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» 2012年04月04日 12時00分 公開

レノボもユーザー次第といっていました:ThinkPad X1 Hybridの“Hybridなところ”を試す (2/2)

[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]
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意外と頭を使うIMM

 ARMとLinuxベースのカスタマイズOSのプラットフォームをレノボはIMM(Instant Media Mode)と呼んでいる。ThinkPad X1 Hybridの本体にはIMMを起動するための専用ボタンの類を用意しない。PCをイチから起動するとWindows 7が立ち上がるので、そこからIMMを呼び出さなければならない。ただし、IMMでスリープするとIMMで復帰するので、短時間で起動してIMMを利用するユーザーはこの仕組みを利用することになる。なお、評価機では、入力デバイスが有効になるまで時間(実測で10秒程度)を要していた。これも「PCを立ち上げてすぐに使う」という局面でストレスを感じるだろう。

 WindowsからIMMを呼び出す場合、デスクトップの右下に表示する「Instant Media Mode」のトレーから、「ホーム画面」「Webブラウザー」「Eメール」「ビデオ/写真」「音楽」「概要」をクリックして選ぶ。ホーム画面は、レノボのタブレットデバイスでも採用する、レノボスクエアと呼ばれる設定画面と4つのアプリケーションをワンクリックで起動するランチャーだ。それ以外を選択するとそれぞれのアプリがホーム画面を介さずに起動する。Windowsからの遷移に要する時間は実測で10秒前後だった。

 なお、IMMへの切り替えにおいて、Windows側でIMMが使うドライブにあるファイルにアクセスしている(ファイルを開く、フォルダを開く)と、IMMへの切り替え処理で、共有ドライブの切り離しに失敗して、IMMの起動ができなくなる。IMMとの共有ドライブに対してアクセスしているプロセスをすべて閉じてからIMMを起動しないとならないので注意が必要だ。

 IMMでは共通のタグを画面上部に常時表示する。タグには「戻る」「ホーム」「メニュー」「終了」があって、Android OSの環境と同様に利用できる。アプリを終わらせるために終了タグをクリックしたくなるが、このタグは、IMMそのものを終わらせる。確認のメッセージが出てくるので、実際の動作にすぐ影響するわけではないが、“操作の動線”という意味では、自然な流れを止めてしまう。

 日本語入力は、レノボIMEを導入している。レノボ・ジャパンは「Wnnをベースにしており、辞書関連の部分をレノボ・ジャパンがカスタマイズした」と説明している。キーボードを搭載したデバイスだけに、レノボIMEで思いっきり文章を入力してみたいところだが、IMMでは文章作成に適したアプリを用意していない。また、レノボIMEが有効になる操作(ドキュメントには、左Alt+カタカナ/ひらがな/ローマ字キーでローマ字入力、Shift+同でカタカナ入力が有効になる。ちなみに、Ctrl+変換でIME設定、Shift+無変換で英数字とカナ入力の切り替え。F6で選択範囲のひらがな変換、F7で同じく全角カタカナ、F8で半角カタカナ、F9で全角英数、F10で半角英数となる)をしても、日本語入力が有力にならないケースがいくつか確認できた(例えばWebブラウザの検索入力欄)。

IMMを起動するにはWindowsのデスクトップ右下にあるトレーから利用するアプリを選択する。10秒ほどでIMMに遷移する(写真=左)。IMMのホーム画面は、レノボのタブレットデバイスで採用が多いレノボスクエアと呼ぶランチャーを兼ねる(写真=中央)。IMMで起動するほとんどのアプリで画面上部にタブを表示する。Android OSで用意する共通機能のほかに、Windowsに戻る「終了」タブがある(写真=右)

あるものでなんとかするしかないIMM

評価機で導入していたIMMで利用できるアプリ

 レノボ・ジャパンは、IMMがAndroidではなくLinuxをベースにしたカスタマイズOSと説明するが、導入している設定ツールや、端末情報からアクセスできる法的情報にある「Android Open Source Project」の文言は、IMMのOSがAndroidであることを示している。しかし、いろいろな事情があって(このあたりの細かい説明についても、レノボは“事情があってできない”という)、ユーザーはGoogle Playを利用してAnroidアプリを導入できない。

 事前に用意しているIMMで使えるアプリは、Webブラウザにメール、オーディオプレイヤー、ギャラリー、連絡先、カレンダー、電卓、ダウンロード管理、そして、設定ツールと検索ツールだ。せっかくのキーボードを生かすテキストエディタやAndroid用Officeアプリは用意していない。Webブラウザ経由や圧縮ファイルを用いた“非公式な方法による”アプリ導入もできなくはないが、その時点で公式なサポートは受けられなくなる。

 これまでもモバイル利用を重視したノートPCで、短時間で起動してメールやWebページの閲覧などの簡単な処理を行えるインスタントモードをLinuxベースで用意した製品が多数あったが、それを使うユーザーを見たことがない。ThinkPad X1 Hybridが、2012 Internatoinal CESで登場した当初は、OSがWindows 7とAndroidのデュアルOS環境(そして、Core iシリーズとARMのデュアルCPU環境)で注目された。それは、Androidアプリの導入で、その利用場面がユーザー自身で広げることができることに、“瞬時起動でバッテリー駆動時間も長いのに、全然使い物にならなかったインスタントモード”にはなかったメリットを期待したからだ。しかし、電源ボタンを押すとWindows 7が必ず起動するThinkPad X1 HybridのIMMは、少なくとも「スマートフォンやタブレットデバイスのように取り出してすぐ使える」用途には向いていない。

 ただ、「バッテリー駆動時間を長時間持たせたい」という状況にあるとき、IMMは威力を発揮する。例えば、飛行機や新幹線の移動中で、運悪く(というかそれが普通だが)ACコンセントが長時間使えない状況にあっても、IMMなら、たとえ太平洋を横断する旅でも動画コンテンツを見続けることができる(参考記録ながら、IMM環境におけるバッテリー駆動時間を測定するため、動画の連続再生を行った。電源管理設定は、PCと同じバランスにして液晶輝度は15段階中の7段目にした状態で、18時10分から再生を開始して、21時10分の段階でバッテリーの残り時間表示6時間30分だった)。

 非公式な方法を使えば、アプリの導入は可能とはいえ、そういう手段によらず、正々堂々と多種多様なアプリを導入できるようになり、ユーザーの設定次第で起動するOSがWindows、または、IMMを選べるようになったとき、ユーザーのアイデア次第で“Hybrid”なデバイスはその可能性を大きく広げることになるだろう。

評価で用いたThinkPad X1 Hybridの構成をデバイスマネージャーで確認する。IMMを実装したモジュールは「Lenovo Mass Storage USB Devide」として認識している

→「ThinkPad X1 Hybrid」をレノボ公式サイトで購入する
ThinkPad史上最も薄い筐体に標準電圧プロセッサーを搭載。X1 Hybridシリーズにはインスタント・メディア・モード(IMM)搭載。プロフェッショナル ウルトラポータブル


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