それでは定番のベンチマークテストで性能やバッテリー駆動時間を確認してみよう。以前にレビューした2011年10月発売の初代店頭モデル(VPCSE19FJ/B)、そして2012年2月発売のVAIOオーナーメードモデルのハイスペック構成(VPCSE2AJ)の結果も参考として併記している。
まずWindowsエクスペリエンスインデックスだが、プロセッサ、ゲーム用グラフィックスなどで順当によいサブスコアが出ている一方、メモリ、グラフィックスのサブスコアはあまりよくない。
メモリのほうは標準状態でシングルチャンネルアクセスとなっているのが原因だろう。同じくシングルチャンネルアクセスの初代店頭モデルも同じサブスコアだ。SPEEDモードでもグラフィックスのサブスコアがよくないのは、Optimus対応により、計測が内蔵GPUで処理されていることが原因だと思われる。気にする必要はない。
PCMark 7はSTAMINAモードではうまく動作しなかったため、SPEEDモードのみ計測したが、スコアは過去モデルと比べて目立たない。1つにはデータストレージがHDDのため、HDD性能がボトルネックになっていることがある。また、先代のVAIOオーナーメードモデルに対しては、メモリ容量とシングルチャンネルの不利が出ているようだ。CPUおよびGPUの演算性能が反映されるComputationスコアでは順当にスコアが向上している。
PCMark Vantageも先代のVAIOオーナーメードモデルに負けているが、これもメモリの影響が大きいと思われる。初代店頭モデルよりは総合スコアで17%ほどよいスコアが出ている。
一方、3D系ベンチマークテストの結果は良好だ。メモリのハンデがあるにもかかわらず、GPUにRadeon HD 6630M(1Gバイト)を搭載した先代VAIOオーナーメードモデルよりもどのテストでもはっきりよいスコアが出ている。また、STAMINAモードのスコアも、過去モデルのSTAMINAモードから順当にアップしている。
メモリを増設してデュアルチャンネル構成(4Gバイト×2枚など)にすれば、さらによいスコアが出ると思われる。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。SPEEDモード、STAMINAモードとも電源プランは「バランス」(ディスプレイ輝度40%)を利用し、無線LANで常時接続(Bluetoothオフ)した。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」だ。WebブラウザはInternet Explorer 9(32ビット)を指定し、タブブラウズは無効にして測定している。
この条件でのテスト結果は、満充電から残量5%で休止状態へ移行するまで、どちらのモードも約295分(4時間55分)動作した。公称値に反して以前テストした過去モデルよりも長くなっている。巡回Webサイトの状態も変わっているため、完全に同一の環境ではないことを割り引いても、少なくともバッテリー駆動時間が短くなったという認識は持たないで使ってよさそうだ。モバイルノートPCとしても十分実用になる駆動時間だろう。
なお、モードによる差がないのは、SPEEDモードでもOptimusによりWebブラウザは内蔵GPUが使われる設定になっているので、差がないのは当然といえば当然だ。細かく数字を見てもわずか5秒ほどSTAMINAモードのほうが長いだけという差で、本当にまったく違いがない。Optimusを使うのであれば、そもそもモード切替スイッチがいらないのではないかと思えるような結果であるが、バッテリー駆動時はスイッチではっきりSTAMINAモードに固定できたほうが安心できる、という効果はあるかもしれない。
動作音については、アイドル時でもファンの回転が分かる程度の音がするが、低負荷では上昇することはない。CPUやGPUに高い負荷が連続してかかる状況ではそれなりに大きくなるが、それでもクアッドコアCPUと外部GPUを搭載したシステムにしてはかなり静かなほうだ。STAMINAモードでは冷却ファンの設定も「静かさ優先」に切り替わるため、より静音性が高い。
ボディの発熱は底面奥中央の排気口付近はかなり熱を持つが、手がよく触れるパームレストまでは伝わってこない。STAMINAモードでは3D描画時に内蔵GPUを利用するため、ピーク温度は低いが、冷却ファンの設定が「静かさ優先」に切り替わるので全体に少し発熱が高めになる。とはいえ、体感上は特に分からない程度の差だった。フットプリントが大きいぶんだけ放熱設計に余裕が感じられ、今の季節でも不快感なく利用できる。
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