好調「Kindle」の死角:米国電子書籍事情(2/2 ページ)

» 2010年03月23日 17時00分 公開
[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]
前のページへ 1|2       

図書館で増える「貸し出し可能な電子書籍」

米国の公立図書館の多くで電子書籍リーダーとして採用されているOverDrive。WindowsやMac OS、Androidなどに対応するコンソールツールを配布している

 米国のほとんどの図書館で電子書籍のオンラインダウンロードサービスを提供している。その多くがOverDriveのシステムを採用しており、同社のソフトウェアが採用するファイル形式をサポートする電子書籍リーダーで読むことができる。

 例えば、筆者が住むシアトルを含むキングカウンティの図書館では、OverDriveのシステムを採用して、デジタル著作権保護対応のEPUB、およびPDF eBook、Mobipoket eBooksのファイル形式による電子書籍ダウンロードサービスを提供している。提供可能なファイル形式はタイトルによって異なり、iPodなどの携帯メディアプレイヤーで再生できるMP3やWMA形式のオーディオブックを用意しているタイトルもある。

 貸し出し可能期間もタイトルによって異なり、自分で短めに設定することもできる。設定期間が過ぎると自動的に閲覧不可になるため、(返却のためにファイルの)アップロードなどをする必要はない。また、予定より早く読み終わった場合、Adobeのファイル形式を採用する電子書籍はソフトウェアを使って早めに返却できるが、Mobipocket eBook形式の電子書籍はライセンス条件により不可となっている。

図書館で借りた電子書籍がKindleで読めない!

ニューヨーク公立図書館のWebページに用意された電子書籍関連書架。リーダーソフトウェアとしてOverDriveの「Media Console」などが利用できる

 図書館のオンラインサイトで提供しているファイル形式をKindleはサポートしていない。そのため、Kindleを持っていても図書館の電子書籍ダウンロードサービスを利用できない。一方で、EPUBに対応するソニーのDigital Readerでもnookでも図書館の電子書籍を利用できる。今後市場に投入される新製品も、ほぼすべてがEPUBを採用する見込みだ。

 この点に関して積極的にプロモーションしていないことが不思議なぐらいだが、確かに、図書館から電子書籍で借りられるタイトルの数はまだ少なく、これに対応していることのメリットは現時点でそれほど大きくないのかもしれない。しかし、今後充実していくことは間違いなく、電子書籍リーダーを選択する基準の1つになっていくだろう。また、EPUBを採用する電子書籍が拡大して標準となるに従い、EPUBのみに対応する新たなサービスが生まれていく可能性もある。

 これまで電子書籍リーダー市場で一人勝ちしてきたAmazon.comだが、Kindleと競合製品の対決構図ができつつある米国の電子書籍リーダー市場において、Kindleがどこまで独自路線を貫き通し続けられるかに、業界が注目している。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー