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» 2011年12月31日 16時00分 公開

Air、VAIO、Ultrabook……:私的ランキングで振り返る2011年のノートPC (2/2)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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大画面モバイルという選択肢

ソニー「VAIO S(SE)」

 個人的には一番期待しているのが、“大画面モバイル”だ。

 こういう呼び方がふさわしいのがどうかは分からないが、2011年はソニーの「VAIO S(SE)」にパナソニックの「Let'snote B10」といった15型以上の液晶ディスプレイを搭載した比較的薄型で軽量なノートPCが登場してきた。

 特にIPS方式の15.5型フルHD液晶ディスプレイを搭載したVAIO S(SE)は、個人的に今最も欲しいノートPCの1台で、意外に思うかもしれないがランキングの1位とした。

 この製品は、モバイルノートPCとして見るか、大画面ノートPCとして見るかで評価が大きく変わってくるだろう。モバイル側の視点からはそれほどインパクトがないのかもしれないが、大画面、高解像度ありきのノートPCユーザーにとっては、これまでにできなかったことを可能にしてくれる、実に画期的な製品だ。

 モバイルノートPCのようなスタイルのよさや素材の裏付けのある高い質感を備えた大画面ノートという選択肢はもともと少ないだけに、それだけでもかなり貴重な存在といえる。さらにVAIO S(SE)では広視野角IPSパネルを採用しており、クリエイティブユースにも向く。厚さ24.5ミリ、重量約1.99キロというスリムで軽量なボディにこれだけ高品質な液晶を備えているということに、大きな可能性を感じずにはいられない。

 筆者自身も大画面ノートPC(VAIO F)のユーザーであり、主に写真編集やビデオ編集に利用している。これまで旅行などの際に「新幹線やホテルで写真を選別したり、現像できれば……」と思い、VAIO Fの持ち出しを考えたことはあるが、実際にしたことはない。大きくかさばるボディ、大きなACアダプタ、短いバッテリー駆動時間……持ち出す労力と効果をてんびんにかけて、効率が悪いと判断したからだ。しかし、VAIO S(SE)のような製品があるならば、事情が変わってくる。

 一方、モバイルノートPC側から見た場合、フルHD解像度のIPS液晶という装備は、あったらうれしい要素ではあっても、優先順位としてはかなり下だろう。重さやバッテリー駆動時間を差し置いて優先したいという人はまだ少数派に違いない。VAIO S(SE)、Let'snote B10ともに、現状の重さとバッテリー駆動時間ではまだ訴求する段階にはもう一歩足りないという気がしている。

 しかし、さらに電力効率がアップするであろうIvy Bridge(開発コード名)が2012年前半に登場してくれば、この辺りが大きく改善される可能性があり、さらに幅広いユーザーに訴求できるジャンルに進化する可能性を秘めている。

ユーザーニーズとのズレをどう修正するか

 最後にこれまで触れてこれなかった製品についても、簡単に見ていこう。

 ソニーの16型ノート「VAIO F(3D)」は、3D立体視対応のノートPCとしては文句なくナンバーワンといえる画質を実現しており、エンターテインメントノートPCとして実に魅力的な存在だ。市場として3D対応のPCは盛り上がりに欠けるものの、その中にあって4倍速駆動とLEDバックライト制御を組み合わせたクリアな3D表現は突出している。

 エンターテインメントという面では、デルの17型ノート「ALIENWARE M17x」も挙げたい。最大24Gバイトのメモリやモバイル向けハイエンドGPUを搭載できるなど、突出したハードウェアスペックに加えて、ボディを含めたデザインイメージの徹底による世界観の演出など、所有欲をそそる仕掛けがたっぷりと詰まっている。

ソニー「VAIO F(3D)」(写真=左)。デル「ALIENWARE M17x」(写真=右)

 レノボ・ジャパンの14型ノート「ThinkPad T420s」は、これも筆者が実際に購入した製品だ。1600×900ドットの表示解像度やベイバッテリーとの併用による公称で約7時間のバッテリー駆動時間、指紋センサーとTPMチップの搭載など、ビジネスに必要な条件を一通り備えていることに加えて、現行製品として最高レベルのキーボードを装備していることが選択した最大の理由だ。

 過去のThinkPadに比べて不満な部分もなくはないのだが、それでも現行最高レベルの入力環境を誇る製品であることは疑いがない。また、堅牢性という面でも、ThinkPadは1つ抜けているというのが実感としてある。

 同じレノボの12.5型モバイルノート「ThinkPad X220」も、キーボードはThinkPad T420sに匹敵する。広視野角のIPSパネルをBTOで選べるのもポイントだ。ただし、従来モデルの「ThinkPad X201s」では画面の表示解像度が1440×900ドットの液晶ディスプレイを選べたのに、1366×768ドットしか選べないことは残念に感じる。

レノボジャパンの「ThinkPad T420s」(写真=左)と「ThinkPad X220」(写真=右)

 コスト優先の低価格モデルや入門者をターゲットにした製品ならばいざ知らず、ビジネス向けやパフォーマンスを求めるユーザー向けのモバイルノートPCでも、いまだに画面の表示解像度が1366×768ドットにとどまる製品が多いのは、理解に苦しむところだ(それだけ、高解像度液晶パネルにかかるコストの判断が難しいのだろうが)。

 今回選にもれたノートPCでも、それだけ見れば悪くないのにヒットに至らないという製品には、こういうユーザーのニーズとのズレを感じる部分がいくつかある。そのズレを見直すだけでも製品としての競争力がもっと向上するのではないだろうか。

 2012年前半に予定されているIvy Bridgeの登場により、ノートPCの性能やバッテリー駆動時間が向上するとともに、デザインの自由度も上がると期待されている。それゆえに性能以外の部分での構成力がより重要になってくるはずだ。

 2011年の活躍が目立ったアップルはもちろんだが、それ以外のどこから大ヒット作が登場してきても不思議ではない下地は整っていると感じられる。楽しみに待ちたい。

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