Fusion APU搭載タブレットデバイスをファンレスで冷やす方法(1/2 ページ)

» 2011年10月06日 05時20分 公開
[長浜和也,ITmedia]

薄いボディは“適度なすき間”が決め手

 AMDは、10月5日に台湾台北市で「AMD Fusion 11:7TH ANNUAL TECHNICAL FORUM & EXHIBITION」を開催した。一般のユーザーも参加できるこのイベントは、基調講演とテクニカルセッション、そして、展示ブースで構成される。

 テクニカルセッションでは、開発者などに向けた詳しい技術解説が、Thermal、Electronisなど、5つの分野で行われた。ここでは、Thermalセッションで紹介された、「パッシブ冷却」と「Fusionにおけるファンコントロール」の内容をまとめてみよう。

 「パッシブ冷却」のセッションでは、Fusionを採用した「タブレットデバイス」で、薄いボディでもファンを使わずに安定動作を確保する冷却機構について解説した。

 AMDは、Fusion APUのZシリーズでタブレットデバイスへの搭載を想定しているが、TDP 6.5ワットのAPUを薄いボディに組み込むにあたって、ファンを使った冷却ではなく、ファンレス冷却を選択しなければならないのが、最大の課題となる。薄いボディ以外にも、より長いバッテリー駆動時間に動作時発生音、重さ、そして、両手で触って使うことによるボディ表面の温度抑制など、ファンレス冷却の要求は厳しい。

 セッションでは、Acerのタブレットデバイスで検証した冷却機構の例を挙げて、従来と比べて改良タイプでは、底面側にアルミのヒートスプレッダを加え、さらに、ボディ背面パネルとすき間を確保することで、ファンレスでも冷却効果を挙げることに成功したと説明している。ヒートスプレッダと背面パネルとのすき間は、表面温度の抑制のために重要で、このすき間が狭すぎると、APUからヒートスプレッダの中央部分に伝わった熱が、ヒートスプレッダ全体に拡散する前に、すき間の空気層から背面パネルに伝わって局所的に温度の高いポイントを作ってしまう。一方ですき間を過度に確保すると、薄いボディが実現できなくなる。

左がAcerのタブレットデバイスで従来採用してきた冷却機構で、右がAMDが改良を加えた冷却機構だ。放熱板を兼ねていたノイズシールドに伝熱素材とアルミのヒートスプレッダを加え、さらに、背面パネルとの間に適切な“すき間”を設けた(写真=左)。この検証はAcerの既存モデルを使って行った。すき間を作るため、背面パネル内側のリブはすべて取り払い、ファンは電源コートの抜き差しでファンありとファンレスの違いを確認した(写真=中央)。改良した冷却機構の有効性を検証するため、ファンレスとファンありでCPU、ヒートパイプの温度をアイドルと動画再生時で比較した(写真=右)

 さらに、AMDでは、タブレットデバイスで組み合わせて使うことが多い、スタンドとプロテクタの機能を追加する“ケース”が取り付けられた場合の冷却効果も検証している。検証作業では、タブレットデバイス本体がスタンドやケースによって姿勢と机からの距離を変えた状態で、冷却効率にどのような影響を与えるかを、ボディ各所の温度を測定することで確かめている。

 ボディを垂直にした状態で、ディスプレイ側と背面側を動画再生しながら(C-50を搭載したシステム全体の消費電力は18ワット程度)、ボディ表面の温度を測ったところ、正面はごく一部で35度に上がったほかは、ほとんどが30度前後となった一方で、背面は左上部の広い範囲(全面の約4分の1)が35度前後となり、ほかは、30度をわずかに上回る結果となった。これは、設計段階で行った表面温度シミュレーションとほぼ同じ結果で、冷却機構の効果が期待通りであったことを示す。適切なすき間の確保によって、厚さ16ミリのボディでは、銅のヒートスプレッダとヒートパイプを組み込み、その上に伝熱素材と放熱兼用のノイズシールド、アルミ製ヒートスプレッダで構成した冷却機能を搭載するところ、伝熱素材とアルミのヒートスプレッダだけの厚さ11ミリボディも実現可能になる。

 時系列の変化では、ヒートパイプ、CPU、そしてボディ表面測定点における平均温度のそれぞれで、動画再生20分までに温度が上昇し続けた後は、いずれのポイントでもほぼ横ばい(わずかな上昇を続けているが)となって温度は安定している。また、ファンレス冷却機構とファンを有効にした冷却機構のそれぞれにおいて、水平状態(机との距離は0.6インチ、約1.5センチ)とスタンドを置いて30度にした状態でCPU、ボディ表面の温度を測定すると、動画再生時の表面温度においてファンレス冷却機構は5度程度高かったものの、アイドル状態における表面温度と動画再生時におけるCPU温度はほぼ同じで、アイドル状態時におけるCPUの温度にいたっては、ファンを有効にした冷却機構で5度程度高くなるのが確認された。

冷却効果を維持しつつ背面パネルの表面温度を抑えるためには、適度なすき間が必要になる(写真=左)。適度なすき間が分かれば、厚さ11ミリのタブレットデバイスがFusion APU搭載モデルでも可能だ(写真=右)

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