慶應SFCとUQ、WiMAX網と学内LANをシームレス接続──2011年4月サービス開始イントラネットへのダイレクトアクセスを実現

» 2010年11月22日 13時20分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

SFC-CNSとWiMAX網を直接接続、利用者にはSFC-CNSのIPアドレスを割り当て

photo 慶應義塾大学の村井純教授とUQコミュニケーションズの渡辺文夫CTO

 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)とUQコミュニケーションズは11月22日、SFC運営の学内ネットワーク(SFC-CNS)とモバイルWiMAXネットワークをシームレスに接続する、新たなキャンパスネットワークアクセスサービスを2011年4月に開始すると発表した。

 SFC-CNSは、慶應義塾大学SFCの学生や教職員向けに提供する最先端クラスの学内ネットワーク。インターネット黎明期以前の1990年より運用され、10Gbpsの大容量バックボーンとともに学生・教職員の日常生活から最先端研究まで、学内の多方面で利用される。

 SFC-CNSはWiMAX網と直接接続することで、SFC-CNS利用者に対し「あたかも学内無線LANエリアが全国に広がったような環境」が提供できる。「私自身もWiMAXを使っており、ディスプレイを開けばパッとインターネットにもつながる利便性のよさが気に入っている。これまで以上に学術・研究リソースを活用する機会も創出できるだろうし、SFCの本質である“より新しいこと”も考えやすくなる。学生の利便性はかなり向上すると期待している」と慶應義塾大学の村井純環境情報学部長兼教授は述べる。

 主なポイントは、WiMAXネットワークといわゆるイントラネットであるSFC-CNSが、VPNなどの手段を用いずに直接接続されること。契約者別にIPアドレスの配布手段を切り分ける以外は、WiMAX網への接続手段も通常WiMAXユーザーとまったく同じ。同サービス利用者にはSFC-CNSのIPアドレスがWiMAX内蔵PCあるいはWiMAX機器に直接割り当てられるため、利用者は特別な操作や設定の必要なくSFC-CNS上で提供されるサービスを学内と同様に利用できる。SFCはSFC-CNS内特定範囲のIPアドレスをUQ側に提供し、SFC-CNS向けWiMAXサービス契約者にUQがその範囲内でIPアドレスを割り振る仕組みとなる。

photophoto イントラネットであるSFC-CNSとWiMAX網が直接つながることで、従来はVPNなどの手段を用いていた手間なども軽減される。サービスエリアは通常契約ユーザーと同じとなるが、IPアドレスはSFC-CNSの範囲のものが配布されるので、学内ネットワークで提供されるサービスをそのまま利用できる

 SFC-CNSは3Gデータ通信や光ファイバー固定回線網などを利用した外部アクセスの環境も従来より提供していたが、ダイヤルアップ接続やVPN接続といった手順やオーバーヘッドのロスなく、かつWebブラウザ認証も必要ない環境で「インターネット側のバックボーンも、一般的なISPよりは太い」(村井学部長)こと、そして「いつでも、どこでも、PCを開けば学内ネットワークに接続されている」点を大きなメリットとする。

 料金プランを含む提供条件は検討中にて追って発表する予定とするが、契約はSFC-CNS利用者がUQコミュニケーションズと行う。UQは2010年11月にSFC内基地局を設置(12月に電波発射予定)。最寄り駅からのバス走行ルートも含めたキャンパス近辺のWiMAXエリア強化にも努める。

イントラネットと直結──企業向けにも?

 このサービスは、イントラネットとWiMAX網がシームレス接続──ということで、企業に対しても“より進んだ社内ネットワークの実現”に有効な手段の1つになりえる。

 もっとも企業内イントラネットとの接続については、利用者の管理やセキュリティポリシーの設定・解決に苦労はあると思われる。セキュリティに対するリスク回避の施策は重要だが、通信環境の進化とともに業務体系も変化しつつある現状もかんがみ、従業員・スタッフの利便性を高め、ランニングコストも抑えられる可能性のある手段も存在するわけだ。

 「UQは基本的にMVNOさんも含めてインタフェースはすべてオープンに開示しております。このため、個別企業向けサービスも含めていろいろな仕組みでサービスを提供できると思います。このSFC向けサービスを分岐点に、企業向けサービスを始める可能性もあるでしょう。MVNOさんがMVNEとなって企業向けに提供する手段もあるとも思われます」(UQコミュニケーションズの渡辺文夫CTO)と、今回の取り組みはSFCのみに限定した特別な施策ではないことも強調した。


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