「Windows 7前の買い控えに勝てなかったのでは」――BLESS閉店を巡って:古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2009年10月05日 14時45分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

「もう少しでトンネルの出口だったんですけどね」――BLESS終了における周辺ショップの反応

神田明神通りで営業していたありし日のBLESS秋葉原本店

 既報のとおり、BLESSは9月29日付けで廃業を告知し、秋葉原本店やネットショップの営業を停止した。処理を担当する小川総合法律事務所によると、10月2日に裁判所へ破産申請の手続きを提出しており、その際に記載した負債総額は2億6500万円となっている。7年間営業していた神田明神通りの店舗から2009年7月に現店舗で移ったばかりの閉店に、周囲のショップは驚きを隠せない。ただし、経営が厳しいというウワサは以前から流れていたようだ。

 T-ZONE.PC DIY SHOPは「秋葉原駅からみてPCパーツショップエリアの玄関口という格好の場所にある店舗から、ビルの2階というアクセスしづらい場所に移った時点で少し心配でしたね。前店舗の賃貸料の支払いが厳しくなってきたから移転したというウワサが流れていましたし」と語る。

 また別のショップは「営業や流通レベルでは、店舗の移転より数カ月前から経営が苦しいのではという情報が流れていたみたいです。実際、私が新店舗に寄ったときは、品ぞろえが少なくなっていて、スタッフにも覇気がなかった。みんな必死にがんばっていたとは思いますが……」と話していた。

 2006〜7年ごろから、アキバのPCパーツショップの間では「自作PC市場は縮小傾向にある。そのなかでどう生き残っていくか」といった認識が公然と語られるようになっていた。その生き残りの方法として、「圧倒的なシェアを勝ち取って不可欠な存在になる」「体(経営規模)を小さくして、大きな波にも対応できるようにする」という2つが挙げられることが多い。それだけに、チェーン展開しない“小さな体”を持っていたBLESSの終了にショックを受けるショップ店員も少なくない。

 TSUKUMO eX.の店員さんは「ウチは体が大きすぎて回りきれなくなったと言われましたが、BLESSさんは逆の作戦をとってもああなってしまった。結局のところ、体力をどれだけ持っているかなんですかね。確実に安全な場所なんてなくて、それぞれが状況に合わせてうまく対応していくしかないのでしょう」とつぶやいていた。

 そうした苦しい状況のなかで、希望の星としてよく話題に上ったのがWindows 7の発売だ。前評判の高い新OSの登場で自作マシンの乗り換えや買い足し需要が起き、街全体の景気を底上げすると期待されていた。BLESS秋葉原本店のスタッフも「自作パーツ市場にどれだけの特需が起きるのか見えませんが、うまくいけばWindows Vistaのときより大きな波は期待できると思います。Vistaを導入しないでXPマシンを使い続けている人は結構多いですが、あまり古いマシンだと『これを機に新調するか』となる。タイミング的にもXP時代から3年近く経っているので、潜在的な需要が一気に表に出てくる可能性はあるでしょう」と話していた。

 実際、9月末からスタートしたWindows 7の予約受付は好調で、Windows 7 Ultimate パーツバンドル予約限定プレミアムセット」を1週間で売り切ったショップもある。そんな好結果が期待できる状況下で、Windows 7解禁前の最後の月末をBLESSは乗り切ることができなかった。

 某ショップの店員さんのコメントが印象的だ。「一般的に、登場直前の商品の期待が大きいほど買い控えの影響は大きくなります。今回はOSで、しかも前評判はご存じの通りですから、買い控えの度合いは正直、かなり高いんですよ。大きな波が来る前は大きな引き潮があるわけで、BLESSさんはその直前のマイナスに勝てなかったんじゃないですかね。もう少しでトンネルの出口だったのに……残念ですよ」。

移転後のBLESS秋葉原本店(写真=左)。10月2日、2階の店舗入り口に続く階段には商品POPなどがそのまま残されていたが、扉は閉じられたままだった(写真=中央)。予約受付の限定モデルが1週間で完売したT-ZONE.PC DIY SHOP。Windows 7はすでに大ヒットの予感を漂わせている(写真=右)

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