ATOKを語る際に、常に大きなポイントとなるのがその価格だ。ATOKのよさを知る古参ユーザーの多くは、“お布施”と称して毎年きちんとバージョンアップを行っているようだが、これまで無料のIMEを使用しており、今回初めてATOKを試すというユーザーにとっては、ダウンロード版でも「高いな」と感じるかもしれない。そんな人はまず、30日間利用できる無償試用版を試してほしい。その後、もうちょっと使ってみたいと感じたら、月々300円の「ATOK for Windows 月額版」を購入するといいだろう。1日10円程度で常に最新版のATOKが利用可能だ。
そしていつしかATOKの日本語入力が手になじみ、「もう手放せない」と感じたら、今度は毎年バージョンアップしていくことを前提として、さらにお得な「ATOK 2010 スターターパック 1Year版」に移行するのも手だ。月額版では1年で3600円(無償試用版から利用した場合は3300円)であるのに対し、1Year版だと3360円になる。また、同時に使用しないという条件で、かつ利用者が一人に限られている場合は、10台までのPCにセットアップすることができる。パッケージ版に比べてPCインストール台数に制限が設けられているが、通常は10台も使用することはないだろう。
Google日本語入力は、Googleの持つ膨大なサンプルを元に、統計的手法を用いて変換候補の精度向上を図っている。しかし、実際に使用して感じるのは、集合知に基づいた変換エンジンは結果的に精度よりも省入力にフォーカスされる傾向にあるということだ。事実、文脈として正しくなくても利用頻度の高い候補のほうが優先される。一方、ATOKも連想変換を搭載しているが、ベースとなっているのはやはり、精度の高い日本語変換能力で、“育ちのよい正しい日本語”を前提にしていながらさらに融通もきく、という印象を受ける。
すでにかなり高いレベルにまで達していた変換精度をじわじわと上げつつ、カスタマイズ可能な設定を充実させることで、より多くの人のニーズにマッチした使用感を実現し、さらに日本語という枠にとどまらない入力支援ツールとして機能拡張を図るATOK。その円熟の技を体験するのに1日10円は破格と言っていいはずだ。
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