常によく理解してくれる国だとも思っています。それだけに日本は非常に大きなチャンスを我々に与えてくれると思っています。
確かに日本は非常にユニークな市場だといえるでしょう。どこの国も、その国ならではのユニークさというものがあります。しかし、障害を乗り越えてでも進出すべき市場だと思っていますし、進出した際のチャンスは大きいと思っています。7月11日に、日本進出する日を楽しみにしています。
――日本などでは無線機器としての認可は受けているのでしょうか?(すでに認可は受け終わっているのでしょうか?)
ボーチャーズ氏 国ごとに規制が異なっており、認可を得るのはなかなか大変なことですが、もちろん受けています。これは簡単な作業ではありませんが、きちんと取り組んでいます。
林信行 基調講演では、位置情報を使った新機能のtrackingやサードパーティ製アプリケーションが紹介されましたが、今後、こうした位置情報の利用は広まっていくとお考えですか?
ボーチャーズ氏 ええ、そう思っています。iPhoneではGPSにWi-Fi、そして携帯電話網の電波を組み合わせた位置特定機能を採用していますが、開発者はこれを使ったアプリケーション開発が可能で、写真にGeoタグ情報(緯度経度情報)を埋め込んだり……
林信行 iPhone標準の写真機能に、Geoタグを埋め込む機能が内蔵されているということですか?
ボーチャーズ氏 ええ、そうです。
――その機能はもちろん、無効にすることもできるんですよね。人によっては、プライベートな位置情報を、Flickrなどのサイトで公開することに抵抗を感じることもあります。
ボーチャーズ氏 そうですね。Geoタグ埋め込み機能は、もちろん、オン/オフができるようになっていて、埋め込むときはユーザーにきちんと埋め込んでいいか許可を求めるようになっています。
――70カ国で売られるiPhoneは、すべて同じハードウェアでしょうか?
ボーチャーズ氏 そうです。iPhone本体のハードウェアはすべて同じです。
――では、SIMロックの作業はどこの段階で行われるのですか?
ボーチャーズ氏 それは市場によって異なります。日本の状況についても、もう少し発売時期が迫ったころに発表することになります。
――現行の.macのユーザーは、そのままMobileMeに移行して大容量ストレージが利用できるようになるのでしょうか?
サイトウ氏 そのとおりです。7月にサービスが始まれば10Gバイト、20Gバイトの容量を使うことが可能になります。
林信行 .mac機能は、MobileMeの新規ユーザーも利用可能なのでしょうか?
(注:基調講演では、MobileMeサービスの開始と同時に.macのサービスはなくなるが、これまでの.macユーザーは、「mac.com」のアドレスを始めとする従来の.macのサービスもそのまま引き続き利用できるという紹介があった)
サイトウ氏 ええ、その予定です。我々は.macの主要機能を、MobileMeに移行しました。例えば、写真共有やWebサイトを公開する「My Web」、書類を保管しておくためのiDisk、外出先から自宅のMacにアクセスするための「どこでもMy Mac」といった機能はすべて継承されます。
その一方で、.macのいくつかのサービスは、終了します。例えば、グリーティングカードを送るサービスの「iCards」、Webブラウザを使ったブックマーク表示などです。
――Windows機のブックマークをMobileMeと同期することは可能ですか?
サイトウ氏 できます。
以上、15分を予定していた短いインタビューだったが、これを大幅に超過し20分経ったためにこれが最後の質問となった。
MobileMeについての質問がほとんどできなかったのが残念だが、それはどこのプレスも同じ。今回は世界各国から多くのプレスが集まり、日本のプレスだけでも数グループに分かれてグループインタビューが行われたほどだ。
iPhoneの展開に関してはまだまだ未知の部分が多いが、これは答えを隠しているのではなく、まだこれから話し合って決めていく部分が多そうだという印象を受けた。
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