NVIDIA、“Fermi”世代の「GeForce GTX 400」シリーズを発表

» 2010年03月27日 08時01分 公開
[ITmedia]

GPUコンピューティングを重視した“新世代”GeForce

GeForce GTX 480。製品が店頭に姿を見せるのは4月中旬になる予定だ

 NVIDIAは、3月27日(日本時間)に“Fermi”アーキテクチャを採用したGeForceシリーズの新モデル「GeForce GTX 400シリーズ」を発表した。今回登場するのは上位モデルのGeForce GTX 480と下位モデルのGeForce GTX 470の2機種だ。

 Fermiは、NVIDIAが2009年に開発を明らかにした新世代アーキテクチャだ。その詳細は「次世代GPUアーキテクチャ「Fermi」の内部構造に迫る」でも紹介しているが、GPUコンピューティングに最適化した構成を採用するのが特徴。すでに、Tesla 20シリーズでFermiアーキテクチャを採用したモデルが発表されているが、コンシューマー向けのGeForceラインアップでは、初めてFermiを採用したモデルになる。

 GeForce GTX 400シリーズは、NVIDIAのコンシューマー向けGPUとして初めてDirectX 11に対応した。また、OptiXエンジンを用いた高速レイトレーシング処理や、32サンプルのアンチエイリアシングにも対応する。DirectX 11に対応したことで、競合するRadeon HD 5000シリーズと同様に、テッセレーションがネイティブで利用できるようになった。

DirectX 11では、GPUのパワーに応じてポリゴンの生成数を自動で制御する機能が利用できる。写真左はGeForce GTX 480で生成したポリゴンで、写真左がミドルレンジクラスGPU相当に設定した状態で生成したポリゴン。その数が明らかに異なるのが分かる

GeForce GTX 480のCUDAコアは480基

 GeForce GTX 400シリーズの内部は、Fermiアーキテクチャの特徴であるCUDAコアと複数のCUDAコアをまとめて機能するStreaming Multiprocessor(SM)を基幹にして構成される。ジオメトリエンジンの処理能力はGeForce GTX 285の8倍になり、リアルな波の動きや髪の毛の動きが描画が可能だ。

 GeForce GTX 480のコアクロックは700MHz、CUDAコアクロックは1401MHz、メモリクロックは1848MHz。内蔵するCUDAコアの数は480基になる。外部電源コネクタは8ピンと6ピンの組み合わせで、最大消費電力は250ワットだ。利用できるグラフィックスメモリはGDDR5で1536Mバイトを搭載可能。メモリバス幅は384ビットになる。リファレンスデザインのカードには画像出力インタフェースとしてデュアルリンクのDVIが2基とMini HDMIを用意する。

 GeForce GTX 470のコアクロックは607MHz、CUDAコアクロックは1215MHz、メモリクロックは1674MHz。内蔵するCUDAコアの数は448基になる。外部電源コネクタは6ピンが2つ。最大消費電力は215ワットだ。利用できるグラフィックスメモリはGDDR5で1280Mバイト搭載可能。メモリバス幅は320ビットになる。

 NVIDIAの説明によると、GeForce GTX 480のパフォーマンスは、DirectX 9、またはDirectX 10においてGeForce GTX 285の1.5倍から2倍、同様に、PhysXでは2.5倍、レイトレーシング処理で3.5倍に達するという。また、アンチエイリアシングを有効にしたときのパフォーマンスでも、サンプル数を増やすにつれてパフォーマンスの落ち込みがGeForce GTX 285より少ないというベンチマークテスト結果もNVIDIAから示されている。さらに、GeForce GTX 400シリーズはSLIにも対応するが、そのスケーリングも従来のシリーズから改善された。

 NVIDIAによると、搭載グラフィックスカードの店頭販売開始は4月半ばの見込みで、米国における実売価格はGeForce GTX 480搭載モデルが499ドル、GeForce GTX 470搭載モデルが349ドルの予定だ。

 なお、GeForce GTX 480のパフォーマンスをゲームタイトルを使ったベンチマークテストで検証したレビュー記事「GeForce GTX 480で時代が変わるか!」を掲載している。SLI構成におけるパフォーマンスも紹介しているので、そちらも参考にしていただきたい。

NVIDIAが測定したGeForce GTX 480とGeForce GTX 285のベンチマークテスト結果の相対値。ゲームタイトルによって1.5倍から2倍を超える性能向上が認められた(写真=左)。DirectX 11環境で測定したGeForce GTX 480とRadeon HD 5870のベンチマークテスト結果の相対値。測定したゲームタイトルではGeForce GTX 480がRadeon HD 5870を上回った。Dirt 2では、1.3〜1.4倍の性能向上が確認されている(写真=右)

GeForce GTX 480とGeForce GTX 285でアンチエイリアシングのサンプル数を変更して測定したベンチマークテスト結果の相対値。4x設定を100としている。ゲームタイトルによって60%も値を下げるGeForce GTX 285に対して、GeForce GTX 480は80%程度の低下でとどまっている(写真=左)。単体構成のGeForce GTX 480を1とした場合のGeForce GTX 480のSLI2枚構成における相対値。平均して90%の性能向上が実現したという
NVIDIAは、3画面を連動させた3D Vision対応もGeForce GTX 400シリーズの特徴としてアピールする。3画面を連動することで、5760×1080ドットで立体視描画が可能になるほか、2D描画なら7680×1600ドットの表示も可能だ。この表示を可能にするには、GeForce GTX 400、または、GeForce GTX 200シリーズとまもなく公開されるドライバ「Release 256」以降が必要になる。カプコンが開発を進めている「LOST PLANET 2」も3画面による3D Visionに対応する

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