ディスプレイがない“ポメラ”――「BSKBB03WH」は仕事用モバイルキーボードの本命か?ちょっと気になる入力デバイス(2/2 ページ)

» 2012年09月27日 16時30分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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ノートPCと同様の打ち心地を実現

 キーボードはパンタグラフ式で、6段配列の日本語80キーを採用する。主要キーのキーピッチは16.5ミリ、キーストロークは2.2ミリを確保した。携帯用のキーボードとしてはキーの数が多いため、半角/全角、DeleteやInsertといったキーも独立して用意しており、ノートPCに近い入力環境を再現できているものの、縦の長さが短いキーがあるところがやや気になる。

 アルファベットキーのキートップは約15(横)×12(縦)ミリあるが、数字キーやファンクションキー、最下段のキーなどは縦が短く、9〜10ミリほどしかない。このため、慣れないうちは、Backspaceキーやスペースキーで、隣接するキーに指が引っかかることがあった。また、カーソルキーのサイズもバラバラ(上だけがキーが大きく、左右と下については縦の長さが短い)だが、キーボードの右下に配置されているので、ミスタッチはあまりなかった。

photo キーボードは6段配列の日本語80キーを採用する。携帯用のBluetoothキーボードとしては、キーの数が多く、ノートPCに近い入力環境を再現できているが、右側のShiftキーはNumLock専用のキーなので注意。左下にあるmenuキーは、各OSで操作が異なり、Androidだとメニューキー、iOS/Mac OS XではCommandキー、WindowsではWindowsキーとなる。右上にある電源キーがあるが、このほかに主電源がキーボードの側面にある

 キーを押したときに適度な反発があり、しっかりとしたクリック感がある一方で、キーの入力音は小さいため、周囲が静かな場所でも使いやすいだろう。なお、折りたたみ式ということで、ひざの上に置いて使うことはできない。折り目部分のキー(「U」「J」「M」)を押すとキーボードが曲がってしまう。

 強くキーを叩いてもたわむことはなく、計7個配置されたゴム足のおかげでボディがぐらつくこともないので、安心して“ガシガシ”とたたけるキーボードとなっている。慣れれば、ノートPCとほぼ変わらない速度でタイピングが可能だ。

photophotophoto パンタグラフ式のキーを採用している。キートップは平らだ(写真=左)。バッテリーのスペースは裏面にある。折り畳み時の裏面には5つのゴム足があり、計7つのゴム足でキーボードを支えることになる(写真=中央)。使用時の背面。右下に主電源のスイッチがある(写真=右)

 タイピングの速度を、仕事で使用しているノートPC「ThinkPad T410i」と比較してみた(本製品はThinkPad T410iに接続して使用した)。速度の測定は、タイピング練習サイト「e-typing」を利用した。指定された例文を10種類を打つというもので、個人差が大きいテストだが、筆者の場合、ThinkPad T410iが約360文字(ローマ字)/分、BSKBB03WHが約350文字(ローマ字)/分で、ノートPCとほぼ変わらないという結果となった。

 1分間に約170〜180文字ということで、会議の議事録を取るなどスピードが求められる場面や、仕事用途でも十分対応できる。誤入力率の平均値も5%未満でThinkPad T410iと同程度だった。

photophoto e-typingによるテストの結果。個人差は大きいものの、筆者の場合、ThinkPadのキーボードと同等のスピードでタイピングできた(グラフ=左)。誤入力率もノートPCと同程度だ(グラフ=右)

 AndroidやiPhone、iPadなどでは本製品が、英語配列のキーボードと認識されるので、一部の記号キーがキートップの刻印と一致しない(Shift+2キーが「"」ではなく、「@」となるなど)ので注意が必要だ。日本語配列と異なる操作については説明書に記載している。また、Androidについては、端末が日本語入力に対応していない場合、Google Playから「OpenWnn」などをダウンロードして、入力ソフトを切り替える必要がある。

photophotophoto Android端末が日本語入力に対応していない場合は、Google Playから「OpenWnn」などをダウンロードし(写真=左)、設定で入力ソフトを切り替える必要がある(写真=中央、右)

長文入力に特化したBluetoothキーボード

photo つくりがしっかりとしている分、持ち運びやすさが多少犠牲になっている面があるが、モバイルキーボードと思えないような優れた入力環境を提供してくれる

 BSKBB03WHの標準小売価格は、1万1235円(税込み)と安価なスマートフォン、タブレット用のBluetoothキーボードと比べると割高だが、発売から約2カ月経ち、オンラインショップなどの実売価格は下がっている。Amazonでの価格は5900円(税込み、2012年9月27日現在)と定価の半額ほどだ。高品質なキーボードに加えてスタンド機能も使えることを考えれば、妥当な価格と言える。

 バッファローは「持ち運びやすい折りたたみ式キーボードに、いかに付加価値をつけるか」という考えを基にキングジムに商品企画を打診したという。メモツールとしてのポメラもシンプルで秀逸な製品だが、スマートフォンやタブレットを使えば、クラウド上からデータをすぐにやりとりできたり、Web上にアップして作成したデータを共有できるというメリットがある。

 つくりがしっかりとしていることもあり、重さや厚さは多少犠牲になっているものの、キーボードの打ち心地など、テキストの入力環境にこだわった結果、平凡なモバイルキーボードとは一線を画す、長文入力に向く製品となった。「仕事でタブレットを使うため、外付けキーボードを探している」「カフェでブログを書きたい!」など、出先で長文を作成したいと考えるなら、必ずチェックしておきたいキーボードだ。

Business Media 誠編集長Yのインプレッション

 今回はGALAXY Tab(SC-01C)で試用した。キーボードはキングジム「ポメラ」と同じということで、さすがの打ち心地。Let'snote R風というキーボードは、キーを押したときに跳ね返ってくる感じがかなり硬質だ。

 浅いキーストロークながらしっかりしたクリック感、同時押しなどしない限りは取りこぼしもなく、快適に入力できる。キー配列も無理がない自然なものだが、右ShiftキーがNumLock固定なのは、ちょっと慣れが必要かもしれない。

 Bluetooth 3.0対応であれば幅広い機器で使えるのも魅力。スタンドは予想外にしっかりしており、GALAXY Tabを載せてもぐらつかずに使えた。


iPadユーザーの新入社員Kのインプレッション

 iPadを使い始めてから久しいが、初めてBluetoothキーボードを接続してみた。持ったときは「重いな」と感じたが、スタンドを開いて、キーボードを開いて、iPadを乗せるという一連の組み立てが楽しい。

 iPad(第3世代)をスタンドに置くと、端末の重さでキーボード本体が若干浮いてしまうことが気になった。また横置きは問題なかったものの、縦置きでは端末がずり落ちてしまう。

 ほどよい堅さのタイプ感は“カタカタ”というよりは、“ぽちぽち”と打っているイメージ。スペースキーの縦幅が短くて押しづらいこともあったが、しばらくすると慣れて、さくさくと打てるようになった。タブレットはタッチで文字を入力するのが面倒になることが多いが、ゆっくり座って文章を作りたいときに、こういった「ぽちぽち」と打てるキーボードがあると心強い。


PC USER編集部Iのインプレッション

 キーボードの質については申し分ない。Backspaceやスペースキーなど、キーサイズ(特に縦の長さ)が足りないと感じたキーもあるが、ファンクションキーを含めた6段配列を採用したことを考慮すれば仕方がないところか。

 さすがに、仕事で使用しているThinkPadには及ばないが、キーストロークが浅くなりがちなUltrabookなどのキーボードよりも打感は良い。キーピッチも19ミリのフルサイズではないものの、思ったより窮屈さを感じない。

 実売価格は約6000円と、スマホ/タブレット用のBluetoothキーボードとしてはやや高め。しかし、「これに慣れるとほかの製品で長文を打ちたくなくなるかも……」と思わせるほどの快適さを提供してくれる。


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