“DX10.1対応”統合型チップセット「AMD 785G」の意外なお得度イマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2009年08月04日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

統合型チップセットで初めてDirectX 10.1に対応

 AMDからメインストリーム向け統合チップセットの新モデル「AMD 785G」が登場した。AMD 780Gからは型番が「5」上がっただけのマイナーバージョンアップにも見えるが、統合されたグラフィックスコアの開発コード名が「RV620」であることが示すように、新世代のチップセットとしての機能が盛り込まれている。

 その典型的な例がDirectXの対応だ。AMD 780GがDirectX 10対応だったのに対し、AMD 785GではDirectX 10.1までサポートが広がった。ほかにも、UVDでバージョン2がサポートされるほか、GPGPUを利用する機能を含む「ATI Stream」にも対応することになった。このように、型番の違いはわずかでも、実際には多くのアップデートが行われている。すでに登場しているAMD 780GとAMD 790GXと機能を比較してみると次のようになる。

ノースブリッジ AMD 785G AMD 790GX AMD 780G
サウスブリッジ SB7x0 SB7x0 SB7x0
統合GPU Radeon HD 4200 Radeon HD 3300 Radeon HD 3200
DirectXサポート 10.1 10 10
GPU開発コード名 RV620 RV610 RV610
シェーダ数 40 40 40
プロセスルール 55ナノメートル 55ナノメートル 55ナノメートル
SidePortMemory
UVD UVD2 UVD UVD
CrossFireX × x8+x8 ×
HybridCrossFireX
DisplayPort
HDMI 1.3 1.2 1.2

 AMD 785Gに統合されたグラフィックスコア「Radeon HD 4200」の製造プロセスは、AMD 780GのRadeon HD 3200やAMD 790GXのRadeon HD 3300から変更していない。搭載するシェーダユニットの数も同じだ。また、(Catalyst Control Centerで確認できる情報によると)コアクロックはRadeon HD 3200と同じ500MHzとなっている。ちなみにRadeon HD 3300は700MHzであるので、コアクロックを並べると、Radeon HD 3300>Radeon HD 4200=Radeon HD 3200という序列になる。この並びはチップセット型番の大小に等しい。

Catalyst Control Centerで確認したRadeon HD 4200のスペック。定格設定のコアクロックは500MHzで700MHzのAMD 790GXに及ばない

AMD 785Gのグラフィックス性能は設定次第でAMD 790GXに迫る?

 今回の評価作業で使用したAMD 785G搭載マザーボードはASUSの「M4A785TD-V EVO」だ。同社ではAMD 785G搭載マザーボードを3製品ラインアップしているが、そのなかで唯一となるATXフォームファクタ対応のモデルだ。サウスブリッジはSB710を載せている。

ASUSの「M4A785TD-V EVO」はAMD 785GとSB710を搭載した拡張性の高いATXマザーボードだ。ASUSのWebページでは、このほかもmicro ATXマザーボードが2モデル用意されている

 M4A785TD-V EVOはSocket AM3対応でDDR3メモリスロットを4基搭載する。コネクタやヒートシンクの青いカラーリングが印象的だ。CPU電源供給回路は8+2フェーズ構成で、ASUSが独自に開発した省電力制御エンジン「EPU」に対応する。サポートするCPUのTDPは最大140ワットとメインストリームモデルより高い。

 バックパネルにはアナログRGB出力とDVIに加えて、HDMI出力も備えている。また、統合されたグラフィックスコアが使えるDDR3-1333 128Mバイトの「サイドポートメモリ」を実装しており、メインメモリの共有利用時よりも3D性能の向上が期待できる。

 拡張スロットの構成は、PCI Express x16が2基(x16、x4)、PCI Express x1が1基、PCIが3基となる。また、SB710がサポートする6ポートのSerial ATAのうち、1ポートをeSATAとして使えるようにデザインされているのも特徴だ。

 今回の性能評価では、比較対象としてAMD 790GXとSB750を搭載したマザーボードを用意した。こちらもSocket AM3に対応したモデルで、DDR3-1333 128Mバイトのサイドポートメモリを搭載するなどM4A785TD-V EVOと構成をそろえている。そのほかのシステムを構成するパーツでも、メモリ、HDDなど、両者で共通にした。

 なお、「M4A785TD-V EVO」では統合されたRadeon HD 4200のコアクロックを設定できる機能がBIOSに用意されている。そこで、この機能を使って700MHzと750MHzで動作させてみたので、その結果も合わせて比較してみよう。なお、コア700MHzは定格電圧でテストが完走したが、750MHz時はチップセット電圧を0.6ボルトほど昇圧しなければ完走しなかったことを付記しておく。

ヒートシンク下にサイドポートメモリとともに搭載された「AMD 785G IGP」(写真=左)。サイドポートメモリには「NANYAのNT5CB64M16AP-CG」が使われていた。容量は128Mバイト(64Mビット×16)、DDR3-1333でCL9に初期設定されている(写真=右)

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