CESといえば「ラスベガスで行われる世界最大級の家電」じゃないの、と多くの人は思うかもしれないが、中国でもCEA(米国家電協会。International CESの主催団体でもある)公認で行われている。その中国版CESが2011年も開催された。正式名称は「China International Consumer Electronics Show」だが“SINOCES”と略されることが多い。
中国語では「中国国際消費電子博覧会」となるこのイベントは、2001年から青島で開催され、中国政府の商務部や科技部、情報産業省に相当する工業和信息化部など、公的機関がバックアップする。そのSINOCESで、“近い将来”の中国ITトレンドをチェックしてみたい。
会場の「青島国際会展中心」は現代的、かつ、広大な建物だ。その入口でビジター登録をして中に入ると、来場者のほとんどがおじいちゃんとおばあちゃんであったりする。各企業ブースで耳にする質問も「これはどこのブランド?」「いくらで売ってるの?」という、実に消費者的な視点に限られる。もっとも、著名なPCメーカーの展示ブースの間に、特産品の食品やラジコンヘリの特売会場が紛れ込んでいたりするなど、買い物気分のおじいちゃんおばあちゃんも楽しめるところがSINOCESの特徴だったりする。
SINOCESでは、白物家電、AV家電、IT家電、ホームセキュリティ、そして、中国が誇る“独自規格”の最先端技術が紹介される。中国の報道関係者でも、中国独自技術より家電やデジタルガジェットに興味を示すあたりが興味深い。
SINOCESで出展した主な中国メーカーでは、PCの「レノボ」「神舟」や周辺機器の「愛国者」「紐曼」(Newsmy)などが目立つ。また、家電では総合家電メーカーの「ハイアール」や白物家電に強い「美的」(Midea)、テレビがメインの「海信」(Hisense)が参加していた。中国以外のメーカーでは、東芝がPCとテレビを、パナソニックがテレビを、マイクロソフトがXbox 360とKinectをアピールしている。ほかにも、独シーメンスやフィリップスが大規模のブースを構えていた。
中国の独自規格を紹介するエリアでは、中国版DLNAこと「閃聯」(IGRS)や第3世代携帯電話の1つ「TD-SCDMA」、それにテレビとインターネットと電話回線を1つにまとめる「三網融合」(3つのネットの融合。技術名ではない)を展示していた。
既存部品を参考に作ったと思われる製品も多いが、その一方で、“突き抜けた”製品も展示されている。レノボが独自に開発したという「楽OS」(LeOS)搭載のスマートフォン「Le phone」や(すでに出荷されているLe phoneはAndroidを導入している)スレートPC「楽Pad」(Le Pad)、また「紐曼」が展示していたオフィス向け電話機にPC本体を内蔵(?)した「鳳PC」などは、欧米日のメーカーでは見られない、いろいろな意味で“ユニーク”なモデルだ。
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