SYSmark 2007 Preview Patch5の結果は、E-LerningでPhenom II X4 965 BEをやや下回り、Productivityであまり差のでない結果となったが、VideoCreation、および3Dで大幅にスコアを上げ、Overallでは12ポイントの差をつけた。
PCMark 05は、マルチスレッドに対応しているとはいえ、4スレッド以下のテストにとどまるため、6コアのパフォーマンスをすべて引き出せない。ただ、CPU Testに関してはTurbo Coreが効いたのだろうか、1090T BEでスコアが上回っている。一方、PCMark VantageではTV and Moviesを除くすべてのテストでPhenom II X4 965 BEのスコアを下回った。
SandraのCPU関連テストは、6コアに対応しているだけあって高い結果を出している。“Thuban”のコア特性を測るため、動作クロックを3.2GHzに設定したPhenom II X4 965 BEでも測定したが、その結果を1.5倍するとちょうど1090T BEのスコアとなることから、CPUのコアに大幅な変更は加えられていないと考えていいだろう。また、CINEBENCH R11.5でも同様の傾向が確認された。
MediaShow Espressoによるトランスコードテストでは、MediaShow Espressoの同時実行スレッド設定が1スレッド、2スレッドおよび4スレッドの3種類で6コアを使い切ることができないため、1つのファイルを実行した場合と、6ファイルを4スレッドで実行した場合の2パターンで計測した。結果はともに1090T BEが最速となった。
3DMark VantageはCPUスコアを伸ばしているもののGraphicスコアはさほど変わらない。これは、ほかの3Dベンチマークテストでも同様だった。ストリートファイターIVのように、4コアへの最適化をうたうタイトルでも3.2GHzに動作クロックを設定したPhenom II X4 965 BEと比較するとほぼ同等のスコアになっている。
消費電力の測定では、1090T BEがピーク時で200ワットを超え、Phenom II X4 965 BEよりも高い消費電力となったものの、その差はわずかに7ワットで、確かにTDP125ワットの枠に収まっているように思える。また、アイドル時に関しては、(動作クロックの差はあれど)Phenom II X4 965 BEに対してさらに14ワット近く下がっている。
コア数が増えたとはいえ、単純に性能が上がるわけではないというのはAMDの“Thuban”もインテルの“Gulftown”も同様だが、6コアをフルで活用するアプリケーションやベンチマークテストではその成績が確実に向上する。また、自動オーバークロック機能「Turbo Core」によって、動くスレッド数の少ない場合でも、条件によってはより高クロックなPhenom II X4 965 BEを上回ることも確認できた。「自作PCには“インパクト”や“遊びごころ”が重要」と考えるユーザーなら積極的に導入する価値はある。
しかも、1090T BEの実売価格は3万円台半ば、1055Tにいたっては2万円台になるといわれている。もちろん、既存のクアッドコアCPUと比べるとやや高いが、現実的な予算で6コアが購入できる意義は大きい。トランスコードのような処理ではコア数に見合った効果で処理時間を短縮し、アイドル時の消費電力はPhenom II X4 965 BEより少ないという6コアCPUというのは、意外と「ジャストフィット」な製品といえるのではないだろうか。
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