ソニーが放つ“もう1つの”最上位モバイルノート――「VAIO Sシリーズ15」徹底検証大画面のフルHD/IPS液晶で薄くて軽い(1/5 ページ)

» 2012年08月10日 17時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

トランスポータブルな大画面・高解像度モデルの先駆者がさらに進化

ソニーの15.5型フルHD液晶搭載ノートPC「VAIO Sシリーズ15」

 「VAIO Sシリーズ15」は、2011年秋冬モデルからVAIOノートのラインアップ加わった15.5型フルHD液晶ディスプレイを搭載した薄型軽量ノートPCだ。当初は「VAIO S(SE)」シリーズといわれていたが、今シーズンからはVAIO Sシリーズ15と呼ばれている。

 13.3型モバイルノートPC「VAIO Sシリーズ13」の技術を大画面ノートPCへと転用し、大画面ながら薄型軽量でかつ堅牢なボディを備えた可搬性の高い製品だ。

 ソニーのノートPCラインアップでハイエンドといえば、13.1型の「VAIO Z」だが、このVAIO Sシリーズ15は大画面・高解像度・広視野角、そして光学ドライブまで内蔵と、オールインワンモバイルのハイエンドに位置付けられる。

 2012年夏モデルでは、基本システムをIvy Bridge/Chief River(開発コード名)プラットフォームに置き換えるとともに、ボディに若干の改良を加えた。今回は店頭販売向けの標準仕様モデル(SVS15119FJB)を入手できたので、性能や使い勝手を検証しよう。

 VAIO Sシリーズ15の魅力は、広視野角のIPSパネルを使用し、しかも1920×1080ドット(フルHD)の高解像度に対応した美しい15.5型ワイド液晶ディスプレイを備えつつ、無理なく持ち運びができる大きさ、重さを実現していることにある。

 大画面で薄型軽量のノートといえば、アップルの「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」が脚光を浴びているが、最近はUltrabookでも14型以上の大画面ディスプレイを搭載している製品が複数登場し、大画面と薄型軽量ボディを兼ね備えた製品が増えてきている。

 本製品はこうしたトランスポータブルな大画面・高解像度モデルの先駆的な存在で、基本システムがChief Riverプラットフォームになった最新モデルの仕上がりが気になるところだ。

フルHDに対応した美しいIPS方式の液晶ディスプレイ

1920×1080ドット表示の15.5型ワイド液晶ディスプレイを搭載。広視野角、高輝度、低反射コートなど、表示品質へのこだわりが感じられる

 VAIO Sシリーズ15の最大の特徴が、15.5型ワイド液晶ディスプレイだ。1920×1080ドット(フルHD)の解像度に対応していることに加えて、大画面ノートPCとしては珍しくIPS方式の液晶パネルを採用しており、視野角が広く、非常に見やすい。

 表面は光沢仕上げに低反射コートを施すことで、映り込みを抑えている。液晶ディスプレイのチルト角度は約132度まで開き、低い位置に本体を置いても、広視野角パネルと相まって視認性は高い。

 15.5型ワイド画面での1920×1080ドット表示は、画素密度でいえば約142ppiで、13.3型での1600×900ドット表示(約138ppi)とほぼ同等だ。Windowsの標準解像度(描画密度)である96dpiで利用するには、適度な精細感があり、それでいて細かすぎないので、ちょうどいい解像度ではないだろうか。

 画素密度の面で驚きはないが、15.5型ワイド画面のサイズがあれば、1920×1080ドットの広大な表示領域はフルに生かせる。1366×768ドットの約1.98倍、1600×900ドットの約1.44倍あり、PDFやワープロ文書などは見開きで、Webページなら2画面を無理なく判読できる大きさで同時に表示可能だ。周囲のパレットなどを駆使して作業するクリエイティブアプリケーションとの相性もいい。

 表示品質は従来同様に良好だ。メリハリのある発色、階調の滑らかさなども一般的なノートPCの液晶ディスプレイに比べて優秀で、輝度も十分にある。グレードとしては「VAIOディスプレイプラス」ということで、かつての「VAIO F」などに搭載されていた「VAIOディスプレイプレミアム」よりは下位に位置づけられる。

 VAIO F(VPCF129FJ/BI・Adobe RGBカバー率100%)と並べて見比べてみると、VAIO Sシリーズ15の輝度は少し劣り、赤の発色などから目視でも、やはりVAIO Fのほうが広色域なことが確認できる。ただし、視野角が広いぶん、少し姿勢を変えても色味の変化がないことから、とても見やすく、総合的な印象はむしろよいくらいだ。

IPS方式の液晶パネルを採用したことで、斜めから画面を見てもコントラストや色味が崩れにくい(写真=左)。15.5型ワイド画面で1920×1080ドットという高解像度は、表計算やWebブラウズなどでその表示領域の広さを実感できる(写真=中央)。液晶ディスプレイのチルト角度は約132度まで開く(写真=右)

映像だけでなく、音声にもこだわり

「Clear Phase」および「xLOUD」と、「Dolby Home Theater v4」は「VAIOの設定」でどちらかを選ぶようになっている

 高品位な液晶ディスプレイに合わせて、サウンドシステムが強化されているのも見逃せない。キーボードの上部に内蔵したステレオスピーカーに加えて、DSPによるデジタル信号処理で周波数特性を改善し、ノイズを補正する「Clear Phase」、音割れなく内蔵スピーカーの音量を高める音量増強技術「xLOUD」、そして映画やゲームなどの臨場感を高めるサラウンド音響技術「Dolby Home Theater v4」に新たに対応した。

 Clear PhaseおよびxLOUDと、Dolby Home Theater v4はどちらかを選んで適用できる仕様だが、音楽はクリアでナチュラルなClear PhaseとxLOUD、映画コンテンツは音の定位のメリハリがはっきりするDolby Home Theater v4が適しているように感じた

 このように、Blu-ray Discなどのエンターテインメントコンテンツをよい音で楽しめる環境を整えている。表示品質のよいフルHD表示対応の大画面ディスプレイ、Blu-ray Discドライブも搭載しているだけに、うれしいアップデートといえる。

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