Intelが見せる“ちょっと未来”な新技術Research@Intel(2/4 ページ)

» 2013年07月30日 11時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

ディスプレイはもっとフレキシブルで場所を選ばずに

 従来までのPCであればノートPCやデスクトップPCに据え付けるディスプレイを用いるというのが一般的だった。ところが最近ではスマートフォンやタブレットが登場し、大画面で楽しみたい動画コンテンツは大画面TVを活用するなど、ディスプレイの数が増え、出力先も必ずしも1対1の対応にはならなくなった。

 ここで登場するのが「1:多」あるいは「多:1」のディスプレイ共有システムだ。基本的にはWiDi(Wireless Display)の派生技術だが、複数のタブレットの画面を1つの大画面テレビ上に束ねたり、あるいは複数枚のディスプレイ(タブレット)を組み合わせて1つの巨大なディスプレイを作ったりできる。一般にWiDiは「手持ちのコンテンツを大画面TVに投影するもの」という印象があるが、ワイヤレス技術だけにこうした変則的な組み合わせでもいいのかもしれない。

「1:多」あるいは「多:1」のディスプレイ共有システムのデモ。WiDiの派生技術であり、画面は1つの大型TVに複数のタブレットの画像を中継モニタリングしている様子

興味深いのは複数の画面を組み合わせて1つの巨大なスクリーンを作り出す技術。タブレットには特別なセンサーは入っておらず、写真のように互いの画面を合わせて接点に向かって指をピンチさせることでキャリブレーションが行われ、1つのディスプレイとして機能するようになる

 ディスプレイといえば最近では液晶が一般的だが、最近では電子ペーパーに有機ELなど、薄型であったり、折り曲げ可能で低消費電力なものが登場している。だが場所を選ばずに使えるという意味ではプロジェクターにも注目だ。

 プロジェクターの特徴は、平坦で白色に近い板やテーブルさえあれば、どこでもディスプレイにできる点だ。さらにモーションセンサーを組み合わせることで、このディスプレイをそのままタッチスクリーンとして活用することもできる。

 紹介されていたデモでは、市販の携帯プロジェクターと小型モーションセンサー(Senz3D)を組み合わせ、テーブルをタッチスクリーンとして利用可能にしている。実際にWindowsの各種操作がそのまま可能で、センサーも安価な市販品であり、そう遠くない時期にどこかが商用製品としてリリースすることになるだろう。

プロジェクターでPCの画面を投影して、その画面を使ってマルチタッチで操作が可能なシステム

タッチでピアノを演奏したり、キーボードで文字を入力したり、ピンチズームで拡大縮小が行えたり、あるいはマルチタッチによるお絵描きも可能

 プロジェクターの性質を考えれば、こうしたテーブル状での小型タッチスクリーンだけでなく、壁に投影することでそこを巨大なタッチスクリーンにもできる。実は去年のResearch@Intelでも展示されていたのだが、センサーがKinectからSenz3Dに変更されている点で新しい。

 また、より高度な技術として、プロジェクターを使ってプロジェクションマッピングも可能だ。プロジェクションマッピングとは凹凸のある物体に対して、その形状を計算してプロジェクターで投影する画像を変形する仕組みであり、つまり投影先が平坦な面でなくても画像を歪ませることなく投影できる。

このシステムは上部のプロジェクターと正面のモーションセンサーで実現されている。市販品を組み合わせて作られた非常にシンプルなもので、すぐに商用製品として応用可能なレベルとなっている

先ほどのプロジェクター+センサーをより大画面に拡大したもの。屋内での画像鑑賞用途を想定しており、高解像度の風景動画がずっと流れている。シーンや明るさに応じて画面下のランプの光量や色が変化する。またタッチ操作にも対応しており、壁面に据え付けられたモーションセンサーで画面を強制的に切り替えたり、スクロールしたりできる

 デモではフォトフレーム状の板を用意し、これを傾けても該当部分だけ板の角度を計算して自動的に投影画像を変形させる仕組みが搭載されていた。こちらは汎用品ではない専用のハードウェアを用いているが、近い将来には前述のような安価な市販ハードウェアとPCの処理能力を組み合わせ、より安価で手軽に実現できるようになるかもしれない。

プロジェクター+センサーを組み合わせたシステムの第3弾は、机に画像を投影してマルチタッチでの操作が可能なもの。ただ、このプロジェクターではセンサー等が一体化されており、プロジェクションマッピングも可能な高度なものとなっている

投影対象が立体だと、それに合わせて画面を自動的に変形する。例えばフォトフレーム大の板を傾けたりすると、それに合わせて写真の投影角度を変更して、板の直上から常に同じ形で画像が見えるようになっている

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