韓国ユーザーの“国産愛”を釜山で知る:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2011年12月17日 12時30分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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釜山で韓国の日常に潜り込む

 釜山は韓国第2の大都会で、その街並みは日本に似ている。朝は郊外から30分以上かけて電車でやってくる勤め人で通勤ラッシュが日常的に起きる。彼らの日常を知るのは意外と簡単だ。大都会にもかかわらず、温泉マークを掲げた民宿があちらこちらにある。そこに泊まると釜山に住む人の暮らしに思いっきり近づける。

 釜山港の周辺には微妙な日本語で書かれた“日本人ウェルカム”な民宿が何軒もあるので、そこに泊まってオーナー家族と交流し、同じように何件か民宿をハシゴすれば、いろんな韓国人の日常と出会うことができる。韓国人の特性か港町という地域性か分からないが、彼らはとても友好的で、プライベートな話も包み隠さず話してくれる。

 ある民宿のオーナーは、「知り合いが日本に行くけれど、VAIOのノートPCの値段はいくらか知らないか。どこで買えるのか」と聞いてきた。なんでもその知り合いは、福岡でなく東京に行くのだそうで、日本の製品を購入するのを楽しみにしているそうだ。国産愛にあふれる韓国人は、ソニーなんて興味はないと思いきや、「そんなことはない」という。

 別の民宿では、30歳代後半の男性オーナーの寝室に、1台のデスクトップPCと2台のノートPCを置き、マルチPC&マルチディスプレイ環境を構築していた。ヘビーユーザーのオーナーだったらしく、PCやインターネットサービスの利用状況について聞いてみる。

 そのオーナー氏は、調べたいことがあれば、まずは「NAVER」のWebページを開いて検索するという。製品の価格はWebサービスの「AUCTION」を使う。AUCTIONは、その名の通りのオークションサービスだが、実質的には多数の企業や商店、個人が参加するオンラインショッピングサイトになっている。オーナー氏はここでよく購入するという。

 オンラインショッピングが主流となったオーナー氏は、最近では電脳街へ出向くことも少なくなったそうだ。それゆえ、「釜山で最も人気のある電脳街はどこ」と聞いたが「分からない」という答えしか返ってこないだ。実際、自分で調べた電脳街にいってみたが、日曜の昼というのに客がいなくて驚いたほどだ。

日曜の昼というのに人がまったくいない釜山で最も有名な電脳ビル(写真=左)。多くのPCショップは店頭にスペックを掲げる。ネットゲーマーが多い韓国のPCユーザーにとってスペックは最重要項目だったりする(写真=右)

日本を感じさせない釜山に日本語を話す若者がいる理由

 釜山の街で日本を想起するのは、ファミリーマートなどのコンビニにダイソーくらいしかない。にもかかわらず、現地で日本語を話す若者を少なからず見かけた。彼らに聞くと、日本語を学ぶ原動力は「ネットで見られる日本のドラマの“海賊版”動画」であったり、点在する漫画喫茶で読んだ漫画であったりする。街の風景からは日本を意識するものが少なくなって、韓国人は日本に対する関心がなくなってしまったと思っていたが、ネットの世界(そして、そこはかとなくグレーな領域で)では依然として日本への関心が残っているようだ。

 若い日本語使いの韓国人に聞くと、韓国でもスマートフォンが普及したきっかけはiPhoneだったという。「スマートフォンが普及してPCを使わなくなったか」と聞いてみれば、「あくまでスマートフォンはリーダーであって、PCは必需品」という回答が返ってきた。

 釜山でもオフィスの大小を問わずPCは必ず使われていて、中心街から離れた住宅地には修理センターを兼ねた小さなPCショップが点在する。無数にあるネットカフェでは、大学生をはじめとする20歳代のユーザーが目立つが、厳しい受験勉強から逃避してネットカフェで遊ぶ高校生もいる。デパートやショッピングセンターでは、PCを使ったインターネット端末が自由に使え、小学生や中学年くらいの子が買い物をする親を待っている間に、Flashゲームで遊んでいる。

 もう日本と同じ、と勝手にイメージしていた韓国だが、思っていた以上に脱日本であったり、そうでなかったりする面もあったり、そして、そうは思っていなかったが考えてみればそうかもしれない“国産愛”に触れてみたりと、釜山の街とそこに住む人は、知っているようでまだまだ知らないことが韓国のIT事情にはあるのだなあと、教えてくれたのであった。

インターネットカフェは、ごく普通の喫茶店にしか見えない(写真=左)。釜山で数ある漫画喫茶の1つ。ここが今でも日本に関心を寄せる若者の拠点となっている(写真=右)

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