レビュー
» 2013年05月24日 09時50分 公開

「ThinkPad Helix」ロードテスト:第2回 ThinkPad Helixを「ThinkPad視点」でチェックしてみた(前編) (2/2)

[石川ひさよし(撮影:矢野渉),ITmedia]
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最小サイズにThinkPad中最高(今のところ)のディスプレイ解像度

photo ThinkPad Helixは1920×1080ドット表示の11.6型IPS液晶ディスプレイを搭載する

 ThinkPad Helixの1920×1080ドットという液晶ディスプレイ解像度は、現行ThinkPadシリーズの中で、実はもっとも高いものである。もちろんより高解像度のモデルも開発中であろうことは大いに期待しているが、2013年5月現在ノートモデルにおけるフルHD解像度のディスプレイは、15.6型サイズのThinkPad T/Wシリーズの一部、あるいはカスタマイズのみしかない。昨今はAndroid/iOSタブレットで高解像度化がグッと進んでおり、11.6型クラスのWindows搭載UltrabookでもフルHD“以上”のディスプレイを採用したモデルが増えている。こうした流れにThinkPad Helixも乗ったのがまず喜ばしい。

 そもそもThinkPadシリーズは従来より高解像度化に積極的だったが……最近はそうでもなく、ドットピッチ0.2ミリあたりのパネルを採用するモデルがほとんどとする状況が続いていた。他社が13型以下でフルHDかそれ以上の解像度を持つモデルをリリースする中で、高解像度を望むThinkPadファンであれば「(ひとまず)待っていたよ」というスペックではなかろうか。


photo 左がThinkPad X1 Carbon(1600×900ドット/テキストサイズ:100%)、右がThinkPad Helix(1920×1080ドット/テキストサイズ125%)。それほど大きな差がないのはHelixはテキストサイズが「中」(125%)に設定されているためだ

 ところで、小さな画面で高解像度では文字が見にくくなることを懸念する人は多いと思われる。実際、ThinkPad Helixも確かにウィンドウ枠などが細めに感じ、文字も相応に小さく表示される。ただし、出荷時標準のテキストサイズは「中」(125%)に設定されているので「米粒のよう」というほどではない。もちろんフルHDの精細さでズバッと広くデスクトップを使いたいのであればテキストサイズを「小」(100%)に変更してもいいだろう。

 もう1つ、ディスプレイのコントラスト感がほどよく良好なためか、ThinkPad Helixの文字は細かいながらもかなり見やすいのも好印象だ。特に白地に黒の文字がクッキリと見える。相対的な評価だが、併用するThinkPad X1 CarbonやThinkPad T430sの液晶ディスプレイがやや青みを帯びて見えるのに対し、ThinkPad Helixのそれは黄色みを帯びて見える違いがある。

 液晶パネルの駆動方式は一部を除くThinkPadシリーズがTN方式であるのに対し、ThinkPad HelixはIPS方式を採用している。こちらはタブレットモードにて縦向き/横向きで、さらに人に見せながら複数人で画面をのぞきながら使うシーンに対応すべく、広視野角(画面を斜めから見ても色変化が少ない)な性能が必要なためである。高視野角の性能は、個人用途でもくつろぎモードにおけるプライベートシーンで利便性が高い。スタンドモードに変形させ、ベッドサイドに置いてまったりと使うにも最適だ。

 一方、ビジネスシーンではセキュリティの観点から(横からのぞき見されないよう)あえて視野角が狭いことが好まれることもある。また、表面は光沢仕上げなので照明や周囲の映り込みや指紋の付着が気になるのも従来のノングレア型ThinkPadユーザーとしてはどうしようか悩む。そんな人も一応心配はいらない。純正オプションとしてHelix専用の「ノングレアフィルム」(約3500円)、および「3M製4方向のぞき見防止フィルター」(約9000円)が用意されるので、ひとまずこちらを使うとよさそうだ(もう少し低価格なサードパーティ製も出てほしい)。どちらにせよ、伝統的なThinkPadと比べるとディスプレイ印象もかなり異なるのは確かだ。

photophoto オプションでノングレアフィルムを装着するとこのような感じになる(写真=右)。グレア表面の標準時(写真=左)と比べると周囲の映り込みが軽減され、指紋や皮脂の付着も目立たなくなる。上部と右側面が欠けているのは内蔵するフロントカメラと照度センサーのため

 バッテリー駆動時間は思った以上にしっかり持つ。ThinkPad Helixはタブレット部にも、キーボード部にもバッテリーを内蔵しており、ノートPCモード時で最大12時間(カタログ値)をうたう。結果、ThinkPadのUltrabookとしてはもっとも長時間動作するモデルとなっている。

 BBench(海人氏作)で計測した実動作時間は以下の通り。IEEE802.11n無線LANで常時接続し「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)/10秒間隔でのキー入力」の標準設定において、電源プランを標準の「省電力(バッテリー動作時のディスプレイ輝度を40%に固定)」モードに設定し、いくつかのパターンで計測した。

ThinkPad Helix バッテリー動作時間
モード 実動作時間 測定条件 測定時のバッテリー状態
ノートブックモード 8時間43分 上記BBench設定で計測 タブレット:フル/キーボード:フル
タブレットモード 5時間20分 上記BBench設定で計測 タブレット:フル/キーボード:なし
スタンドモード+720p/H.264動画連続再生 6時間40分 動画再生のみ(Web巡回/キー入力なし) タブレット:フル/キーボード:フル
スタンドモードでキーボードバッテリーのみ 3時間5分 上記BBench設定で計測 タブレット:ゼロ/キーボード:フル

 まず、タブレット本体(11.1ボルト/3785mAh・42ワットアワー)とキーボード(14.8ボルト/1895mAh・28ワットアワー)、2つのバッテリーで運用できるノートブックモードは実動9時間弱、同じくスタンドモードでの連続動画再生(720p/H.264)時間も6時間40分を記録した。実動9時間弱となるとなかなか優秀といえ、仮に出張など1日中外出勤務するシーンで、その1日の業務時間をまるまる通信しながらガンガンバリバリと作業したしてもまだ大丈夫であろう値である。

 一方、キーボードのセカンドバッテリーを用いないタブレットモードは5時間20分、参考としてキーボードバッテリー“のみ”で動作させても約3時間動作した。充電はタブレット→キーボード、使用はキーボード→タブレットの順で行うよう制御しており、さらにバッテリー動作時はキーボードからタブレットに充電しながら動作する。こういった制御により、タブレットモードの実動作時間をかしこく延長できるようにしているわけだ。また、タブレット本体もキーボードドックも同じDCコネクタが備わっており、それぞれ個別に充電することも可能。場合によっては、キーボードドックをある意味セカンドバッテリーとして運用する使い方もできてしまう。

photophotophoto ThinkPad Helixの分解モデル。内部の半分はバッテリーで占められている。本体内蔵バッテリーは42ワットアワー、キーボードドック内蔵バッテリーは28ワットアワーだ

 こんな具合で、ThinkPad Helixは、コンパクト・軽量・フルHD・長時間動作といったUltrabookとしてのトレンドをしっかり押さえつつ、ThinkPadとしてのキーボード操作と堅牢性、操作性、さらにはタッチと合体・変形機能を融合した、現テクノロジ「全部入り」なイメージだ。

 常に新しい機能を取り込んできたThinkPadシリーズを好んで使ってきたユーザーとして、今すぐ業務マシンとして導入したいと思える、気になるスペックを持つ製品に仕上がっていると評価できる。

(続く)






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