2011 CESでキーワードを1つ挙げろ、といわれたら、PC USERとしては「Android デバイス」となる。そして、そのプラットフォームとしてようやく離陸しそうなのが、NVIDIAのTegra 2だ。
Tegra 2は2010年の1月、ちょうど1年前の2010 CESで行ったプレスカンファレンスで発表されたARMベースのSoCだ。そのプレスカンファレンスでも、タブデットデバイスが多数紹介されていたが、その多くは、2010年に製品として登場することはなかった。そもそも、“初代”のTegraが発表された2008年から、このプラットフォームを採用して製品化されたのは、Microsoftの「Zune HD」などごくわずかにすぎない。
ところが、2010年の後半から、Androidを導入したタブレットデバイスの発表が相次ぎ、その一部でTegra 2を採用するモデルも登場している。NVIDIA CEOのジェンセン・ファン氏が、2010年9月の「GPU Technology Conference」(GTC)で、「Tegra 2は2010年の後半に大きなムーブメントになるだろう」と語っているが、2011 CESの展示ブースや各ベンダーのプレスセッションでAndroidとTegra 2を組み合わせたタブレットデバイスが多数公開されるなど、ファン氏が予想した状況が現実になろうとしている。
2011 CESの正式開幕前日に行われたNVIDIAのプレスカンファレンスは、Tegra 2とそれを採用する「スーパーフォン」(ファン氏が現行のスマートフォンのさらに上を行くデバイスとして名づけた)と呼ぶデバイスの優位性を、実機の操作やゲストのコメントとともにアピールする内容だったが、そのなかで、これまでの「インテルのCPUを搭載してMicrosoftのOSを導入するPC」より、「(ARMベースの)Tegra 2を搭載してAndroidを導入するデバイス」の可能性と急激な進化を訴求していたのが印象的だった。
※記事初出時、GPU Technology Conferenceの開催期間に誤りがありました。おわびして訂正いたします。
ファン氏が、Android(とiOS)といった携帯デバイスがPC(含むMacOS搭載モデル)と比べて急激に進化する例として示したのが、登場してからの年数と累計出荷台数の関係だ。PCと比べてAndroidやiOS搭載の携帯デバイスの普及速度は急激だ。ファン氏は、これまでのパーソナルコンピューティングでは、PCが主に使われ、ベンダーもPCを出荷し、そのアーキテクチャはx86系のCPUを基幹として構成していたが、いまや、パーソナルコンピューティングの主流は携帯デバイスに置き換わり、ベンダーはPCだけでなく、むしろ、携帯電話(スマートフォン)を扱い、そのアーキテクチャはARMのSoCを主流になっていると主張する。
プレスセッションでは、ARMベースのSoCであるTegra 2を搭載した製品として、2010年12月に「Optimus 2X」を発表したLG電子のモバイルコミュニケーションカンパニー ビジネス戦略担当上級副社長を務めるヤンセオ・ジャン氏やAdobe Systems CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏も登場し、Optimus 2Xに保存したフルHD(1080p)コンテンツをHDMIで接続した大画面テレビで再生できることをデモで実際に示したり、オンラインのフルHDコンテンツをダウンロードして快適に再生できる(こちらは、会場に用意した無線LANの負荷超過で実際に行えなかったが)ことを紹介。さらに、PCとPlayStation 3で動いているゲームタイトルのAndroid版が、ほぼ同じ描画画質と速度で動いていることも示された。
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