レビュー
» 2011年09月17日 19時00分 公開

発売記念・特大レビュー:ソニーらしさはAndroidタブレットでも健在か?――「Sony Tablet S」徹底検証 (2/9)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

バッテリーは交換できないが、スタミナはなかなかのもの

 多くのタブレットと同様、内蔵バッテリーはユーザーが交換できない仕組みだ。より小型軽量なSony Tablet Pでは交換式バッテリーを採用する一方、Sony Tablet Sはそこまで携帯性を追求しておらず、ラインアップで性格付けがはっきりしている。

 ソニーによる公称バッテリー駆動時間は、スタンバイ時で約430時間(3G+Wi-Fiモデルは約400時間)、音楽再生時で約31時間、動画再生時で約6時間、無線LANによるWeb閲覧時で約6.2時間(3G+Wi-Fiモデルの3GによるWeb閲覧時では約4.5時間)とされている。

 国内販売されるWindows PCで標準的なJEITA測定法によるバッテリー駆動時間の公称値と異なり、Androidタブレットはバッテリー駆動時間の測定法に業界標準の規格がまだない。そのため、メーカーが異なるタブレットの仕様表に記載された公称バッテリー駆動時間を見比べるのは、ある程度の目安にしかならないのが現状だ。

バッテリー駆動時間のテスト結果

 そこで実際に、Sony Tablet Sのバッテリー駆動時間を2つの方法で計測してみた。1つは映画鑑賞を想定、もう1つはWebサイト閲覧を想定したテストだ。

 動画再生テストは、バックライト輝度を最大、ヘッドフォンを接続して音量を50%に固定し、無線LANはオンにした状態と、かなり厳しい条件で行った。この設定でMPEG-4 AVC/H.264のフルHD動画(映像7Mbps、Baseline Profile L4.1、音声AAC)をバッテリー切れまで再生し続けたところ、4時間38分という結果だった。輝度をもっと下げれば、より長時間の動画再生も可能だろう。

 Webサイト閲覧のテストは、バックライト輝度を50%に下げ、無線LAN経由でPC USERのトップページをバッテリー切れまで1分おきに自動でリロードし続けるというもの。このテストでは、公称値を上回る7時間46分まで駆動時間が延びた。実際のWeb閲覧では検索して異なるサイトを頻繁に移動したり、文字入力したりといった複雑な操作が発生するため、もっと短くなる可能性はある。

 なお、付属のACアダプタは突起部を除くサイズが37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が190グラム(実測値)だった。定格出力は10.5ボルト/2.9アンペアだ。

 個性的なデザインの本体に比べて、ACアダプタはモバイルノートPCでよく見かける標準的なブロックの形状をしており、サイズも特別小さくはない。かなり手軽に持ち運べるサイズではあるが、本体とのバランスを考えると、より持ち運びやすい形状や、コンセントに直接挿せるウォールマウントプラグの付属など、あと一工夫が欲しかったところだ。

 本体側のDC入力は幅広の端子が先端部の左端(横位置の場合)にあり、手探りでラフに抜き差ししづらく、慣れないうちは意識して着脱する必要がある。充電時間は公称値で約5時間だ。PCのUSBバスパワーやUSB充電器で充電するような仕組みは用意していない。

ACアダプタは、突起部を覗くサイズが37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が190グラム(実測値)だった(写真=左)。Sony Tablet PのACアダプタと並べたみた(写真=右)。Sony Tablet Pは携帯利用に配慮し、より小型軽量のACアダプタを採用している

液晶ディスプレイにもソニーの技術をプラス

1280×800ドット表示の9.4型ワイド液晶ディスプレイを搭載。標準の壁紙は黒がベースだが、黒の締まりがよく、フルフラットなディスプレイ表面によくなじんでいる

 タブレットデバイスの“顔”である液晶ディスプレイは、9.4型ワイド(アスペクト比16:10)の画面サイズだ。現在主流となっている10型前後のタブレットでは少しだけ小さい画面サイズとなっている。とはいえ、解像度は標準的な1280×800ドットを確保しており、わずかにドットピッチが狭く、表示が細かいものの、見た目の感覚は10型タブレットとほぼ同じだ。実用と軽さのバランスが取れた液晶パネルの選択に思える。

 液晶ディスプレイ周辺のデザインはほかのタブレットと同様、フレーム部分まで継ぎ目がないフルフラットな光沢仕上げだ。液晶パネルの駆動方式は広視野角のIPS方式で、表示方向を縦横に切り替えても、コントラストや色相の変化が非常に小さく、視認性が高い。白色LEDバックライトを搭載しており、十分な輝度を達成しつつ、輝度の調整幅も広めに確保している。

 なお、ソニーはこの液晶ディスプレイに「TruBlack」(トゥルーブラック)の名前を与えている。同社のデジタルフォトフレームやデジタルカメラに採用されている独自技術を施した液晶ディスプレイだ。

IPS液晶の採用により、縦位置の表示でも視認性は変わらない。横位置と縦位置の表示は3軸加速度センサーにより、本体の向きに合わせて自動で切り替わる。表示位置をロックするボタンはないが、設定メニューで固定することは可能だ

 通常、液晶ディスプレイのフロントパネルと液晶モジュールの間にはごくわずかなすき間(エアギャップ)が空いているが、ここに外光やバックライト光が入ると内部で拡散してしまい、輝度やコントラストの低下を引き起こしてしまう。また、映り込みも激しくなる。

 これに対して、TruBlack液晶ディスプレイでは、エアギャップを屈折率の高い樹脂などで満たしつつ、表面に反射防止フィルムを貼り付けることで、光の反射を抑えて、コントラストや視認性の向上、パネルの剛性補強を図っている。

 実際に画面表示を見た印象は、確かに(構造上、黒が浮きやすい)IPS方式にしては黒の締まりがよく、コントラストの高さが感じられた。しかし、画面への映り込みはアンチグレア液晶パネルほどには抑えられていない。暗い表示では鏡のように照明やユーザーの顔が映り込んでしまう標準的なグレアパネルのタブレットに比べて、少しだけ輪郭が甘く映り込む程度の違いだ(それでも何もしていないよりはよっぽどいいが)。また、指紋は付着しやすい。

 表示色数はRGB各色6ビットの約26万色で、ディザリングで最大約1677万色のフルカラーを実現する。色温度が少し低めのようで、白がやや黄色に寄った表示だが、映画鑑賞などとの相性はよい。発色に不満はなく、階調もまずまず。IPSパネルで輝度とコントラストがしっかりしていることもあり、全体的にタブレットとしては高い表示品質といえるだろう。

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