双発のCaymanでAMDのフラッグシップたれ──Radeon HD 6990の性能と爆音をチェックイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2011年03月08日 14時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

1枚のグラフィックスカードにCaymanを2基搭載してクーラーレイアウトも変更

 開発コード名“Antilles”こと「Radeon HD 6990」は、“デュアルGPU”グラフィックスカードというカテゴリーになる。従来、「Radeon HD 5970」が「Radeon HD 5800」シリーズを2基搭載していたように、Radeon HD 6990はRadeon HD 6900シリーズのGPUを2基搭載している。もちろん、1枚のグラフィックスカード上に2基のGPUを搭載するため、動作クロックなどは再設定されている。

型番 Radeon HD 6990 Radeon HD 6970 Radeon HD 6950 Radeon HD 5970 Radeon HD 5870 Radeon HD 5850
開発コード名 Antilles Cayman Cayman Hemlock Cypress Cypress
SIMD 48 24 22 40 20 18
ストリームプロセッサ数 3072 1536 1408 3200 1600 1440
テクスチャユニット 192 96 88 160 80 72
ROPユニット 64 32 32 64 32 32
Z-Stencil 256 128 128 256 128 128
メモリ(Gbps) 5 5.5 5 4 4.8 4
メモリクロック(MHz) 1250 1375 1250 1000 1200 1000
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅(ビット) 512 256 256 512 256 256
メモリ帯域幅(GB/sec) 320 176 160 256 153.6 128
メモリ容量(MB) 4096 2048 2048 2048 1024 1024
補助電源レイアウト(ピン) 8+8 8+6 6+6 8+6 6+6 6+6
DirectXサポート 11 11 11 11 11 11

その姿は、2011年1月のAMDイベントやCeBIT 2011で公開されている「Radeon HD 6990」(写真=左)。 評価作業時点では未登録な「Radeon HD 6990」の情報をGPU-Zで確認する。表示されるのは1GPUあたりのスペックなので、部分的に2倍にする必要がある

 Radeon HD 6900シリーズでは、SIMDエンジンが24基のRadeon HD 6970と20基のRadeon HD 6950があるが、Radeon HD 6990で採用しているのは前者になる。Radeon HD 6990でトータルのSIMDエンジン数は48基、ROPユニットも合計192基となる。また、グラフィックスメモリも同様で、各GPU自体は256ビット接続でGDDR5メモリを各2Gバイトずつ搭載する。

 動作クロックは、コアが830MHz、グラフィックスメモリが、DDR転送レートで5Gbps相当だ。コアクロックに関してはRadeon HD 6950より高くRadeon HD 6970より低い。とはいえ、中間でもないのは消費電力や発熱とのバランスだろうか。グラフィックスメモリはRadeon HD 6950と同等になる。

 もう1つ、仕様で気になるのが消費電力だ。Radeon HD 6990の補助電源コネクタは8ピン×2基となっている。公表されているTypical Gaming Powerは350ワットで、これとは別に最大消費電力が375ワットという項目もある。

 また、外観上でもう1つ特徴的なのは、Radeon HD 6970に続き「デュアルBIOSスイッチ」が搭載されていることだ。デフォルト設定とオーバークロック設定が施されており、デフォルトでコアクロックが830MHzに対し、オーバークロック設定では880MHzに引き上げられる。

補助電源コネクタは8ピンが2基。従来の8+6ピンの供給電力を超えているわけで、使用する電源ユニットの選定には注意したい(写真=左)。Radeon HD 6990もデュアルBIOSスイッチを搭載。自己責任な部分もあるが、簡単な操作でオーバークロックできる。CrossFire用端子は1基のみとなる(写真=右)

 クーラーユニットのファンは中央に配置される。Radeon HD 5970では後部にファンを置き、ブラケット側に排気していたが、Radeon HD 6990では、前後に排気していることになる。前後に配置されたGPUへ同じ温度のエアフローを吹きつけられることになるが、後部GPUの排気とPCケースのフロントパネルファンからの吸気がバッティングしないかという懸念もある。長尺のカードではあるが、カードの後部とPCケースのフロントファンとの間にはそれなりにスペースを持たせたい。

 映像出力インタフェースは、DVI(デュアルリンク対応)と4基のMini DisplayPort(Ver.1.2)だ。なお、AMDの資料によれば、Mini DisplayPortからDVI(シングルリンク)への変換ケーブル2本に、Mini DisplayPortからHDMIへの変換ケーブルの計3本が付属するとしている。Mini DisplayPortというよりもDisplayPortがまだ普及していない状況だが、こうした変換ケーブルをバンドルすることでEyefinityなどが構築できるとAMDは説明している。とはいえ、すべてのグラフィックスカードベンダーでこの変換ケーブルを付属するのかどうかは不明だ。

クーラーユニットのファンを中心にGPUが前後にレイアウトされていることがよく分かる。前部のGPUはブラケットから、後部のGPUはカード後部のスリットからそれぞれ排気される。なお、カード長は写真下のRadeon HD 5970とほぼ同じだ(写真=左)。映像出力インタフェースはデュアルリンクのDVIに4基のMini DisplayPortで、Eyefinityにも標準で対応する(写真=右)

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