ソニーが放つ“もう1つの”最上位モバイルノート――「VAIO Sシリーズ15」徹底検証大画面のフルHD/IPS液晶で薄くて軽い(2/5 ページ)

» 2012年08月10日 17時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

わずかに薄く軽くなったフルフラットボディ

フルフラットなボディデザインは従来機を踏襲。背面の液晶ディスプレイ部にはめこんだ細長いパーツがデザインのアクセントになっている。断面が六角形となる「ヘキサシェルデザイン」を採用し、天面と底面のカバーを上下から包むように組み合わせており、デザイン面だけでなく、軽量化と高剛性化にも配慮した

 ボディの先端から後端まで、フルフラットなボディは健在だ。ただし、その設計は先代機から少し変更されている。

 本体サイズは380(幅)×255.4(奥行き)×23.9(高さ)ミリと、先代機に比べて、奥行きは0.5ミリ、厚さは0.6ミリ削られており、わずかだが小さく、薄くなった。重量は約2キロだ。先代の店頭モデルは上位機(VPCSE29FJ/B)が約2.04キロ、下位機が約1.99キロ(VPCSE28FJ/S)で、先代の上位機に近い基本スペックを考えると、ごくわずかに軽量化されたといえる。

 デザインは、先代機の意匠をほぼ踏襲しているが、若干雰囲気が異なる。先代機と比べて高級感という点では少々見劣る印象だ。天面にマグネシウム、パームレストにアルミニウムを採用している点は変わらないが、外装はあっさりとした梨地仕上げで、パームレスト/キーボードベゼルの塗装も簡素化されているのか、高級感、上質感という意味では先代機が勝る。VAIO Sシリーズ13から引き継ぐ質感の高さも大きな魅力だっただけに、この点は少々残念だ。

 なお、光学ドライブは今回からスロットインタイプに変更されている。これは使い勝手を高めつつ、底面の剛性をアップさせるためだという。具体的な数値は公開されていないが、衝撃や振動、一点加圧などのモバイルノートPC向けの試験も従来同様にクリアしているという。実際に持ってみても剛性感があり、堅牢性の面で不安は感じない。

 底面手前側のカバー内には49ワットアワー(11.1ボルト/4400mAh)のリチウムイオンバッテリーを搭載している。カバーはネジ2本を外して開ける必要があり、気軽にスペアと交換できるようにはなっていないが、最近はバッテリーの着脱ができない製品が増えている中で、いざというときにバッテリーを交換できる点は、長く使うことを前提としたうえでは心強い。

 公称のバッテリー駆動時間は約6時間だ。本体の底部に装着して利用するシート状の拡張バッテリーも用意されており、装着時は駆動時間が約12時間まで延びる。バッテリーの容量は先代と同じだが、公称駆動時間は標準状態と拡張バッテリー装着時、いずれも0.5時間短くなった。

 付属のACアダプタは、実測でのサイズが49(幅)×122(奥行き)×30(高さ)ミリ、重量が374グラムと、モバイルノートPCにしては大きめだが、外出先で長時間使いたい場合に持ち運びに困るサイズではない。

 なお、ソニーストアで購入できるVAIOオーナーメードモデルでは、細長いスティック型のACアダプタが用意されている。こちらは実測での本体サイズが37(幅)×204(奥行き)×31(高さ)ミリ、ケーブルをまとめるパーツと電源ケーブル込みでの重量が390グラムだった。

 総重量は標準のACアダプタより少し重くなるが、細長い形状はバッグの中や机上で収まりがよく、充電用のUSB端子が2ポート付いており、スマートフォンなどを充電できる点も魅力だ。専用のキャリングケースも付属している(ケース込みでの総重量は実測で488グラム)。出張などで持ち運ぶ機会が多いならば、こちらが便利だろう。

底面のネジを2つ外すと、カバーを開けることができ、バッテリーと1基のSO-DIMMスロット、2.5インチドライブベイにアクセス可能だ(写真=左)。付属のACアダプタは、モバイルノートPC用としてはやや大振りだが、オプションとして持ち運びがしやすく、充電用USBポート2基も付いたスティック型ACアダプタが用意されている(写真=右)。スティック型ACアダプタは、持ち運び用のキャリングケースもセットになっている

第3世代クアッドコアCPU&ハイブリッドグラフィックスによる高性能

 基本システムは、モバイル向けのIvy Bridgeこと、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを中心とするChief Riverプラットフォームを採用している。

CPU-Zの情報表示画面。CPUはTDP(熱設計電力)が35ワットの第3世代Core i7のクアッドコアモデル「Core i7-3612QM」を搭載。Hyper-Threadingに対応し、8スレッドの同時処理が可能だ。基本動作クロックは2.1GHzだが、Intel Turbo Boost Technology 2.0により、高負荷時は4コアアクティブ時に2.8GHz、2コアアクティブ時に3.0GHz、1コアアクティブ時は最大3.1GHzで動作する

 CPUはクアッドコアのCore i7-3612QM(2.10GHz/最大3.1GHz/6Mバイト3次キャッシュ)だ。Hyper-Threadingにより8スレッドの同時処理が可能で、動画の編集やエンコードなどの用途でも高いパフォーマンスを発揮する。

 グラフィックス機能は、外部GPUとCPUに統合されたグラフィックスコア(Intel HD Graphics 4000)とのハイブリッド構成を採用し、キーボード奥のスイッチで「SPEED」モードと「STAMINA」モードを切り替えることで、使用するGPUが変わる仕組みだ。

 今回からSPEEDモードで利用される外部GPUは、従来のAMD Radeon HD 6470M(グラフィックスメモリ512Mバイト)からNVIDIA GeForce GT 640M LE(同2Gバイト)に代わっているほか、省電力技術のNVIDIA Optimus Technologyも利用される。Optimusは、複数のGPUをアプリケーションごとにシームレスに使い分ける技術だ。例えば、3D描画処理は3D描画性能の高い外部GPUで、動画再生は再生支援機能を持ちつつ省電力な内蔵GPUで行える。

 つまり、VAIO Sシリーズ15ではSPEEDモードではGeForce GT 640M LEとCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000がOptimusによって使い分けられ、STAMINAモードにするとアプリケーションにかかわらずIntel HD Graphics 4000が利用される。

 OptimusによるGPUの使い分けはNVIDIAのドライバによって自動的に判断され、どのアプリケーションでどちらのGPUが使われるかはNVIDIAコントロールパネルで確認できる。標準では3Dゲームなど3D描画性能が必要なアプリケーションはGeForce GT 640M LEが使われ、Webブラウザや動画再生ソフトなどはIntel HD Graphics 4000が使われる仕様だ。自分でアプリケーションを指定して、使うGPUを選ぶことも可能だ。

キーボード奥のスイッチで「SPEED」モードと「STAMINA」モードを切り替えることができる(写真=左)。SPEEDモードではNVIDIA Optimus Technologyにより、GeForce GT 640M LEとIntel HD Graphics 4000が自動切り替えで利用される。STAMINAモードではIntel HD Graphics 4000のみが使われる。モード切り替えの際は、GPUだけでなく、電源プランと放熱制御も同時に切り替わる(画面=中央)。NVIDIA Optimus Technologyでどちらのグラフィックスコアを利用するかの設定は、NVIDIAコントロールパネルで確認でき、ユーザーによるカスタマイズも可能だ(画面=右)

GPU-Zの情報表示。SPEEDモードではNVIDIA GeForce GT 640M LEが主に利用される(画面=左)。最新28ナノメートルプロセスルールで製造されるKeplerアーキテクチャのミドルクラス下位モデルで、CUDAコア数は384でコアクロック500MHz、メモリバス128ビット、メモリクロック900MHz(DDR1800MHz)というスペックだ。2Gバイトのグラフィックスメモリも備える。一方、STAMINAモードではCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000が使われる仕組みだ(画面=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー