Apple Thundebolt Displayは、アスペクト比16:9の2560×1440ドット表示に対応する27型ワイド液晶ディスプレイだ。パネルのスペックは、輝度が375カンデラ/平方メートルで、コントラスト比は1000:1、応答速度は12ms。IPSパネルを採用しており、視野角は水平/垂直とも178度と広く、横から見ても色が変わりにくい。27型ワイドとサイズが大きく、ディスプレイと正対して座っても画面の端とは角度がつくので、このクラスのディスプレイで色度変位の小さいIPSパネルは必須だろう。色域については後述するが、特に広色域というわけではなくsRGBクラスだ。
インタフェースは、3基のUSB 2.0とFireWire 800、ギガビット対応有線LANを搭載し、ノート型Macの“ドッキングステーション”という性格を併せ持つ。FaceTime HDカメラやマイク、2.1スピーカーシステムを内蔵するほか、ノート型Macを充電できるMagSafe(出力85ワット)電源アダプタも備えており、オフィスに1台あれば会社と自宅の往復にACアダプタを持ち歩く必要もなくなる。有線LANポートを搭載しないMacBook Airにとってはまさにうってつけのディスプレイだ。ただ、MacBook Airに搭載されるThunderbolt PortとMagSafeコネクタのレイアウトが左右両側面に振り分けられているため、充電時はケーブルが聴診器のように分かれてしまい、ややこっけいな見た目になるのが少し気になる。
Thunderbolt Displayの本体サイズは650(幅)×207(奥行き)×491(高さ)ミリ、重さは約10.8キロ。アルミとガラスで構成される27型のボディは、デスクに置くと通常のPC用ディスプレイよりも威圧感がある。スイベル機構はないものの、iMacと同様にアルミ製の台座は滑りがよく、画面の向きは簡単に変えられる。ただ、MacBook Airとのデュアルディスプレイ環境で使う場面を考えた場合、Thuderbolt Display側の画面を下げて視点移動を小さくできるように、昇降機構があればよかった。
目視の印象は、光沢パネルを採用するため、やはり外光の映り込みが激しい。写真などを表示した際の見栄えはくっきりとした表示で好印象だが、設置場所には気を遣う必要があるだろう。ちなみに、オフィスで画面を少し上に向けると盛大に蛍光灯が映り込んだ。
それでは表示性能の見ていこう。評価にはエックスライトの「i1Pro」を用いてキャリブレーションを行い、ガンマカーブと色再現性を検証した(設定は輝度120カンデラ/平方メートル、色温度6500K、ガンマ2.2)。
ガンマカーブは下の通りで、暗部にややがたつきが見られ、1:1のラインからわずかに外れている。特に、青が強く出やすい白色LEDバックライトの特性にあわせて補正しているのが見て取れる。
次にここで作成したプロファイルを、Mac OS XのColorSyncユーティリティを用いて、sRGB/Adobe RGB/Thunderbolt Displayのデフォルトプロファイルと比較してみた。これを見ると、色域はsRGBを完全にカバーしているものの、Adobe RGBに比べるとかなり狭い(とはいえ、MacBook Airの内蔵パネルに比べれば雲泥の差だ)。また、デフォルトのThunderboltプロファイルとほぼ一致しているが、今回測定した機材では色域が青にやや広い傾向にあった。
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