GeForce GTX 590は、1枚のグラフィックスカードに2つのGPUを実装してマルチGPUを構成する。従来のFermi世代GeForceと同様に、DirectX 11をサポートするほか、CUDA環境に最適化され、PhysX、3D Vision、3D Vision Surroundに対応する。GPUはGF110世代で40ナノメートルプロセスルールを採用し、構成トランジスタ数はGPU1基当たり30億個と、GeForce GTX 580、GeForce GTX 570と同じGF110世代だ。
それぞれのGPUにはCUDAコアを512基内蔵する。リファレンスデザインにおけるコアクロックは607MHz、シェーダクロックは1215MHz。基板は12層構成で、2オンス銅層を挿入して放熱効率を高めている。電源回路は10フェーズ構成を採用する。グラフィックスメモリはGDDR5を採用し、グラフィックスカード全体で3Gバイト(GPU1基あたりで1.5Gバイト)を実装する。データ転送レートはDDRで3414Mbps相当となる。なお、グラフィックスメモリのバス幅は384ビットだ。
なお、GPU1基あたりのStreaming Multiprocessors(SM)は16基(グラフィックスカード全体で32基)、Graphics Procesing Clustersは4基(同 8基)、Texture Unitsは64基(同 128基)、ROP Unitsは48基(同 96基)になる。
クーラーユニットのヒートシンクは、GeForce GTX 580シリーズから採用された「Vapor Chamber」を2基実装、クーラーファンは中央に1基搭載する。
リファレンスデザインでは、映像出力インタフェースとしてデュアルリンクのDVI-Iを3基と、Mini DisplayPortを備える。TDPは365ワットで、NVIDIAはシステムの電源ユニットの容量として700ワットを推奨している。
NVIDIAが公開したゲームタイトルを用いたベンチマークテストの結果では、GeForce GTX 580を1とした場合のGeForce GTX 590の相対結果値として1.3〜1.6が示されている。また、同じデュアルGPU構成で最新のRadeon HD 6990を1とした場合の相対結果値では、最大1.7という結果もあるものの、多くは1.1から1.4で、中にはRadeon HD 6990を下回る結果もあった。
GeForce GTX 590のリファレンスデザインでは、2枚構成によるQual SLIの構築に対応しており、NVIDIAはこの場合の性能向上に関するベンチマークテストの結果も公開している。それによると、GeForce GTX 590が1枚のときの測定結果を1とした場合、2枚構成の測定結果は約1.7から約1.9となっている。
さらに、NVIDIAが示したリファレンスデザインで搭載するクーラーユニットの発生音の測定データでは、Radeon HD 6990は約59dBAであるところ、GeForce GTX 590は約49dBAで、これは、従来のデュアルGPUグラフィックスカードモデル「GeForce GTX 295」「GeForce 9800 GX2」より低く、GeForce GTX 580よりわずかに高いレベルとされている。
GeForce GXT 590を採用したグラフィックスカードは、日本市場向けとしてMSIとZOTEC、EVGAに限って出荷される予定だ。流通関係者によると、そのほかのPCパーツベンダーでも日本市場向けに製品を用意していたが、NVIDIAの指示によって発表直前に日本市場に出荷できるのが上記3ベンダーに制限されたと証言している。
日本で出荷を予定している製品の実売価格は、8万円台から9万5000円前後と予想されている。
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