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» 2013年06月05日 19時00分 公開

「ThinkPad Helix」ロードテスト:第3回 ThinkPad Helixを「ThinkPad視点」でチェックしてみた(後編) (3/3)

[石川ひさよし,ITmedia]
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ディスプレイは180度オープンができない。ただ、着脱OKなHelixなら問題ない

 ノートPCモードでの使い勝手で少し気になったのは、ディスプレイの180度オープンができないこと。ThinkPad Helixは約125度まで開くが、これまでのThinkPadシリーズはディスプレイをフラット以上までオープンできた。こうすることで、対面で打ち合わせをするようなシーンで便利だったわけだ。

photophoto ディスプレイは約125度まで開く。180度以上まで開いた従来のThinkPad Tシリーズユーザーからすると浅いのだが、これ以上開くと“アタマ”が少し重いので後ろへ倒れてしまう。ヒンジを前にオフセットしつつ、“後ろへパタンと倒れない”よう工夫した設計となっているわけだ

 これは、タブレット部にPC基本システムやバッテリーを内蔵する関係で、普通のノートPCよりディスプレイ面がどうしても重くなる本機の基本デザインに由来する。開きすぎると後ろへパタンと倒れてしまう。ヒンジ部をよく見ると軸が微妙に手前にオフセットされているが、これも開発陣が絶対NGと課した「後ろへ倒れない/バランスを崩さない」ために施した苦労のあとである。

 机上で普通に使うなら、ディスプレイは125度まで開けばまったく問題ない。ただ、喫茶店によくあるヒザほどの高さしかない低めのテーブルで使うと少し窮屈になる感じだ。ま、この手の低いテーブルだとそもそもキーボード入力もしにくいので、決してデメリットではない。打ち合わせでビュワーとして使うならチャッと外してタッチ&ペン操作のタブレットモードで、あるいは逆向きに差してスタンドモードへスパッと変形させてしまえばすべて解決するはずだ。

 また、ThinkPadシリーズはそのビジネス色の強さから、基本シリーズでは常に有線LANやモデム、スマートカードリーダー、指紋認証ユニットなどをサポートしてきた。しかし、Ultrabookとして薄型/軽量を追求するとなるとそうもいかなくなってきており、ThinkPad X1 Carbon以降、インタフェースの数は他のUltrabookとさほど変わらなくなってきている。ThinkPad Helixで見ると、スマートカードリーダーはそもそもExpress Cardスロットは備えないので難しく、有線LANポートもオプションのUSB接続の有線LANアダプタ(Lenovo USB 2.0イーサネット・アダプター)を用いてカバーすることになっている。

photophotophoto インタフェースは、ノートPCモード時は後面、タブレットモード時は底面に集中している。ディスプレイ端子変換、USB有線LANアダプタ、ThinkPad USB 3.0ドックといったこれまでのThinkPad用オプションも利用できる

 このほか、指紋認証ユニットを内蔵しないことも少し懸念がある。Webカメラによる顔認証などの代替手段もやろうと思えばできるかもしれないが、パスワード入力が面倒=自身のPCセキュリティ対策が甘くなる──につながるかもしれないためだ。もっとも、セキュリティチップ(TPM)+BitLockerでのドライブ暗号化やIntel Anti-Theftを利用した遠隔操作でのPC無効化対策など、ビジネスシーンに導入できる機能はきちんと備えてはいるので、例えばライトな個人向けUltrabookを業務用として導入するよりは安心して使えるのだが。

 電源ボタンはその特殊な構造・機構のため、ディスプレイ部の上端にある。こちら、タブレットモード利用時はよいが、ノートPCモードではやはり小さく、押しにくい。ThinkPad Helixは、タブレット(本体部)とキーボードドック+セカンドバッテリーとをI2Cバスと呼ぶ専用端子で接続する。これによりBluetoothキーボードにある(場合によってはUSBキーボードも含む)不安定さの心配はみじんもなく、接続して即キーボードが認識、かつ電力供給やその他制御信号も通信できる。……であれば、キーボードにも電源ボタンを用意してくれればよいのにとは思う。

 ほかに従来のThinkPadユーザーからすると、ラッチがない点も少し戸惑った。ラッチは不用意にディスプレイが開いてしまわないよう、カチッとロックできる機構。もちろん、ThinkPad Helixのディスプレイヒンジはほかよりやや固めに設定されており、意図せず勝手に開いてしまうことはない。

 なんというか……個人的な旧来ThinkPadユーザーのたわごとであるのだが、カチッと開き、カチャッと閉じるのが、自分の仕事モードを切り分けるオン/オフスイッチになっていたためだ。

意欲的なデザイン+着脱機構を加えつつ、ThinkPadらしさを出せたモデル

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 以上、ThinkPad Helixを旧来のThinkPadシリーズ目線で見て触れた印象として、デザイン上、着脱機構とその新しい利用シーンの提案が主なアピールポイントになっているのが、もちろんThinkPadシリーズとして望まれる/好まれているポイントもしっかり押さえた、紛れもないThinkPadである。

 着脱機構のぶん、「持ち歩く」なら11.6型Ultrabookとしてはかなり重めなのは否めない。ただ業務PCとして「使う」なら、他のUltrabookより作業環境は快適なはずだ。11.6型クラスの他社Ultrabookでおざなり/貧弱な仕様になりがちなキーボードはUltrabookの中ではトップクラスと思え、ThinkPad X1 Carbonと同等の打ち心地を実現する。ビジネス/業務のためのノートPCとして、やはりThinkPadクオリティを確保している。

 ボタンが5ボタンクリックパッドと一体化した新トラックポイントに慣れるには若干の時間はかかるかもしれないが、ま、そもそもここ数年のThinkPadシリーズにはクリックパッドも搭載されていた。トラックポイント用に3つのボタンを別途用意していた分キーボードから遠く、そこに違和感を覚えていたタッチパッド派の人は、Helixの仕様ならよりスムーズに操作できるようになるはずと評価できる。

 多少の違いはあるにせよ……ThinkPad Helixは紛れもない「ThinkPad」である。最初は使用感の大きな違いを覚悟していたが、実際に触れてみるとしっかりThinkPadであったのにはひとまず安心。若干の違いは、個人差があるにしてもThinkPad自体がビジネスユーザーのニーズとともに少しずつ変化、というか進化していったものなので、その進化の1つとして受け入れられる範囲のはずだ。

 次回以降は、具体的なモバイル環境におけるThinkPad Helixの活用シーンを探ってみよう。

(続く)






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