PCフリーライターが普段実践する、モバイルオフィス環境──「データの分散保存」編もし、在宅業務することになったらどうするか(2/2 ページ)

» 2011年07月14日 11時00分 公開
[石川ひさよし&編集部,ITmedia]
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【手段.2】「オンラインストレージ」を利用する

photo 「SugarSync」は、PCの特定のフォルダごとオンラインストレージへ自動バックアップしつつ、別のPCにも同時に同期できる

 次は「オンラインストレージ」を考察しよう。

 オンラインストレージは最近流行のクラウド型サービスの1つ。(停電なども含めた)PCや自宅・会社の環境に依存しない点、そしてインターネットに接続していればどこでも利用できる点、自宅にあるNASのように管理の手間がほとんど必要ない点が優れている。

 一方、数Gバイトほどであれば無料とするサービスも多いが、容量単位のコストは今回検討する他の手段より割高だ。HDDのように手軽に数100Gバイト単位を手軽に──というわけにはいかない。また、データ転送速度は使用するネットワーク速度に影響されつつ、自宅や社内など高速なネットワーク環境であっても、どちらかといえば基本的にはそれほど高速でない場合が多かったりする。このアクセス速度と容量、コストはオンラインストレージのデメリットと言える。

 このため筆者は、いざデータが欲しいという際に接続してダウンロードする使い方より、リアルタイムのオンライン同期フォルダとして「SugarSync」を活用している。

 SugarSyncは容量5Gバイトまで無料(以降、30Gバイトまで525円/月、250Gバイトまで2100円/月など、利用可能な容量別に月額課金制プランを用意する)で利用できる、著名なオンラインストレージサービスの1つだ。

 上記で述べた、作業進行中データを保存する“Work”フォルダを「同期フォルダ」として指定すると、バックグラウンドでSugarSyncネットワーク上の仮想的な“Work”フォルダへアップロードされ、バックアップが自動的に完了する。さらに、同時に別PCの“Work”フォルダとも同期し、メインのPC、別のPC、ネットワーク上、それぞれの“Work”フォルダの内容が同一に保たれる仕組みとなっている。

 ただ(上限である5Gバイトを超えて利用する場合は)、仮に数100Gバイト分のノートPCのデータをすべてバックアップするとなると、外付けHDDのように買い切りではないために年間コストが意外に発生する。SugarSyncの場合は100Gバイトまでで1260円/月、あるいは1万5750円/年(いずれも通常価格の場合)となる。このため、最低限必要な部分のみに絞るとような工夫はある程度必要となる。

 もう1つ、節電・停電対策の観点ではどうだろう。節電になるかの点は、個人宅単位では増減は増減はほぼないと思うが、ストレージの根幹部分が自宅や会社の電源と切り離され、各家庭に分散していたものがデータセンターに集約されるという意味で無駄が減らせるという考え方はできる。

 停電については、基本的に重要なサーバ施設には自家発電設備を備えた万一時のバックアップ施策がとられている点と、自宅や会社とは基本的に離れた場所にあるため、自分がとるべき対策は別になると考えられる。もちろん、サービス/サーバ自体が物理的な、あるいはソフトウェア的な問題でダウンするといった障害は考えられるが、今回のテーマとする分散保存を実践し、オンラインストレージ1つに集中させる使い方でなければそのリスクは軽減できると思う。


  【手段.2】「オンラインストレージ」を利用する
省電力 ☆☆☆(利用者単位での増加はなしと考える)
初期コスト ☆☆☆☆(5Gバイトほどまでであれば無料で使えるサービスもある)
ランニングコスト ☆(無料範囲を超える使い方となると、月額/年額課金が発生する)
重量 ☆☆☆☆☆(ネットワークだけで完結するサービスのため)
速度 ☆☆(使用ネットワークにもよるが、高速回線でも基本的に高速でない場合が多い)
容量 ☆(容量単価にいくらまで対価として支払えるか次第だが、無料範囲は数Gバイトまで)
(※星が多いほど効果あり/良好 を示す。満点:☆☆☆☆☆ ※あくまで筆者感覚値です。ある条件化では大きく異なる可能性はあります)

【手段.3】「ネットワーク対応ストレージ」を利用する

photo バッファロー製NAS「リンクステーション LS-VLシリーズ」。複数台のHDDとともにRAID運用できる「テラステーションシリーズ」などもラインアップする

 ここでのネットワーク対応ストレージとは、ネットワーク対応HDD/NASや他PCの共有フォルダなどが当てはまる。

 筆者は自作NASを導入し、LAN内に大容量の“データ保存庫”を設けている。自作したのは仕事柄、余っていたPCパーツを流用できたことが理由だが、これは多少のコストと知識が必要。データ保存庫としての機能だけなら、とりあえずメーカー製のNAS製品やNASキットであればもう少し手軽に導入できる。

 むしろ難しいのは、モバイル環境からアクセスする「リモートアクセス」を行いたい場合かもしれない。ただ、これにより自宅の環境を前述したクラウドストレージの代わりに運用させることができる。一般的にはネットワーク一般的には自宅のブロードバンドルータの“ポート開放”作業などを行って、インターネット環境から自宅マシンへアクセスできるようにする作業を必要とし、セキュリティに関しても注意をこれまでより注意を払う必要が生じる。

 ただ、メーカー製NASにはより少し簡単にリモートアクセス機能を実現する製品が多数存在するのでそれほど心配はいらない。例えば容量3Tバイトのバッファロー「LS-V3.0TL」などには“Webアクセス”と呼ぶ機能を用意し、専用サーバを介して、PCやスマートフォンのブラウザ操作で自宅のファイルを参照できるようになっている。

 データ転送速度は、LAN内であればLAN環境やNAS製品自体の仕様に順じ、リモートアクセスであれば使用しているネットワークの通信速度に応じて変化する。筆者の自作NASはWindows Home ServerをインストールしたCore 2 Duo+2Gバイトメモリ+1000BASE-T準拠の有線LANと、ひと昔前のノートPCなみとなる少々過度な仕様なのであまり参考にはならないが、これだと、100Mbps台とLAN内で使うならばUSB 2.0接続の外付けHDDより高速な転送速度を実現したりする。

 ちなみにWindows Home Serverも、マイクロソフトが用意するWindows Live ID(無料で取得可能)を利用してリモートアクセス用のドメインを設定するだけで、ブラウザ操作で外出先から自宅サーバへかなり容易にリモートアクセスできる機能が備わっている。

 バックアップ作業は外付けHDDと同等かそれ以上に簡単だ。NAS製品ならなら何らかの簡単バックアップ機能を標準で備えている。また、外付けHDDのように少し面倒な機器の取り外し作業がないのも利便性が高い。さらに、一回バックアップ手順を済ませてしまえば同期も同様に簡単だ。バックアップの母艦としてデータがNASに集約するように運用できるため、外付けHDDで起こりがちな接続が面倒→同期し忘れといったミスが発生する可能性も低くなると思う。

 ただ、効率的に運用するために利用方法に若干の工夫も施したい。筆者は直近の作業データを自動同期の対象となる“Work”フォルダとしてPCのローカルストレージに保存できる程度のサイズ以下にまとめ、それを超えた、あるいは古いデータは“Backup”フォルダへ移し、ネットワーク経由でアクセスする手段に切り替えている。こうすることで、自動的に同期するデータ量は少なく作業も短時間で済むので、普段の利便性は損ねない。


  【手段.3】「ネットワーク対応ストレージ」を利用する
省電力 ☆(PC1台ほどではないが、常時起動させておく必要がある)
初期コスト ☆☆(普通のHDDと異なり、NAS製品はその機能の分やや高額。ただ、製品群は豊富で選択肢も多数ある)
ランニングコスト ☆☆☆☆(電気使用量は若干増えるが、オンラインストレージよりは容量単価は安価で自由度が高い)
重量 ☆☆☆☆☆(持ち歩くことはなく、ネットワークだけで完結するため)
速度 ☆☆☆☆(使用ネットワークや自宅回線の環境にもよるが、ローカルでは高速で利便性も高い)
容量 ☆☆☆☆☆(Tバイトクラス。ストレージ容量の拡張も容易)
(※星が多いほど効果あり/良好 を示す。満点:☆☆☆☆☆ ※あくまで筆者感覚値です。ある条件化では大きく異なる可能性はあります)


「データを効率的に分散保存」がポイント

 筆者が導入する環境のポイントは、利便性:良/保存量:少で半年以内の直近作業フォルダ「Works」とその期間を過ぎた「Backup」フォルダに、期間や重要度、データ量で区切ってファイルを分類することだろうか。Workフォルダはオンラインストレージと自宅のネットワーク対応ストレージ、および他のPCへ「同期」して最新状態の同じものを複数に分けて確保しつつ、利用頻度が低くなりつつもたまに参照する機会があるBackupフォルダは、自宅のネットワーク対応ストレージへ一定期間おきに移すという感じである。

 ここまでデータの保存先ごとにストア、バックアップ、同期と3つの手法を組み合わせる方法を紹介してきたが、それぞれ長所と短所があることはお分かりいただけただろう。ともあれ、一般用途において多くの場合はポータブルHDDだけで済んでしまうことも確か……なのだが、バックアップと同期を組み合わせた方法も取り入れると、万一時だけでなく一歩進んだ利便性も得られることになる。同じデータをノートPC以外の場所に2つ以上コピーをとっておくことで、どれか1つが損失しても対処できるためだ。

 個人的に導入できる金額の範囲において、データを効率的に分散保存するのが今のところ安心できる手段だ。そのうち1つはオンラインストレージのように物理的に離れた場所に置いておけば、万一自宅が損傷するような災害に見舞われてもデータを復旧できる。自宅のNASと数百キロ離れた実家にNASを置いて同期すればより安全だと意外と真面目に検討していたりもする。

 次回は少し路線を替え、モバイルビジネスの上でのコミュニケーション手段を検討してみよう。



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