データ移行の誤算により作業時間はかかったが、どうにかセットアップは完了した。パワーアップの前後で、気になる性能の比較をしてみよう。
まず起動とシャットダウンにかかる時間だが、起動は約30秒短縮、終了も4秒以上と大きく改善された。OSの基本操作も、換装後はまさにサックサクであり、HDDとは明らかな違いが体感できる。
Windowsエクスペリエンスでも、メモリ、グラフィックス、プライマリハードディスクのサブスコアがはっきり向上していることが分かる。このスコアはSPEEDモードでもSTAMINAモードでも同じで、メモリの増設によるデュアルチャンネル化が、メモリとグラフィックスのスコアアップにつながったのだと思われる。
HDDおよびSSDの性能については、CrystalDiskMark 3.0.1でも計測してみた。予想通り、どの項目もSSDが圧倒している。本来シーケンシャルリードは450Mバイト/秒以上のスコアが出るSSDだけに、やはりSerial ATA 3Gbpsでボトルネックになっていることが感じられるが、それでもHDDと比べれば断然高速だ。ボトルネックの影響が少ないランダムアクセスに関してはそれ以上の大きな開きがあり、これが使用感の違いに大きく貢献している。
定番ベンチマークテストであるPCMark 7、PCMark Vantage、3DMark06、3DMark Vantageについては、メモリ容量を変えながら細かく検証してみた。まずSPEEDモードの結果からみてみよう。
PCMark 7、PCMark Vantageともに、SSD換装の効果が非常に大きく出ている。System Storage Score(PCMark 7)とHDD Score(PCMark Vantage)でスコアをぐんと伸ばしているほか、すべての項目でスコアが上がった。
メモリ容量に関しては、全体に4Gバイトよりも8Gバイト(4Gバイト増設)のスコアが高い傾向が見て取れる。デュアルチャンネルの効果が出ているのだろう。
ただし、12Gバイト(8Gバイト増設)では8Gバイト(4Gバイト増設)よりも見劣る結果になっており、4Gバイトのスコアに近づいてしまった。
オンボードメモリと増設メモリの容量が異なるためにデュアルチャンネルが有効な範囲が8Gバイトまでで、たまたまシングルチャンネルアクセスの部分が使われているのかもしれない。また、2Mビットチップと4Mビットチップの違いがデュアルチャンネル時に微妙なタイミング調整を必要としている可能性もある。
3D描画系のテストでは、SSD換装もメモリ増設もほとんど効果が見られない。描画中はストレージへのアクセスをほとんどしないので、これも当然だろうか。GPUのGeForce GT 640M LEも2Gバイトのローカルメモリを持っているので、メインメモリの性能、容量ともに描画性能に影響することはないようだ。
次にSTAMINAモードのテスト結果を調べていこう。
ここでもやはりSSD換装の効果は大きいが、メモリ容量による違いもはっきり出た。CPU内蔵グラフィックスコアのIntel HD Graphics 4000は、グラフィックスメモリとしてメインメモリを使うため、メモリの増設によるデュアルチャンネルアクセスと標準のシングルチャンネルアクセスの違いが、より大きく性能に反映されるのだろう。
SPEEDモードと同じように、3DMark Vantage以外は、メモリ容量8Gバイト(4Gバイト増設)が最も高速で、12Gバイト(8Gバイト増設)でははっきりと見劣る傾向だ。それでも標準の4Gバイトよりは12Gバイトのほうがよいこともはっきりしており、デュアルチャンネルでは動作していないわけではなさそうだ。
なお、今回はじめて気付いたことだが、STAMINAモードでは、冷却ファンのモードが「静かさ優先」に設定されるため、3D描画系テストではその影響がパフォーマンスにも出ていることが分かった。それがSTAMINAモードの初期設定であり、実力だともいえるが、環境温度などで性能が左右されてしまうため、こういった比較用途には適さない。
したがって、今回掲載した標準状態のスコアも冷却ファンのモードを「バランス」にして計測し直している。そのため、前回のレビューで掲載したSTAMINAモードでのテスト結果とはスコアが食い違う部分がある点は、ご容赦いただきたい。
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