Windows 8の登場が近いこともあって、注目されていたのが「Always On Always Connected」のコーナーだ。「Always On Always Connected」は、Windows 8でも重要なテーマで、PCが、起動していない状態でもバックグラウンドでネットワークにアクセスして、常に情報のアップデートを行う仕組みだ。スマートフォンやタブレットデバイスでは、すでに利用できる機能だが、これをPCでも可能にするのがWindows 8の課題となる。
具体的には、PC(Ultrabook)が待機状態のときはS3のスリープ状態にして電力消費を抑えるが、バックグラウンドでは常に通信を行って、送られてくるパケットをフィルタリングして、重要なパケットを受信したときだけCPU側に通知する役割を担うのがNIC(ネットワーク側のコントローラ)となる。実際のところ、ネットワークを飛び交うパケットの多くはブロードキャストを含むノイズで、実際に処理すべき情報は少ない。そのため、非アクティブ状態を維持できるとバッテリー駆動時間が長くなり、連続待ち時間も向上する。このフィルタリングの仕組みを導入することで、Ultrabookのバッテリー駆動時間を大幅に引き延ばせるというのがポイントだ。
「Smart Meeting Assistant」は、会議記録システムの一種で、発言内容をリアルタイムで文字に変換し(キャプショニング)、さらに文字化された発言情報を翻訳エンジンにかけてリアルタイム翻訳する機能も備える。Smart Meeting Assistantのデモは、過去のR@Iでも行っていたが、今回は、「複数人の音声を同時に聞き分けて別々に記録」「キャプション化は現在のノートPCだけで処理可能」という手軽さと高い精度を実現していた。現在は英語のみの対応だが、簡単なエンロール処理で人物ごとの聞き分けが可能なので、いろいろと応用が利きそうだ。多人数が参加するミーティングや、インタビューなどで、議事録の作成やインタビュー音声の文字化(この作業は、録音にカセットテープを使わなくなった今でも“テープ起こし”と呼んでいる)の手間が省けるので、作業の効率が大幅に改善することが期待できる。
PCだけでなく、スマートフォンを利用したデモにも興味深いものが多い。「屋内位置情報システム」では、GPSの信号が届かない屋内でも、少ない誤差で位置を把握しようというものだ。具体的には、Wi-Fiの位置情報システムを使いつつ、デバイスに内蔵した各種センサー(加速度センサーやジャイロ、磁気センサーなど)を使って、屋内の地図データから1〜2メートル程度の誤差で正確な場所を求める仕組みになる。いろいろな応用も考えられていて、屋内でのウォークナビゲーションのほか、施設での作業指示など、小型デバイスを使って人の挙動をシステム側で正確に把握できるようになる。
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