ワコム製の液晶タブレットを内蔵し、ペン入力に対応するMac――それが米アクシオトロンの「ModBook」だ。同社が最近、アップルのもうひとりの創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏をアドバイザーに迎えたことや、MacBook Pro相当の機能を備えた「ModBook Pro」を発表したことは、Macworldの現地リポートでお伝えしたとおり(「アップル創業者が黒いタブレットMacを発表」)。
残念ながらModBook Proは、完成が遅れて2009年夏以降の発売になりそうだが、現在、同社は米国ではすっかり定番となった主力製品、ModBookの日本での販売パートナーを模索している。同機を持って来日していた関係者が、PC USER編集部を訪れて実機を見せてくれた。
ところでMacに詳しい人なら、Mac OS X搭載機が他社から発売されることをアップルが認めていることや、共同創業者が事業に関与していることに疑問を持つ人がいるかもしれない。アップルはかつて他社によるMac互換機の開発を認めていたものの、1998年以降はこれを許可しておらず、ここ数年に登場したMac互換機メーカーはことごとくアップルに訴えられているからだ。
実はアクシオトロンのModBookは、Mac互換機ではない。Modとは「改造」のことであり、ModBookとは改造を加えたMacそのものなのだ。アクシオトロンの本当の製品はModBookそのものではなく、「ModBook Kit」という改造用キットであり、同社はこれをアップル認定のMac修理サービス業者向けに販売している。
ModBookを手に入れたいユーザーは、アクシオトロンのWebページで「ModService」(改造サービス)を提供する修理サービス事業社を見つけることから始める。サービス事業社にModBookのオーダーを入れると、そこがMacBookホワイトを独自に仕入れたうえで、ModBookに改造して製品を送ってくれる。価格は999USドルのMacBook代込みで2248USドルからだが、すでにMacBookホワイトを持っている人は、それを送ってModServiceだけを受けることもできる(この場合の価格は1299USドルから)。
このようにModBookは、通常のPCショップではなく、改造サービスを施せるアップル認定の修理サービス事業社経由で販売されている。現在アクシオトロンでは、日本国内で同様のサービスを提供できる事業社を探している。興味のあるサービス事業社はぜひメールを送って連絡を取ってみてほしい(→宛先:japan@axiotron.com)。日本語でもOKだ。
さて、ここで実際にModBookがどんな製品かを見てみよう。ModBookは、MacBookホワイトをベースにした製品だ。折りたたみ式のMacBookホワイトからヒンジ機構とキーボードを取り去り、液晶画面を含むトップパーツを、ワコム製の液晶タブレットで置き換えた1枚板の構造になっている。
バッテリーコンパートメントを含むボトムパーツは、MacBookホワイトのパーツをそのまま流用するが、そこから上はマグネシウム製の独自パーツで置き換えている。マグネシウムパーツの天板パーツには、MacBookホワイトと同じ13.3型サイズの液晶ペンタブレットが埋め込まれ、手前左側にはスタイラスペンの収納スペースが用意されている。
画面の左上には電源ボタンとUSB信号をリセットするModキーと呼ばれるボタンもある。たまにModBookをスリープから復帰させたとき、Macの仕様上、ペンタブレットが反応しなくなることがあるが、そういう時はModキーを押してUSB信号をリセットすると問題が解決する。
MacBookホワイトの液晶回りに用意されていたハードウェア機能もきちんと継承されている。液晶部の上にはMacBook備え付けのiSightと、iSightの使用状況を示す緑色のインジケーター、そしてマイクが内蔵されている。
ちなみにこれらのハードウェアを収めたハウジングの内側には、従来のMacBookホワイトにはなかったもう1つの機能として、GPSが内蔵されている(Modキーを押して機能させることができる)。GPSの情報は付属の「GPSNavX」というアプリケーションを使って取得できるほか、Google Earthなどのアプリケーションとの連携も可能だ。
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