液晶ディスプレイ以外の部分でも、VAIO独自のさまざまな工夫がなされている。中でも、3D対応液晶テレビで実績のあるソニーならではといえるのが、ネイティブ3Dコンテンツの奥行きを調整する機能だ。
Blu-ray 3Dなどの3Dネイティブコンテンツは大型テレビでの視聴を想定して制作されているので、小さい画面のノートPCで見ると、奥行き感が違ってしまい、焦点が合わせにくいことがある。VAIO F(3D)では、画面サイズと視聴距離を想定して3Dの奥行き感を自動調整する機能を持つ。立体視の見やすさに関しては、この機能の恩恵もあるのだろう。
使い勝手の面では、キーボード右奥に用意された「3Dボタン」の存在が非常に大きい。3Dボタンを押すことでネイティブコンテンツの3D立体視表示が可能となり、さらに2Dコンテンツの3Dコンテンツへのリアルタイム変換機能(詳しくは後述)も有効になる。ボタンにはLEDが埋め込まれており、青色に点灯している時は3D表示が有効になっていることを示す。
これまでのPCでの3D立体視は、アプリケーションやコンテンツによって3D立体視が有効な状態で起動する場合と無効な状態で起動する場合があったり、アプリケーションによってはメニューから3D表示の項目を探すなど、設定の切り替えに手間がかかることも少なくなかった。ボタン1つで3D立体視機能のオン/オフを確実に切り替えられるのは個人的にかなり便利に感じる。
付属のアクティブシャッター方式メガネはBRAVIAと共通のもので、3D立体視対応PCのメガネとしては上質で、デザインも洗練されている。
もともとがPC用の3Dメガネではないため、USB経由で充電することはできず、ボタン電池で動作するのは少々面倒だが、BRAVIAとメガネを共用できるメリットはある。VAIOからBRAVIAにHDMIケーブルで3D立体視映像を出力して鑑賞するような場合でも、同じメガネで楽しむことができるのはスマートだ。
また、液晶フレーム上部のWebカメラの横に3Dメガネと通信する3Dトランスミッターを内蔵しているのも使い勝手のよさを向上させている。NVIDIA 3D Visionのパッケージのように、USB経由で外付けのトランスミッターを装着する必要がなく、余計なスペースや手間がかからない点はありがたい。
3D立体視に関しては、Blu-ray 3Dなどネイティブ3Dコンテンツの鑑賞とともに、Blu-ray DiscやDVD、地上デジタル放送、ビデオカメラで撮影した動画といった2Dコンテンツをリアルタイムに3D変換して表示する機能も持つ(2D写真の3D変換、HDMI出力時の2D→3D変換は非対応)。さらに、NVIDIA 3D Visionによる3Dゲームの3D立体視プレイにも対応している。
Blu-ray 3Dの再生およびBlu-ray Disc/DVDの2D→3D変換再生にはプレーヤーソフトの「Corel WinDVD BD」、2Dビデオの3D立体視再生にはWindows 7 Home Premium(64ビット版)標準機能の「Windows Media Center」、サイバーショットやαで撮影した3Dフォトの再生にはソニー独自の写真整理ソフト「PMB VAIO Edition」(PMBからNVIDIAの3D Photo Viewerを起動する形になる)を利用する。
また、地上デジタル放送(リアルタイム放送/録画)の3D変換再生は、ソニー独自の高機能なテレビ視聴・録画ソフト「Giga Pocket Digital」で対応する。テレビチューナーは地上デジタル放送対応のチューナーを2系統内蔵しており、VAIO AVCトランスコーダーも2系統備えているので、MPEG-4 AVC/H.264形式による長時間の2番組同時録画が行える。なお、今後は3Dハンディカムで撮影した3Dムービーの立体視再生にも対応する予定だ。
映像の2D→3D変換にはソニー独自の技術を使っており、DVDなどのSD映像だけでなく、Blu-ray Discや地上デジタル放送のHD映像を3D化できるのは珍しい。3D立体視の効果は低/中(標準)/高と3段階に設定できる。中(標準)の設定でも効果は比較的控えめな印象だが、ドラマなどを見るとかなりリアリティがあり、変換のクオリティはなかなか高いと感じた。ただ、やはりほかの2D→3D変換機能と同様、スポーツなど動きの速いシーンなどは苦手で見づらい印象がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.