「VAIO type A」の写真特化モデルを検証する:速くてキレイな特大ノート(3/4 ページ)

» 2009年03月19日 16時00分 公開
[都築航一(撮影:矢野渉),ITmedia]

シーン1:デジタル一眼レフカメラと一緒に持ち出して使う

 VAIOのラインアップでは、液晶一体型デスクトップPCの「VAIO type R」にもフォトエディションモデルがあり、やはり広色域の液晶ディスプレイ(Adobe RGBカバー率96%の25.5型WUXGAパネル)を特徴としているが、type Rにはできない芸当として、VAIO type AはPCそのものを外へ持ち出して使うことができる。ノートPCだから当たり前なのだが、色再現性の高い液晶ディスプレイを含む作業環境を、そのまま持ち出せるというのがミソ。

 例えば、職業的に写真を撮っている人なら、撮影終了直後に、現場やその近くでクライアント、そのほかの関係者によるチェックを受けることもあるだろう。母艦としてのノートPCの持ち込みはもとより必須だが、高速CFスロットと広色域の大型ディスプレイにより、すばやくしかも正確に写真を見てもらえるのは、信頼感の獲得にもつながるだろう。また、副次的なメリットとして、CFスロットの内蔵は、外付けカードリーダーやアダプタを忘れてくるといった致命的ミスの防止にも貢献してくれる。

 撮影後の確認だけでなく、スタジオなどでは撮影そのものをノートPCで行なうこともある。すなわち、リモート撮影ソフトをPCにインストールし、PCから撮影操作を行なうというもの。こうしたケースでも、ホワイトバランスやピントのチェックを即座にかつ的確に行なえるのが魅力だ。フォトエディションはIEEE802.11a/b/g/n(11nはドラフト準拠)の無線LAN機能を装備しているので、無線で接続すればケーブルに足を引っ掛ける心配もない。

 ただし、光沢塗装の黒い天板に、シルバーの縁取りを加えたボディはデザインの主張が強く、高級感は確かにあるのだが、現場で広げるにはいささか気が引けるシーンがあるかもしれない。筆者個人としては、控えめなチタングレーでまとめたビデオエディションにプロの道具らしさを感じた。

 このシーン1では、幅が40センチを優に超え、重量も4キロに迫る大型ノートながら、大容量バッテリーがオプションで提供されていることもポイントだろう。標準バッテリーで公称約1.5時間、大容量バッテリーでは約2.5時間の駆動を実現し、電源が確保できない現場でもそれなりに運用できるのは、いざというときにありがたい。

天板は光沢ブラックで塗装されている(写真=左)。マットな質感のチタングレーで塗装されたビデオエディションと比べると、少々派手な印象だ(写真=中央)。巨大なノートPCだけに、標準バッテリーでの駆動時間は約1.5時間と短めで、ACアダプタも大きい(写真=右)

 このほかのオプションとしては、専用の折り畳み式ディスプレイフード「VGP-DHA1」(実売価格1万3000円前後)もユニーク。フードだけでも重量が約2キロあるので、機材はますます大げさになってしまうが、本体とフードの両方を収納可能な大型キャリングバッグ「VGP-MBA10」(実売価格2万円前後)も用意されているので、併せて検討するとよいだろう。

オプションで専用のディスプレイフードとキャリングバッグを用意(写真=左)。ディスプレイフードのVGP-DHA1は折り畳んで収納できる(写真=中央)。VGP-MBA10は、ノートPC本体とフードをまとめて収納できる2Wayタイプのキャリングケースだ(写真=右)

シーン2:RAW現像やプリントに使う

 撮影現場ではいささか強烈な個性を振りまく本体のデザインも、自宅に持ち帰って机上に置いてみると、違和感がなくなってくるから不思議だ。カメラのレンズをイメージしたという、アルミ素材の液晶ヒンジ部分はご愛嬌(あいきょう)としても、同社製デジタル一眼レフカメラ「α」シリーズのグリップ部分と同じシボ加工を施した滑り止め(エラストマー素材)をパームレストに溶着させてある点など、機能的にもビデオエディションより優れている。

αシリーズのグリップと同じエラストマー素材のパームレストが上質な雰囲気を与えている(写真=左)。液晶ヒンジ部のシリンダーデザインは、ほかのVAIOノートにも見られる特徴だ(写真=右)

 さて、撮影後に自宅で行なうことといえば、写真データを改めて調整し、データとして完成させる工程、場合によっては、さらに紙に出力するという工程だろう。デジタル写真編集のワークフローでも中核を担う部分だ。このときはディスプレイ上に画像が正しく表示されていることが何より重要になる。すなわち、ディスプレイの特性に合わせて表示設定が調整された状態で、色空間を正しく扱えるソフトウェアを使うことが求められる。

 前述の通り、VAIO type Aでは利用するアプリケーションに応じてディスプレイの表示設定を簡単に調整できる「色モード」が搭載され、写真編集のワークフローをアシストする。フォトエディションでは5つのモードがプリセットとして用意されているが、編集の際は色温度が6500Kに固定され、ICCプロファイルが適用される「標準」モードを利用するのがよいだろう。また、DTPや印刷を前提に編集する場合を想定して、同じくICCプロファイルを適用し、色温度を5000Kに設定する「プリント」モードも選べる。

「VAIOの設定」にある色モードの設定(写真=左)。扱うコンテンツごとに最適な色モードへ自動で切り替えることも可能だ。写真編集の際は、色温度を6500Kに設定し、ICCプロファイルを適用する「標準」が推奨されており、実際にも「標準」に固定しておくのが使いやすかった。色モードを適用しない設定にすれば、色温度を5000K、6500K、9300Kから選択することもできる(写真=中央)。NVIDIAの「PureVideo」を用いて実現されるノイズリダクション、アップスケーリング、高画質I/P変換、シャープネスの高画質化技術「Motion Reality HD」も備えている(写真=右)

 写真調整用のソフトウェアとしては、アドビシステムズの「Adobe Photoshop Lightroom 2.2」(64ビット対応版)が導入済みだ。写真の一括管理から調整、RAW現像、印刷までを一貫して、しかも簡単に行なえる。画面の構成も横長のディスプレイを意識したもので、本製品とよくマッチする。なお、撮影機が同社のデジタル一眼レフカメラである場合は、カメラ本体の画作りに近い調整値を持つプリセットデータ「αプリセット」が利用でき、さらに一体感のある運用が可能になる。

 フルバージョンのフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop CS4」はパッケージには含まれておらず、ソニースタイル直販のVAIOオーナーメードモデルでのオプションという扱いだ。ただし、簡易版の「Adobe Photoshop Elements 7」は全モデルで標準添付されており、こちらでも写真の調整やRAW現像といった一連の作業は可能なので、使い慣れたほうを選ぶ余地は残されている。簡易版とはいえ、高度なフォトレタッチも十分可能だ。

 調整が完了した写真を紙に出力する場合は、ディスプレイとプリンタとのカラーマッチングが重要になるが、ICCプロファイルに対応したプリンタであれば、カラーマネジメントがきいた状態での印刷が可能だ。また、Adobe Photoshop Elements 7を使っている場合は、エプソンの特定のプリンタとの組み合わせに限定されるものの、高度な印刷を行なえるプラグインソフト「Epson Print Plug-in for Photoshop」を利用できるのが便利だ。

フォトエディションで標準の写真管理・編集ソフトに指定されている「Adobe Photoshop Lightroom 2」は、64ビット版のバージョン2.2が導入済みで、写真の管理や色調整を快適に進めることができる(写真=左)。Lightroomより細かなフォトレタッチに対応する「Photoshop Elements 7」も搭載しており、こちらでもRAWモードで撮影した写真の管理や編集が可能だ(写真=中央)。PhotoshopおよびPhotoshop Elementsと一部のエプソン製プリンタとの組み合わせで紙に出力する場合は、「Epson Print Plug-in for Photoshop」も利用できる(写真=右)

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