グラフと写真で振り返る2010年のマザーボードイマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2010年12月31日 15時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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Big Bangは健在なり

 マザーボードベンダーが、独自に用意した機能で差別化を図るハイエンドモデルだが、その典型的な例の1つが、MSIの「Big Bang」シリーズだ。そのBig BangシリーズでIntel X58 Expressを搭載した「Big Bang-XPower」をフォトレビューで紹介している。6基のメモリスロットのほか、PCI Express x16スロットも6基をずらりと並べた外観は、最上位モデルにふさわしい迫力があった。サウスブリッジはICH10Rだが、USB 3.0とSerial ATA 6Gbpsはそれぞれ専用のコントローラ(USB 3.0は「μD720200F1」、Serial ATA 6GbpsはMarvellの「88SE9128」)を実装して対応する。

 オンボードに用意された機能には、MSIのハイエンドマザーボードで採用されるタッチセンサー式のボタンで電源、リセット、「Direct OC Button」を備えていた。Direct OC Buttonは、MSI独自の自動オーバークロック設定機能「OC Genie」を有効にするもので、システムに組み込まれたパーツに対して動作チェックを行い、安定して動作するオーバークロック設定を自動で行う機能だ。

 ほかにも、各部の駆動電圧をテスターを使ってリアルタイムに測定できる「V-Check Points」や、CPU、QPI、メモリ、IOHの設定電圧の上限を拡張する「Over-Voltage Switch」、専用ケーブルでBig Bang-XPowerとつないで各部駆動電圧の設定やCPU動作クロックの変更を行う「OC Dashboard」が標準で付属した。

Intel X58 Expressを搭載して“BloomField”“Gulftown”世代のCore i7シリーズに対応する「Big Bang-XPower」は、Big Bangシリーズの最上位モデルといえる

MSIが独自に開発した自動オーバークロック機能「OC Genie」は、Big Bang-XPowerでも導入される。システム構成から安定して動作するオーバークロック設定を自動で判断する「OC Genie」スイッチとタッチセンサー式を採用する電源、リセット、そして「Direct OC Button」(写真=左)。「V-Check Points」では、CPUやVTT、メモリ、チップセットの駆動電圧をテスターを使ってリアルタイムで確認できる。テスターの測定端子と V-Checkのコネクタをつなぐ「V-Check Cable」が標準で付属する。これを使えば、測定端子を手で持たなくてもV-Checkで駆動電圧を測定できる(写真=中央)。専用ケーブルでBig Bang XPowerとつないで使う「OC Dashboard」では、各部駆動電圧の設定やCPU動作クロックの変更が可能だ(写真=右)

Fuzionも健在なり

 Big Bangシリーズで最も注目されているモデルといえば、GeForceシリーズとRadeon HDシリーズの組み合わせでマルチGPU環境が構築できてしまう「Big Bang-Fuzion」だろう。出荷直後の価格が4万円をわずかに切る「高額マザーボード」にもかかわらず、多数の“人柱志願兵”が購入した。

 出荷当初において動作は不安定で性能向上もいまひとつ思わしくなかったが、MSIが設けたWebページ「Big Bang-Fuzion 研究所」などの活動で、問題点が少しずつ解決され、その成果はイマイタレビューでも紹介している。

MSIの「Big Bang-Fuzion」は、登場当初は「“異種混合”マルチGPU環境が構築できる世界唯一のマザーボード」と紹介されていたが、今では同じ機能を持つ製品がいくつか登場している。しかし、最も早く取り組んでいるだけに、問題解決のノウハウと情報の蓄積では競合の中で最も充実していると考えられるだろう

R5770 HAWK+GeForce GTXシリーズの組み合わせで3DMark Vantage(Extreme Mode)
R5870-PM2D1G+GeForce GTXシリーズの組み合わせで3DMark Vantage(Extreme Mode)
R5750 PM2D1G+GeForce GTXシリーズの組み合わせで3DMark Vantage(Extreme Mode)


 2011年は早々にインテルとAMDから新世代のCPUが発表され、それに対応したマザーボードも各ベンダーから一斉に投入されるはずだ。すでに、2010年の年末にIntel 6シリーズチップセットを搭載したサンプルボードが公開され、そのいくつかをフォトレビューで紹介している。そのいずれも、独自に開発したチューニング機能を充実させている。

 PCパーツベンダーの中には、「リファレンスデザインが主流になりがちなグラフィックスカードより、自分たちが工夫できるマザーボードに力を入れていきたい」と考えるところも多く、2011年はその傾向がいっそう強くなると思われる。

 そういう意味で、マザーボード選びは、2011年もいっそう楽しくなる“予感”だ。

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