すべてのコンピュータはヘテロジニアスを目指す──NVIDIAがProject Denverで目指すもの:GTC Asia 2011(1/2 ページ)

» 2011年12月20日 16時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Project Denverの道に導くCPUとは

基調講演とは別な時間に記者会見に応えたNVIDIA 共同創業者 兼 CEOのジェン・スン・ファン氏

 「ヘテロジニアス・コンピューティングは、電力効率(Energy Efficient)が最も高い手法だ」と強調するのは、NVIDIA 共同創業者 兼 CEOのジェン・スン・ファン氏だ。12月に中国の北京で開催されたGPU Technology Conference Asia 2011(GTC Asia 2011)においても、NVIDIA、そして、ファン氏が一貫して主張していた。

 「モバイルデバイスからデスクトップPC、サーバに至るまで、すべてのコンピューティングは電力による制約を受ける」という考えを基に、GPUの仕組みを「GPUコンピューティング」の実行に最適化し、「最も電力効率が高いCPUコア」(ファン氏)であるARMを軸に、NVIDIAは、CPU+GPUのヘテロジニアス・コンピューティングを積極に推進する。

 ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)という高性能マシンの分野においては、現在インテルやAMDのx86ベースCPUが大きなシェアを占めている。こうしたサーバ市場、特にHPCをターゲットにNVIDIAが投入を計画しているのが「Project Denver」と呼ばれるARMアーキテクチャをベースとしたプロセッシング・コアだ。

 従来、NVIDIAはGPUコアを搭載した製品が主軸であり、ARMからライセンスを受けたCPUコアを使って、GPU機能を統合したモバイル向けSoCの「Tegra」を投入している。Tegraを採用する製品は少なかったが、その後継のTegra 2は「Android 3.x Honeycomb」のリファレンス・プラットフォームとして採用され、多くの製品に搭載されて出荷された。

 現在、第3世代目にあたる「Tegra 3」(Kal-El)を搭載した製品が2011年の末になって出荷され始めているが、同製品は2012年後半にも登場するといわれている「Windows 8」をサポートすることになる。さらに、Project DenverでHPCの領域へも進出することになり、モバイルからデスクトップ、サーバまで、すべてのコンピューティング領域をカバーするソリューションがNVIDIAの製品でもそろうことになる。

NVIDIA Tesla担当CTOのスティーブ・スコット氏

 だが、こうしたロードマップ実現はまだ先の話だ。NVIDIAでTesla担当CTOのスティーブ・スコット氏は、「われわれは将来的に大量の命令実行に最適化されたGPUコアの中に、CPUコアを組み込むことを計画している。GPUとCPUのそれぞれに長所と短所があり、GPUがCPUそのものを置き換えることはない。GPUは、並列実行を主眼としているのに対し、CPUではシングルスレッドの性能向上を目指すというように方向性が違うからだ」と述べている。

 その一方で、「ただし、低消費電力に最適化されたARMが既存のCPUを置き換える可能性はある。こうしたGPUコアとCPUコアの統合を今後10年以内に行っていく予定だ」とも語っている。これは、GTC Asiaの基調講演でファン氏が語っていた「2019年までにGPUでエクサスケール・コンピューティングを実現」というロードマップにならったものだ。この過程で登場するのが「Project Denver」であり、NVIDIAのいうCPU+GPU戦略の中核を担うものだと考えられる。

 なお、Scott氏によれば、このCPU+GPU戦略で用いられるARMコアは64ビットベースのもので、ARMが発表したARMv8コアをベースにNVIDIAが独自に開発するCPUコアになるという。すでに、ARMと連携して開発に動いている。

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