「Bay Trail-T」でライバルを突き放す――Intelのモバイルプロセッサ戦略独走なるか(2/2 ページ)

» 2013年06月10日 19時30分 公開
[本間文,ITmedia]
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タブレットにCoreプロセッサの選択肢

 また、Intelは高機能なタブレットにはCoreプロセッサも魅力的な選択肢になるとして、AcerのIconia W700の筐体に、SDP(Senario Design Power)7ワットを実現した「Ivy Bridge-Y」プロセッサを搭載する、独自設計基板(ファンレス)の試作機を公開。しかも、同タブレットには438GバイトのSSDを搭載してみせ、PCと同等の生産性も実現できるとアピールした。

438GバイトのSSDを搭載(写真=左)。ファンレスにすることで、オリジナルのIconia W700の950グラムから、約800グラムへと軽量化している(写真=右)

 同社はさらに、2013年9月ごとに搭載製品が登場する見通しのCPUコアとチップセットを1つのパッケージに統合したSoC版“Haswell”(開発コード名)のデモも公開。一般的なアプリケーションではSoCの消費電力は最大17ワットに達するが、CPU性能が高い分、大きく負荷がかかるのは一瞬で、すぐに消費電力が抑えられるようにパワーマネジメントがされている様子を示した。例えば1080pのビデオ再生では、CPU内蔵グラフィックスのビデオ機能がCPUやグラフィックスコアへの負荷を大幅に低減し、SoC全体で2.5ワット前後しか消費しないため、現行のUltrabookと同じバッテリーでも12時間以上の駆動が可能であると説明する。

 その一方で、プラットフォーム全体を見ると液晶ディスプレイが2.5ワット弱を常に消費することが分かる、この消費電力を抑えるべく、同SoCを採用するAcerの次期「Aspire S7」の2560×1440ドット液晶搭載モデルでは、画面に変化がない場合は、液晶パネルの書き換えを停止することで消費電力を抑える「Panel Self-Rifresh」機能もサポートされることが明らかにされた。CPUやグラフィックスコアのパフォーマンスや省電力性能だけでなく、プラットフォーム全体で省電力化を進めることにより、モバイルプラットフォームにおける同社製品の優位性を高めていく意向だ。

Haswell SoCの消費電力計測デモ(写真=左)。HaswellのSoC版(写真=右)

青い線がSoCコアの消費電力、赤い線がディスプレイの消費電力、白い線がプラットフォーム全体の消費電力を示す。アプリケーションの負荷に応じて積極的クロックコントロールしていることが電力消費からも見て取れる。逆に、負荷が低減されれば、積極的に消費電力を落としているとも言える

Haswell SoCによる1080pビデオ再生時の消費電力。青い線のSoC消費電力は2.5ワット前後と低い。また、液晶ディスプレイの消費電力が2.5ワット前後を常に消費していることも分かる(写真=左)。2560×1440ドット表示対応液晶を搭載した「Aspire S7」(写真=右)

液晶パネルの書き換えを停止することで消費電力を抑える「Panel Self-Rifresh」機能もサポート(写真=左)。内蔵グラフィックスコアの強化で、4Kビデオ再生時にもCPUへの負荷はほどんどない(写真=右)

 Intelが競合他社よりも半導体製造プロセスで1世代〜1.5世代進んでいることは明らかだ。しかし、消費電力や熱量に制約の大きなタブレットなどのプラットフォームでは、パワーマネジメントやサーマルマネジメントの作り込みも重要になってくる。そして、これらの機能は単にSoC側でサポートするだけでなく、OSやアプリケーションレベルでの対応が不可欠だ。

 Intelは、その分野でも多くのソフトウェア開発者を抱えており、タブレットや薄型の2-in-1デバイスの高性能化が進めば、そのアドバンテージは広がると見ている。その皮切りになるのが、2013年後半に市場投入されるHaswell SoCとBay Trail-Tというわけだ。

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