既報のとおり、インテルからP67/H67チップセットの技術的な不具合が発表され、メーカーやショップの自主回収という名目で、PCパーツショップから該当マザーが姿を消している。皮肉なことに、大ヒットで常時品薄だった対応CPU「Core i7-2600K」などは、潤沢な在庫が各ショップに並んでいる状況だ。
この緊急事態に、P67/H67の前世代となるP55/H55/H57マザーのストックを増やすなどして、大きく開いたマザーボード売り場の穴を埋める措置をとっている。
ツートップ秋葉原本店は「P67/H67マザーはミドルレンジの位置づけということもあって、『そこそこ使えるマシンを組みたい』というライトなニーズもありました。そうした方は『新しいのないんだ。じゃあ、前のでいいや』と、P55マザーなどに切り替えて買っていかれます。まあ、マイナスの影響は大きいですが、そうしたニーズは前世代のプラットフォームである程度フォローできているかなと思いますね」と話していた。
それ以外にも、ハイエンド向けのX58マザーをプッシュする動きも目立っているが、P67/H67系の代替という意味合いからはそれるようだ。ソフマップ秋葉原本館は「X58マザーだとCPUも3万円弱からの高価なモデルばかりになりますし、P67の代わりに選ぶという人は少数です。ただ、注目自体はされているので、今後新たな動きが出てくればいいなと期待しています」と語る。
最新ラインアップでP67/H67の代替になりうる存在としては、ライバルのAMD系プラットフォームが挙げられる。こちらをアピールする動きも見られたが、まだ大きな流れには結びついていない様子だ。某ショップは「P67/H67が健在なころから、ずっと動きが鈍いままですから。ライバルメーカーとして対抗の新CPUや新チップを出してきたなら状況は変わっていたと思いますが」と冷静に分析しつつ、「今回の件はかなり大きなマイナスですよ。でも起きたことは仕方ない。現状からよい方向を見つけるしかないですね」と本音をのぞかせていた。
その一方で、P67/H67不在の状況がメモリの高騰を防ぐという、プラスの効果を期待する声もあった。ある店員氏は「例年の旧正月シーズンは、東アジアの工場が停止するのでメモリの供給量が激減します。PCメーカーが新モデルを製造する時期と重なるため、供給に対して需要が高まって高騰するわけですが、今年は新モデルを製造するにもマザーがない状態ですからね。需要の高まりが起きないのでメモリの高騰も起きず、従来どおりの価格で落ち着くのではと踏んでいます」と話していた。
ただし、この予測には懐疑的な声も多い。パソコンショップ・アークは「P67/H67の問題が起きる少し前から、仕入れベースでメモリの価格は跳ね上がっています。年末にかけて価格が下がり過ぎていたので、メーカー側が機をみて反発したんでしょう。そういう思惑があるので、実際の市場動向が多少変動しても、大勢は変わらないと思いますよ。実際、4Gバイトの2枚セットで6000円を切るような製品は出なくなっていますし」と語る。
複数のコメントを総合すると、全体的なメモリの高騰は抑えきれないものの、一部のメーカーからは現在の水準の安いモデルが供給され続ける可能性があるという程度らしい。ドスパラ秋葉原本店は「P67/H67マザーの供給が復活する春ごろでも、8Gバイトで8000円切りのモデルが見つかるというレベルは継続していると思います」と推測していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.