マイクロソフトは10月12日、リリースより1年(VLは2009年9月1日、OEMは同10月22日)となるWindows 7に関するメディア向け説明会を実施。同社コマーシャルWindows本部 業務執行役員の中川哲本部長が今後の展開施策を含むWindows 7の法人向け戦略を説明した。
企業内クライアントPCにおけるWindows 7へのリプレースは、Windows 7発売時(2009年11月時点)の228社に対し、2010年5月末時点で約5360社、2010年9月末時点で8208社がボリュームライセンス(VL)で導入しているとし、「出荷1年の進ちょくとしては非常に順調。2009年度に比べ、2010年度はWindows 7導入検討企業がかなり増えた」(中川本部長)ほど好調に推移しているという。IDC Japan調べでは、全世界のPCのうちWindows 7で稼働するPCの割合は約17%以上に達し、まだWindows 7へリプレースしていない企業の42.8%が2010年度内に、60%が3年以内に移行すると予測されている。
今まで──特に企業ユーザーに対して、PCメーカーが販売していた「Windows 7のダウングレード権を行使したWindows XPプリインストールPC」は2010年10月22日に終了する。この終了にともない、マイクロソフトは、
の3段階の施策で、企業のWindows 7移行をより手厚くサポートする考えを示す。「OEMのPC導入を含め、国内法人・団体の約25%が(ダウングレード権を行使したXPでなく)Windows 7で運用を始めています。XPが調達できなくなる──というネガティブ要因だけでなく、優れた機器が市場にすでに多々あり、環境も整ってきていることが“もうWindows 7で大丈夫”と判断していただいたのだと思います」(中川本部長)


企業向けWindows 7における現状と今後の展開予測。2010年度は「1年以内に導入」が27.6%増の約42.8%、対して「XPを継続利用」は13.6%減の約17.9%となり、Windows 7の導入を検討する企業が増えた。また、企業の6割が3年以内にリプレースすると予測される具体的な移行促進施策は、期間中は10〜15%オフとするVL割引キャンペーン(2010年12月31日まで)と「Internet Explorer移行検証ツール」の提供だ。特にInternet Explorer移行検証ツールは、Webサイトの表示がInternet Explorer(以下、IE)6とIE8でどのように・どれだけ異なるかを比較し、必要な作業工数の算出を効率化するためのリポートを作成できるもので、日本企業特有のニーズに応えて開発したという。キャプチャー取得ツールの“IECap”とキャプチャー比較ツールの“IEDiff”、2つのツールで構成される。
「“表示のずれなど、IE8で不具合の報告があったら都度修正していく”考えの他国の企業と異なり、日本ではブラウザのバージョンによって表示が異なってしまうのは許されないと考える企業が多く、Windows 7へのリプレースを終えていない企業の約65%が“Webサイトの表示検証作業が問題”と考えていたことが分りました。ある企業では、新旧のブラウザでWebサイトを印刷し、それらを重ねて透かして確認することで“表示のずれ”を1ページずつ、数百、数千ページとチェックしているといいます。Internet Explorer移行検証ツールは、OSの移行において課題になるWebアプリケーションの移行における影響度や必要な作業量の見積もりをより高い精度で行えます。“石橋をたたいても、なかなか渡らせてもらえない……”そんな日本企業/IT部門の方々のために開発しました」(中川本部長)
Internet Explorer移行検証ツールは、指定したURLの画面キャプチャー(ビットマップデータ)をIE6とIE8それぞれで自動取得し、まさに2枚を重ねて光に透かして違いをチェックするのと同様の仕組みでピクセル単位で内容を比較する(色深度や表示位置など、どの程度の違いを許容するかとするゆらぎ値の調整も可能)。対象OSはWindows XP SP3+IE6、Windows Vista SP2+IE7、Windows 7+IE8(IEDiffはWindows 7のみ)で、提供対象はMicrosoft Partner Networkデスクトップコンピテンシーを取得したパートナーとなる(パブリックなダウンロード提供は行われない)。


Internet Explorer移行検証ツールはIECapとIEDiff、2つの小ツールで構成。IECapで指定したWebサイトを自動で画面キャップチャーし、IEDiffでIE6での表示とIE8での表示をピクセル単位で比較する仕組み。動的ページも取得可能という「Citrix VDI」を展開するシトリックスとの協業で、デスクトップ仮想化インフラストラクチャ(VDI)の展開シーンも訴求。セキュリティ以外に移行期における複数OSのサポート負担を軽減する目的も含まれ、急速な成長が見込まれる分野だという。VDI向けライセンス Windows VECD/Windows VDAライセンス販売数は、昨年同期比で240%に増進したという。
最後に、高まるセキュリティ対策の必要性にともない、クラウドベースのPCセキュリティ管理「Windows Intune」を日本でも展開する。Windows Intuneは、更新プログラム管理やマルウェア保護エンジン、セキュリティポリシーの設定、リモートPCモニタリング、リモートアシスタンス、ソフトウェア・ハードウェアのインベントリ収集、ライセンス管理といったオンラインでの管理とセキュリティを実現するサービスサブスクリプションと、Windows 7 EnterpriseによるクライアントSA(ソフトウェアアシュアランス)サブスクリプションをセットにした、SMB向けサービス。リリースは2011年上半期を予定する。
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