「VAIO L」2011年夏モデルを試す(後編)――強力無比なテレビ機能と独特のタッチ操作にハマるPCの地デジ移行はしましたか?(1/4 ページ)

» 2011年07月01日 11時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

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後編は圧倒的なテレビ機能とユニークなタッチ操作、そして性能を追う

「VAIO L」標準仕様モデルの最上位機「VPCL229FJ/B」。標準仕様モデルでは唯一、3D立体視に対応する。実売価格は25万円前後だ

 ソニーの「VAIO L」は、同社が“ボードPC”と呼ぶ、液晶ディスプレイ一体型デスクトップPCの上位シリーズだ。24型フルHD液晶の搭載と、充実したAV機能を特徴とする。

 特に2011年夏モデルの最上位機「VPCL229FJ/B」(標準仕様モデル)は、デスクトップ型VAIO初の3D立体視に対応しつつ、従来から定評ある高度なテレビ&レコーダー機能やマルチタッチ機能に磨きをかけるなど、より多彩なオールインワンPCに進化しているのが目を引く。

 先に掲載したレビュー前編では3D立体視機能や、カラーコーディネートが楽しめるボディデザインの工夫を中心に取り上げた。今回のレビュー後編では、VAIO L最大のウリといえる強力なテレビ&レコーダー機能、使い勝手を高める独自のタッチ機能、そしてPCとしてのパフォーマンスを確認していこう。


強力なテレビ視聴・録画・管理機能がさらに進化

 2011年春モデルで大幅に強化されたテレビ機能は、夏モデルでさらに改良が加えられた。

 VAIO独自のテレビ視聴・録画・管理ソフト「Giga Pocket Digital」は、実に豊富な機能を備えているが、中でも「カタログビュー」機能はPCならではの便利なテレビ機能といえる。これは、録画時に番組内容や出演者、店舗、商品、CM内容などの詳細なメタ情報をインターネット経由で外部の情報提供会社から自動的に取得し、それらのリストから見たい情報をすぐに検索して再生できるという機能だ。

 2011年夏モデルのVAIO Lでは、このカタログビュー機能が進化し、録画した番組を再生しながら、録画時に取得したさまざまなメタ情報も同時に閲覧できる「情報ウィンドウ」機能が追加され、カタログビューの利便性が大きく高まった。

 例えば、録画した番組を再生すると、番組の進行に合わせて、番組の基本情報をはじめ、店舗や商品などの情報、CM再生中はCM情報が再生画面下の「情報ウィンドウ」に表示される。何となく情報番組を見ながら「このショップは面白そうだな」などと思ったら、すぐに情報ウィンドウで店舗名を確認でき、カタログビューが取得したWebサイトへのリンクや電話番号の情報から直ちに店舗のWebサイトにアクセスしたり、電話で問い合わせたり、といったことが可能だ。

録画番組を解析し、CM情報や番組内容を表示する「カタログビュー」が番組を再生しながら参照できる「情報ウィンドウ」機能(画像=左)。従来通りのカタログビュー表示(画像=右)。CMはタイトル、ジャンル、放送局、出演者、商品名、BGMといった詳細情報が表示され、ここから該当するWebサイトやWebでの検索結果へジャンプできる。番組の本編で紹介された店舗や商品の情報にもリンクが付けられ、該当するWebサイトへ簡単にアクセス可能だ。録画した番組をBlu-ray Discなどに書き出す場合は、「お気に入り」だけを書き出すことができ、CMカットも簡単に行える

液晶フレーム右下の「3Dボタン」を押せば、Giga Pocket Digitalで視聴中の番組を3Dに変換し、立体視で楽しめる

 VPCL229FJ/Bならではの特徴という点では、レビュー前編で触れた通り、3D立体視でテレビを楽しめるのも見逃せない。BSで放送されているサイドバイサイドの3D放送の視聴にも対応したほか、2Dの放送をリアルタイムに3D化して視聴する機能も持つ。映像の2D→3D変換にはソニー独自の技術を使っており、3Dの効果は低/中(標準)/高と3段階に設定可能だ。

 Giga Pocketでは3波(地上/BS/110度CS)デジタル対応のダブルチューナーが利用でき、録画中に裏番組を見たり、2番組の同時録画を行うことが可能だ。2系統のMPEG-4 AVC/H.264ハードウェアトランスコーダ(VAIO AVCトランスコーダー)も搭載しており、圧縮率を高めても画質が劣化しにくい、H.264での長時間2番組同時録画もこなす。画質モードはMPEG-2の直接録画(DRモード)を含め、5種類のモードから選べる。HD長時間モードならば、DRモードに比べて地上デジタル放送で5倍程度、BSデジタル放送で7倍程度の長時間録画が可能だ。

 番組の録画については、指定したキーワードや条件に合致した番組、ユーザーの視聴履歴から分析したおすすめ番組を自動録画してくれる「おまかせ・まる録」機能をはじめ、PCの電源を落としている状態からの予約録画実行、外付けHDDへの録画、ダビング10対応によるBlu-ray DiscやDVDへの録画番組書き出し、さらにPSPや対応するウォークマン、SDメモリーカードへの録画番組書き出しといった、多彩な機能に対応する。

 録画した番組の再生では、スポーツ中継などでのハイライトシーンだけを抽出して再生する「ダイジェスト再生」や、サムネイル画像から見たいシーンを見つけられる「フィルムロール再生」、映像と音声を1.5倍速で早送り再生する「早見再生」、本編とCMの切り替わりや変化の大きい場面転換で自動作成されるチャプターを使って見たい部分にすばやくアクセスできる「チャプター再生」といった便利な機能により、効率的な番組視聴が行える。

録画モードは、デジタル放送をそのまま保存するDRモードのほか、リアルタイムH.264圧縮による4種類の画質モードが選べる(画像=左)。録画番組をチャプターのように分けてサムネイル表示するフィルムロール再生機能は、視覚的に見たい場面を探せる(画像=右)

 さらにGiga Pocket DigitalはDTCP-IPサーバ機能にも対応し、録画番組をホームネットワークに配信できるようになった。これに伴い、家庭内LANに接続したVAIOを含む機器の録画番組をネットワーク経由で手軽に視聴できるアプリケーション「VAIOホームネットワークビデオプレーヤー」も追加されている。2011年夏モデルでは、そのほかのDLNA関連ソフトが基本的にWindows標準機能に一本化され、従来のDLNAサーバ/クライアントソフト「VAIO Media plus」は非搭載となった。

「スグつくTV」でPCテレビソフトの不満を解消

 PCのテレビ機能で使う3波デジタルチューナー2基とは別の地上デジタルチューナーを1基内蔵することで、Windows 7を立ち上げずに地デジをすばやく視聴できる「スグつくTV」機能も引き続き採用している。

 付属のリモコンもしくは本体天面に用意された専用ボタンを押すと、5秒以内にテレビ画面が表示されるため、Windowsをシャットダウンした状態でも即座にテレビを見られるのがうれしい。起動の遅さは、テレビ機能付きPCの弱点として指摘されている部分なので、地デジ視聴のみとはいえ、その弱点を克服している点は特筆できる。

 このスグつくTVは視聴のみで、電子番組表は用意されるが、録画は行えない。そこで、スグつくTVによるテレビ視聴から、PCのソフトであるGigaPocket Digitalによるテレビ視聴に、スムーズに切り替えられる機能も用意されている。

 スグつくTVを見ている最中にリモコンの「TVアプリ」ボタンを押すと、バックグラウンドでPCの電源がオンになり、Windows 7とGigaPocket Digitalが順次起動し、準備ができたところで、GigaPocket Digitalのテレビ画面に切り替わる。切り替わり時は一瞬だけ画面が消えるが、最小限の視聴中断で、2番組同時の長時間録画を含めたGigaPocket Digitalの豊富な機能が利用できるため、基本的にはPCで番組視聴したほうがよいだろう。

リモコンには「スグつくTV」用ボタンとGigaPocket Digitalに切り替える「TVアプリ」ボタンを用意(写真=左)。本体の天面にも「スグつくTV」用ボタンが搭載されている(写真=中央)。PC本体の下部に3波デジタルチューナー用のB-CASカードスロットと、スグつくTV(地デジ)用の小型B-CASカードスロットを備える(写真=右)


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