デルの“一味違う”低価格モバイルノート――「Inspiron M301z」を駆る“Nile”という新しい選択肢(1/3 ページ)

» 2010年06月04日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

新プラットフォーム&スタイリッシュボディで攻める

「Inspiron M301z」

 デルが5月14日に発売した「Inspiron M301z」は、13.3型ワイド液晶ディスプレイを備えた低価格のモバイルノートPCだ。AMDのNile(開発コードネーム)と呼ばれる超薄型ノートPC向けの新プラットフォームを採用し、高機能とリーズナブルな価格を両立している。

 天面とボトムをシルバー、液晶ディスプレイ周囲とキーボードをブラックで塗り分けたボディは、すっきりしたフラットなフォルムが洗練された雰囲気だ。天面とパームレストはヘアラインの上から光沢のあるコーティングがなされている。シルバーはやや暗めのトーンで、金属的な質感とつややかな光沢により、上品な仕上がりとなっている。表面には指紋の付きにくい加工がされており、ベトつくような感触がない点も好印象だ。

 ボディサイズは328(幅)×235.5(奥行き)×24(高さ)ミリ、重量は1.77キロ(最小構成時)。実測での重量は1.793キロだった。光学ドライブを内蔵しないモバイルノートPCとしてはやや重いが、インテルの超低電圧版CPUを搭載した低価格のモバイルノートPC、いわゆるCULVノートPCとほぼ同じような水準にある。

 底面に搭載したリチウムイオンバッテリーの容量は44ワットアワー、公称の駆動時間は5時間22分とされている。ACアダプタのサイズは実測で45(幅)×105(奥行き)×28(高さ)ミリと標準的だが、電源ケーブルが3ピンで太くかさばるため、電源ケーブルを含めた重量は実測で363グラムとやや重い。

ボディカラーは「マーキュリー・シルバー」。天面とパームレストには汚れにくい加工が施されている
バッテリーは底面のパームレスト下に装着する。ACアダプタは電源ケーブルが3ピンで太いのが惜しい

AMDの新プラットフォーム“Nile”を採用

 冒頭でも述べたように、ベースとなる基本システムにはAMDのNileプラットフォームを採用する。Congo(開発コードネーム)の後継となるAMDの新しい超薄型ノートPC向けプラットフォームで、CPUの製造プロセスルールが65ナノメートルから45ナノメートルへと進化するとともに、チップセットもDirectX 10対応グラフィックス機能を内蔵するAMD M780GからDirectX 10.1対応グラフィックス機能を内蔵するAMD M880Gへと移行したものだ。

 Inspiron M301zの基本パーツはBTOにより、ある程度カスタマイズできる。CPUの選択肢は2種類が用意されており、Turion II Neo K625(1.5GHz/2次キャッシュ2Mバイト)か、Athlon II Neo K325(1.3GHz/2次キャッシュ2Mバイト)が選べる。AMDの薄型ノートPC向けCPUは製品名が分かりにくいが、上位のTurion、下位のAthlonというブランドと上下関係は維持しつつ、“II”が45ナノメートルプロセスルール世代を示し、“Neo”が超薄型ノートPC向けの超低電圧版であることを表している。

 選択できるCPUはどちらもデュアルコアだが、従来のAMD製デュアルコアCPUに使われていた“X2”の文字は製品名から省かれている。TDP(熱設計消費電力)はTurion II Neo K625が15ワット、Athlon II Neo K325が12ワットと、65ナノメートルプロセスルール世代のTurion Neo X2 L625/Athlon Neo X2 L325に比べて、それぞれ3ワット/6ワット低くなっている。

 チップセットのAMD M880G(開発コードネーム:RS880M)は、グラフィックスコアのATI Radeon HD 4255を内蔵しており、DirectX 10.1対応の3D描画機能、HD動画再生支援機能(UVD2)に対応している。対応ソフトを使えば、HD動画を少ないCPU負荷で快適に再生できる。また、GPGPU機能のATI Streamも利用でき、対応ソフトでは動画エンコードなどを高速に行なえる。ちなみに、Windows Media Player 12でAVCHD動画(720p)を再生したところ、CPU負荷率は30%前後に収まっていた。

CPU-Z 1.54の情報表示画面(写真=左/中央)。今回入手した機材は、CPUに45ナノメートル製造プロセスルール採用の超薄型ノートPC向けCPU「Turion II Neo K625」を搭載していた。TDP 15ワットのデュアルコアCPUで、定格動作クロックは1.5GHz、内蔵2次キャッシュは2Mバイトというスペックだ。省電力機能のPowerNow!により、アイドル時は最低800MHzまで動作クロックが下がる。GPU-Z 0.4.3の情報表示画面(写真=右)。チップセットはAMD M880Gチップセットを採用する。チップセット内蔵グラフィックスコアのATI Radeon HD 4255はDirectX 10.1に対応するほか、HD動画の再生支援機能(UVD2)を搭載する

 メインメモリはPC3-6400(DDR3-6400 SDRAM)をサポートし、2Gバイト(2Gバイト×1枚)と4Gバイト(2Gバイト×2枚)の構成が選べる。メモリは2枚1組で利用するとデュアルチャンネルアクセスが可能になるので、できれば4Gバイトの構成にしたいところだ。メモリスロットは底面のカバー内に2基を用意している。

 データストレージは標準的な2.5インチSerial ATA HDDを採用しており、選択肢としては250Gバイト(5400rpm)、320Gバイト(7200rpm)、500Gバイト(7200rpm)の3種類が用意されている。光学ドライブは内蔵しない1スピンドル構成だ。

eSATA/USB2.0兼用ポートやHDMI出力など充実のインタフェース

 通信機能は、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備し、Bluetooth 2.1+EDRも追加可能だ。

 本体装備の端子類はeSATA/USB 2.0兼用ポートが1基、UBS 2.0ポートが2基あり、7 in 1メモリースロット(SDHC対応SDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO/xDピクチャカードなどに対応)、音声入出力を装備する。ディスプレイ出力はアナログRGBを省く一方、デジタル接続のHDMIとMini DisplayPortをそろえた構成だ。液晶ディスプレイのフレーム上部には、130万画素のWebカメラとマイクも内蔵している。10万円以下のモバイルノートPCとしては充実した内容だ。

前面底部にステレオスピーカーを配置
背面のカバーを開けると、HDMI出力とMini DisplayPort出力が現れる

左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、2基のUSB 2.0ポート、通風口が配置されている
右側面は有線LAN、ヘッドフォン、マイク、eSATA/USB 2.0兼用ポート、メモリカード(ダミーカード装着済み)が並ぶ

SRS Premium Sound機能の有効/無効およびコンテンツの選択は「コントロールパネル」の「IDT HD Sound」設定画面から行える

 前面底部にはステレオスピーカー(出力0.5ワット+0.5ワット)を内蔵しているが、小口径スピーカーの設計上の制約を超えた立体感あるサウンドを再現する機能「SRS Premium Sound」に対応しているのもポイントといえる。

 SRS Premium Soundは、人の声の周波数帯を強調したり、空間音響情報を再現したり、重低音を感じさせる処理などを施すことで、リアリティの高いサウンドを楽しめる技術だ。これを有効にすると、無効時とは段違いの迫力、臨場感でサウンドが楽しめる。特に映画などでは効果が高い。

 あまり大きなスピーカーを内蔵できないモバイルノートPCでもエンターテインメントコンテンツを存分に楽しみたいというユーザーにとっては、SRS Premium Soundへの対応がアドバンテージといっていい。

Inspiron M301zのデバイスマネージャ画面。今回入手した機材のデータストレージは、Western Digitalの2.5インチ250GバイトHDD「WD2500BEVT」(5400rpm)を搭載していた

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